関東地方に梅雨入り宣言が出されましたが、そのあとすぐに雨は上がってしまい、空気に湿気は感じられるものの、晴れ、ないし薄曇り程度のお天気が続いていますね。
毎年のことですが、六月上旬に入って最初の停滞前線が日本列島を覆い、まとまった雨が降ると、気象庁はいちおう「梅雨入り」と判定して「梅雨入り宣言」を出しますが、そのあと続いて雨の毎日になることは少なく、今年のように、しばらく「梅雨の晴れ間」になることのほうが多いですね。
木々の葉の緑の濃い中に、梅が青い実をつけ、枇杷の実が山吹色に実り、クチナシやタイサンボクやアジサイが花を開くと、「ああ、六月」と感じます。
この貴重な晴天を利して、私は少しでも筋力を回復できればと、サイクリングに励んでいます。
といっても、自宅から3~4キロぐらいの道を行って帰るのが、今の私の体力にとっては限度ですから、それ相応の目的地をさがし、東急大井町線の上野毛駅の近くにあるカルメル会上野毛修道院を目的地にすることに決めました。そこならば、駒沢通りを駒沢陸橋から駒沢公園を突っ切って中町まで走り、谷沢川(その下流が等々力渓谷になっている川)と交差したところで左へ曲がり、最後に少しだけ上り坂を上がればもう上野毛駅で、カルメル会の修道院は、その少し南にあります。
あの修道院のあるあたりは、多摩川へ向かって南西方向の視界が開けた「国分寺崖線」と呼ばれる一連の河岸段丘で、その見晴らしのよさを利して、五島美術館とか静嘉堂文庫とか、金に糸目をつけずに建築された豪華な施設が多く点在しています。
カトリックの修道会もこの地域に早くから目をつけていたらしく、まだ地価があまり高くないうちに買ったとみられる広い敷地に、情操教育や瞑想に適するような、宗教的な建物が建てられている例が、崖線に沿って、いくつもあります。田園調布雙葉学園、聖ドミニコ学園、瀬田の聖アントニオ修道院兼神学校などがそれで、カルメル会の修道院も、それらのひとつです。
そこは、施設が建てられた当初は修道院だけがありましたが、それに付属するチャペルが信徒に開放されて教会堂となり、今では準小教区をもつ「カトリック上野毛教会」になっています。
http://www.kaminoge-church.jp/index.html
敷地の南側は例の国分寺崖線だから見通しが開けており、東西の隣地との境界はきれいな糸杉の生け垣や、植え込みで隔てられていて、修道生活にふさわしい静謐さが保たれています。
しばしば俗人信徒のための日帰り黙想会とか、一泊黙想会とかがこの修道院で開かれており、カルメル会の伝統に沿った祈りの生活の指導がなされているようです。そのため、地理的には他の教会に近い土地に住んでいながら、わざわざこの上野毛教会の信者として登録しているような人もいるそうです。
聖堂に入るのは自由ですから、私も、自転車でこの地にたどり着いたときには必ず聖堂に入り、休憩を兼ねて20分~30分ぐらいお祈りをさせてもらってから帰途に就くことにしています。聖堂にも庭にも、「カルメル山の聖母」という独特の様式の聖母子像が祀ってあり、その前に行くと、迷っている心がスーッとほぐれるような安心感を覚えます。