とある日の事です。
「あら、この人若い!」
梅さんは再放送の朝ドラを見ていました。
40年程前のドラマです。
『そりゃ。若いよ』と娘さんはスルーしていました。
が。
梅さんの言っている事が何処か不自然です。
どうやら、梅さんはその俳優さんが若作りして若い役を演じていると思っている様です。
「これ、40年前のドラマだよ」と言う娘さんに。
「何で、40年前のドラマを今やれるの?」と梅さんが切れ気味に言います。
「再放送」と娘さん。
「再放送?」と理解して無さそうな梅さん。
いつの頃からか。
梅さんはテレビに映る映像の全てが今(なんなら生放送)だと思っている様で、ニュース番組の過去の資料映像も今起きている事だと思って見ている様です。
梅さんの中には、もう《録画》は存在しない様です。
そして。
何処か自分には全く無関係、無関心な《対岸の火事》を眺めている様子です。
昔むかし。
娘さんがまだ幼かった頃。
近所のおばあさんがテレビの中の火事のニュースを見て。
『飛び火して来る』と大騒ぎしたと言う話がありました。
「年寄りは、ね➰」と当時の梅さんは笑っていました。
月日は流れ。
梅さんは、そのおばあさんのお仲間入りをしてしまった様です。
そして。
「年寄りは、ね➰」と簡単に笑う事の出来ない娘さんがそこに居ました。
トホホ。