とある日の事です。


娘さんが仕事から帰ると。

炊飯器から湯気が勢い良く出ていました。


「またご飯炊いたの?」

「炊かなくて良かったのに」

「朝、言ったよね」

「メモはどうしたの」

「忘れたの?」

娘さんが矢継ぎ早に言います。


「覚えてるよ」と言い訳を探す様に梅さん。


その日の朝。

娘さんは梅さんに「ご飯炊かなくても良いよ」と伝え。

《今日はご飯炊かなくても良いよ》のメモを炊飯器に貼り。

仕事に行きました。


が。


メモは捨てられ。

炊飯器が働いていました。


冷蔵庫には、梅さんが炊きすぎたご飯の残りが沢山あります。


「そんな大騒ぎしなくても」

「腐らないわよ」

「明日、食べれば良いのよ」と梅さんは言います。


が。


明日になると冷蔵庫を確認せず、炊いてしまいます。

お昼に食べてくれれば、少しは減るのですが。

何故か。

コンビニお弁当を買って来て食べたりしています。


何とか阻止せねばと。


娘さんは知恵を絞り対策をします。


が。


《糠に釘》

《暖簾に腕押し》

《馬耳東風》


全く効果がありません。


「そんなの貼らなくてもわかったわよ」とメモを貼る娘さんに上から発言でメモを剥がす梅さん。


そして。

瞬時に忘れてるのです。


忘れる事を認識しているのかいないのか。


空しい結果になります。


一事が万事。


あらゆる事がこの調子です。


何故か。

しなくて良い事。

娘さんが嫌がる事をします。

例えば。

テーブルをコツコツする癖。


「止めて」と娘さんが言うと。

「誰にも迷惑掛けて無い」と梅さん。


娘さんはその《誰》にも含まれないのでしょうか?

おもいっきり迷惑しているのですが。


娘さんの疲れはかなり限界に来ています。


「疲れた➰」


全速力で逃げ出したい娘さんでした。


トホホ。

とある日の事です。


娘さんは仕事から帰ってきました。


「あれ?」

「宅急便来なかったの」と娘さん。


その日の朝。

娘さんは代引きの荷物の受け取りを梅さんに頼みました。


「わかったよ」と梅さんはあっさり引き受けていました。


が。


娘さんが仕事から帰って見ると。


荷物は無く。

お金の入った封筒は朝のまま、そこにありました。


「来なかったよ」と梅さん。


娘さんが荷物の追跡を調べると。

【受け取り拒否】の文字が。

娘さんは慌てて期日指定で再配達の依頼をしました。


「荷物来たでしょ」

「何で受け取らなかったの」

「お金、そこに置いてあるでしょ」

「朝、言ったよね」

「忘れたの」と娘さん。


「覚えてるわよ」

「荷物は来なかったわよ」

「何のお金か、書いて無いとわからないわよ」と梅さん。


封筒には(何のお金)と(金額)が書いてあります。


娘さんは「書いてあるよ」と封筒を梅さんの目の前に出しました。


「あら」

「書いてあるわね」と梅さん。


しかも。


「あの配達の人」

「何言ってるのかわからなかったのよ」と梅さん。


荷物が来た事を認めています。


「朝」

「私が言った事」

「聞こえて無かったでしょう」と娘さん。


「聞こえてたわよ」

「何言ってるのか分からなかったけど」と梅さん。


梅さんの理解力はかなり落ちて来ています。

物事を関連付けて考えると云う事も出来なくなっています。


『聞こえている』と言っていますが。

内容は理解出来ていない様に思われます。


で。

その場しのぎの適当な返事をします。


「ちゃんと理解して無いと」

「聞こえたとは言わないよ」

「ちゃんと理解してもらわないと」「何も頼めなくなる」と娘さん。

こんこんと話します。


が。


「もう済んだ事だから」

「もう良いでしょう」

「しつこいわね」と拒絶気味に梅さん。


反省の色など全くありません。

考える事も面倒になって来た様です。

すぐに拒絶モードに入ります。


厄介が増し増しになって来ています。


悪化の一途を辿る

この生活はいつまで続くのか。


『もう嫌だ➰ッ』と。


全力疾走で逃げられたら。

どんなに楽か。


ぼんやり梅さんの後ろ姿を見つめる娘さんでした。


トホホ。

とある日の事です。


娘さんが仕事から帰ると。


やかんの《ピー音》が玄関にまで響いていました。


『またか』


娘さんは慌てて、ガスを止めに走りました。


トイレに灯りがついています。

梅さんは、やはりトイレでした。


娘さんがガスを止め、沸いたお湯をポットに入れていると。


「あら、帰って来たの」とのんびり梅さんがトイレから戻って来ました。


【と。ここまで書いてふと『このエピソード、前にも書いたかも』と思い一旦停止。昨年、書いてました。が。梅さんの危機感は更に鈍り。娘さんの苛立ちと恐怖感が増大してますので、その後と言う事で。】


「ガス、つけたままて離れたらダメでしょう」

「火事になったらどうするの」と、思わず声を荒げる娘さん。


何故か。

梅さんはやかんをガスにかけると、トイレに行きたくなるらしく。

娘さんが正に口が酸っぱくなる程、注意しても。

全く反省の色が無く。

同じ事を繰り帰し。

娘さんに声を荒げさせています。


《トイレに行く時は火を消す》


娘さんはガス台の側にメモを貼りました。

が。

案の定、全く効果がありません。


「そんな大きな声、出さないで」

「ご近所に聞こえるでしょう」

「恥ずかしいわよ」と梅さん。


「火事になったどうするの」

「野中の一軒家じゃないんだから」

「ご近所に迷惑かかるでしょ」

「本当に気をつけてよ」と娘さん。


「あなたが消したから」

「それでいいじゃない」

「火事、火事って、同じ事ばかり」

「もう、わかったわよ」

「みっともないから」

「大きな声、出さないで」と梅さん。


全く反省の色はありません。

むしろ、世間体(体裁)が気になって仕方がない無い様子です。


梅さんの体裁重視は昔からでした。

驚く(笑ってしまう)程、外面を整える見栄っ張りです。


火事になったら、体裁どころでは無くなります。


そして。


攻めを受けるのは。

火を出した梅さんでは無く。

娘さんです。


娘さんとしては。

なんとしても。

それだけは阻止したいのです。


が。


梅さんには到底、考えも及ばないのでしょう。


自分の体裁が一番ですから。


これは難問です。


危機感と隣り合わせの生活は落ち着きません。


『一人暮らし、したい』


切実に思う娘さんでした。


トホホ。