楽しみにして訪れた海は、
すごくしょっぱい思いで帰宅した。
「あんたって、そんな感じやったっけ?
前はアホな子って感じでおもろい子やったのに…」
そんな風に言われることが多くなった。
昔はただ、ただ、
ふざけて、笑って、楽しかったんだけど…。
今は それだけじゃない、私がいた。
退院後も時々、不安定だった体は
私に笑えないほどの苦痛を与えた。
テレビや携帯を観る気力はなく、メールを打つ事にすら体力がいった。
何も出来ず 笑顔になれず
幸せも感じられない日々は
生きることへの不安
少しの不調にもビクビクして
朝起きて 仕事して ごはんたべて 寝る…という「普通の生活」すらも思い通りにならずモヤモヤすることがおおくなった。
あまり外出も出来ず、テレビも本も見れずに布団にうずくまる。
嬉しさや楽しさ 面白さを感じることもできず、過ごす日々は、
私は 【何を話していいか】【どんな事がおもしろいのか】
【何が正しいのか】すらわからなくさせた。
物事の判断能力や自分の感情は退院した後もまだ麻痺していた。
小春と宇美奈の感覚が自分の知らない世間の一般論だと信じた。
「小春、こないだ 好きって言われてる子いたよね、あれどうなったの?」
いつもの居酒屋でドリンクが来るのをまっていたとき、わたしは ふぃに小春に尋ねた。
「…はぁ? そんなのあったっけ?」
口と眉を歪ませて 答える小春。
え?
わたし へんなこときいたかな?
小春の表情に不安になる。
「まえ いってた、ほら、メガネの…」
すこし、言葉を濁らせながら聞く。
「ああー?んん。なんもないけどー。」
携帯を片手に伏し目がちに答える。
私からの他愛もない質問に
小春はよく黙ったり 首をかしげる。
二人で遊んでいる時、宇美奈と話す時は絶対にしない反応。いつも誰にでもニコニコしてる小春の表情にすごく違和感を覚える。
宇美奈はそんな事おかまいなしに、好きなものを注文して嬉しそうに「フェイスブックをしょっちゅうあげる子」の話をする。
そのこのフェイスブックページを見せてもらうと、綺麗に盛り付けられたちらし寿司や創作の巻き寿司を作ったとか
デコレーションケーキの写真、
部屋着はジェラートピケで揃えてるとか
ホテルのレストランで彼氏とディナーしたと、、、
リボンやフリル、ミニスカートで写るその子はたしかに顔は可愛いとは言えないけど女っぽい子だった。
女の子らしく努力している子は素敵だと思うんだけど…
興味ないことばっかりあげる!と言いながら全部チェックしている宇美奈に
興味ないなら見ないだろ…と思いながら言わなかった。
小春は宇美奈の話には、前に乗り出して、目をパチりと開けて必ず笑顔で話す。
その、フェイスブックをみて、自分の周りにもいる自分の事ばかりフェイスブックに書く子の話をして盛り上がっていた。
私にとってはその話の方がどうでもいいことのように感じた。
ぴよよん、ぴよよん
宇美奈からの LINEの通知の後。
小春 、宇美奈の通知が交互に光っては消えていたけど、動くのが辛くて しばらく放置していた。
携帯をみると、未読が20件近くある。
宇美奈「もう年末バーゲン!?早くない!?」
小春「やばい!今年こそ、彼氏作るっていうてたのに!やばい!」
宇美奈「こはるは男友達 いっぱいおるから今年中だけ付き合ってみるとか?笑」
小春「ないないー!」
宇美奈「可愛い服買って婚活しよー!」
小春「あ、行きたいショップある。
年末セールしてるかな?」
宇美奈「いっぱい買いたいー」
わたしはやっと指先を動かし
「ごめん、体調やばくて死んでた。…」
「私もバーゲンいきたいな^_^いついける?」…と参加すると宇美奈がらはすぐに返事がきた。
休みの曜日と、どこのバーゲンに行くか話をすすめていたけど、
小春はLINEに参加してこなくて
時々 既読2になるものの発言はない。
お風呂や用事をしてるのだろうと
宇美奈と勝手にLINEの会話を進めたけど、
全部決まってから、
数日しても何の答えもない。
「こはるぅー!こはるぅー!?
どこおるんやー!」
宇美奈が小春に呼びかける
しばらくしてから返事がきた。
「27日いけるー!いこー!」
最近の小春はそんなかんじで
返事出来ないのは忙しかったり、イロイロがあるんだろな。と。
けど
それまでにも そういうことはよくあって
3人でのグループのLINEだけど、
いつもどちらかが宇美奈とLINEをしてて、
小春と宇美奈の会話に途中参加すると
ほとんど、毎回 小春は出て行った。
少しだけ、3人との関係に違和感を感じていた。
バーゲンに行く当日の朝に
宇美奈は仕事が入って、遊べなくなった とLINEがきた。
「ごめーん!二人でいってきて!」
小春「いいよー!また今度ね!」
わたしは 私と二人では遊ぶ気は無いんだ…と理解して
残念なスタンプ、
OKのスタンプを連続で送った。
小春のわたしに対する態度に気になっていて、あまり関わりたくないと感じるようになった。
宇美奈に相談しようか迷ったけど、悪口みたいになりそうで相談するのは控えて様子を見ようと思った。
普通に振舞っているつもりだったけど、宇美奈も小春とわたしの何かを感じたのかもしれない。
LINEで会話しているとき、
わたしの会話でLINEが終わることや、ノリでふざけたことを送っていても、返信がなくなるようになった。
最初はたまたまかと思ったけど
何かあるたびに私で止まるLINE。
やっぱりわたしは二人から浮いている。
女の子では、よくある。
奇数では誰かが1人が浮く。
けど私もその標的になるとは思わなかったし
二人とも1対1の時は
そんな素振り見せたことは1度もなかった。
二人とも入院したと言ったとき、
真っ先にお見舞いにきてくれた、優しい子達だった。
三人になってから、急に二人の態度が変わったこと、
それがとてつもなく悲しかった。
苦しくて動けない
楽しく過ごしたくても 遊びに行けない自分を責めることばかりしてきた私は
自分の体質を恨んで、同時に自信がなくなっていった。
いつも二人のいうことに流されたり
二人の反応にいちいち気を使った。
そういう 自分のなさは二人をイラつかせたり弾かれる原因になったんだろうな。
また3人で集まろうと
また宇美奈からLINEが来る。
そして重くなる心。
この二人と遊んだり連絡を取らなかったら…
わたしは 孤独だ。
幼馴染の同級生はこの二人だけだったし
ほかは結婚していたり、遠くに引っ越したりで 旅行や遊びにいける子達も少なかった。
一人になるのが怖くて また約束してしまう。
そして、毎回 疲れて 家に帰ってくる自分がいた。
会うたび 居心地の悪さを日に日に感じている
3人で会いだして1年半が経とうとしていた。
でも居心地が悪いと感じるからダメなんだ。
そうだ、心から楽しめばいい。
私は どんな状況でも楽しもう。
前向きでいよう。
そう思って
「海鮮とか食べにいきたい!北陸のほうとかに!いこうよ!」
と前から美味しい海鮮がたべたいと提案してみた。