2年前の春
私は体調をくずして 、入院していて退院をしてすぐの頃
2人がお見舞いにやってきてくれた。
小春と宇美奈。
二人とも中学からの友達だった。
ずっと三人ではなくお互いに一対一で遊んでいたけど、その頃から3人で会うことが増えた。
私が退院をしたのは夏が始まるすこしまえ。
木々がぐんぐんと背を伸ばして、
青い葉は太陽の光を跳ね返しキラキラ輝いていた。
お祝いを兼ねて…
地域で一番 迫力ある花火が咲く
夏祭りに3人でいこうと宇美奈が誘ってくれた。
まだ体は辛くて、体は40キロ前半になっていた。
夏の暑さも日差しも人混みも、辛いものだったけど、
久しぶりに友達と遊ぶことがただ嬉しくて 無理をしていることも忘れて笑っていた。
お祭りの後
小春の知り合いがいるというお店へいった。
カウンターとテーブル席が4つの小さな居酒屋。
小春は声色を変えてとびきりの笑顔でお世話になります とお土産を渡した。
小春は気を使うタイプの子でいつも明るく 友達も多い。
乾杯をすると、すぐに宇美奈は会社でどんくさくて 言い訳の多い後輩がうっとおしいと話した。
「ほんと、腹立つから、
ミスを見つけたら わざとその子の前でやり直したりするんやけど、
ぜーんぜん気づかんねんなー!」
「同僚のケイコさんもずっとあの子の事 アホやって言うてるねん」
小春は「それはやばい」とか「いるいる」と頷きながら、汚れたお皿を重ね店主に渡す。
わたしもテーブルが汚くならないようにふいたり、お皿を下げるのを手伝う。
「その後輩さー、フェイスブックしてるんやけどー、よくランチいった写真とか
買った服とか作った料理の写真あげまくるんやけど、
誰も興味ないし別にいらんって感じやわ」
「そーそー、そんな作った料理の自慢うざい!
食べたもんも興味ないよな。
うち、そんなフェイスブック活用してないし。」
小春が激しく頷いて自分の友達もフェイスブックで結婚生活や子どもの写メをやたらあげる友達にうんざりしていると毒を吐く。
ネットに自分のことを書く人はキモいと二人は共感しあっていて
私はフェイスブックはしてないけど
こっそりブログをやっていた私は ブログのことを言わなくてよかったとほっとした。
「スウィーツの写真を撮るのも面倒くさいし、撮ったって、後から見直さんしいらん!」とまた二人で同意する。
小春と二人で遊んだ時、
私はよくスウィーツの写真を撮っていたから、
そんな風に思われていたんだ…と思うと恥ずかしくて
これからは撮ることはやめておこう。
私は…作った料理の写真は自分が作る時の参考にしたり
いろんな写真を載せているブログやフェイスブックはすきで、女の子らしくていいなーと思う人間だったから
「皆もそうおもうんだ…」と少し落ち込んだ。
外に出るとアスファルトが熱を持ってサンダルが焦げそうな
8月の初めの日曜日…。
いつもはうるさいセミの声も いい目覚ましになった。
早く起きて、海に行くために大きめのカゴバックに
タオルや日焼け止めをつめた。
わたしは真夏はいつもぶっ倒れていて
何年も夏の遊びをすることができなくて、海の眩しい光、波の音、潮の匂いを想像するだけでワクワクしていた。
パステルカラーでマーブル模様のマキシ丈ワンピ。
胸の下から切りかえがあって、同じ生地でできた紐で大きなリボンを結べる、お気に入りの服を着る。
麻で出来た白い鍵編みのシンプルなカーデに、ヒールのないサンダル
を合わせた。
ぴよよん ぴよよん
LINEのアイコンバッチが表示された。
宇美奈「寝坊シタ。ゴメ。」
「じゃぁ1時間遅らそう♪」と返事を送る。
するとしばらくして
次は小春からの通知。
「暑すぎるー。しぬ。むり。用意めんどくさす!」
困った私は
「えー?
じゃぁ 海じゃなくて 水族館にする?
涼しいし!」
と 違う提案をした。
せっかくだったら、夏らしいところに行きたいな…
今度は 宇美奈から
「だったらやめとこうかなー。海は来週彼氏といくし。
やっぱ家で漫画でもよもっかなー」
すごく悲しくなってしまった。
いつもだったら 別にいいかーと思えていたことだけど
遊びもろくに 行けない日が何ヶ月も続いた上に
何年かぶりの海に行けないことに、
ただ ただ 悲しくて 泣けてくるくらいショックだったけど、二人がそういうんだったら、もう今回のお出かけはないのか…と
泣きマークのスタンプを何個か連続で送るくらいしか出来なかった。
LINEの絵文字と 以前に私が海に何年も行ってなかったことを思い出してくれたのか
すぐに察して
ウソウソ!行こう行こう!
とフォローを入れてくれて 海に行くことになった。
浜辺でかき氷を食べながら
海はまぶしくて細い目で眺めていた。
すると黒く焼け いい体つきをした男の子たちが声をかけてた。
チャラチャラと話す男の子たちはすこし苦手。
それに男の子と話す事は久しぶりで妙に緊張してうまく話せない。
宇美奈も小春もキャッキャと笑い
テキトーな会話を楽しんでいて 私は笑っていた。
夜 花火をしようと誘われたけど、宇美奈は「彼氏いるからよるは無理ー」と断っていた。
その辺は警戒心が強い宇美奈。
しばらくすると、男の子たちとバイバイした。また女の子を探しに行くんだろう。
「ほっとした…。わたし、あーゆー感じの男の子と何話していいかわかんない。」
ふぅーっとため息をこぼしながら、ぼそりというと
「えー?テキトーに合わせて喋ったらいいんちゃうん?」と二人で顔を見合わせて
不思議そうな顔をした。