「花瓶の中の生と死」

花瓶の中に君と僕。
いつもここから色んな世界を見つめている。
我々には両親がいない。
生まれた時から花瓶の中にいる。我々は愛は真心、恋は下心と言う意味や言葉を脳に焼き付け、何度か恋をしようと頑張ったが、結局我々は我々で愛を交わすだけだ。いつの間にか、彼女は僕の事を、「ダーリン」と呼ぶようになった。そんな我々をダックスフンドが見つめている。


夕食の時間、花瓶から見える景色はまるで、硝子細工の街並み、
紫や青、黄色や赤、いろんな色が散らばり、その姿は、人間が見る星と一緒のような物であろう。


彼女は喉が渇いたと、花瓶の中の余り水を飲む。その姿を見ていると僕も飲みたくなりしょうがない。我々は水を口に含み、キスを交わし、水を2人で分け合いながら生きている。


水も残りわずかになっていた。
この花瓶に、入った頃、僕は就職をしていて、ゴムを作る会社にいた。だから周りの水が黒く汚れてしまう為、コンビニで水と煙草を買い、帰宅していた。


僕が煙草に火を付けると、入り口から水がポタポタと落ちて来て、煙草の火は花瓶の向こうの人間界で生きる女性により、消されてしまう。我々はもう3年も花瓶の中で生活している。


毎日一緒にいると、セックスをする事させ考えなくなってしまう。花瓶は花柄の為、ライトに照らされると、真っ白の壁に、花柄が映り、ホテルのような不意気になってしまう。その度彼女は、僕の腕に腕を絡ませ、甘い言葉を語りかけて来るが、僕は深いキスだけを交わし眠りにつく。


彼女は、喉が渇いた時、性行を求める時だけ口を開き、後は一切口をきかない。それでも我々は共に生きて来た。何もない場所で生きて行くのは困難な事だ。


愛だけを互いに求め合っても、最終的に悲しみや切なさしか僕の胸には残らない。その悲しみは、減っていく水と一緒で、求めて水を飲むが無くなれば、水は顔を出す事はない。愛を求める我々はキスを交わすがそれだけで、彼女の胸に傷を残す。


昔一度だけ、彼女を本気で抱き締めた夜があった。汗をかきながら彼女は喘ぎ声という歌を唄い出し、全てが終わると彼女は無口になる。その瞬間、僕の胸に牡丹の花のように真っ白な悲しみが咲いた。
愛を求めて抱き合っても、最終的に我々は愛を掴む事は出来ないのだ。


そんな日々が続き会話は一切ない。窓に見える飛行機雲が我々の目に飛び込んで来た。飛行機は何本も線を青いキャンバスに描き、
自分の好きな色で塗りなよと、雲が語りかけて来る。
だが空まで遠く、涙ばかりが花開く


ある日僕が目覚めると、彼女は涙を流し死んでいた。
水も飲めないでいたから、彼女の涙が水に変わる。
そして僕が煙草に火をつけると、真っ白な粉雪が降りだし。
僕の煙草を消した。


僕は独り だけど 独りも悪くない。生きていけるから。
「皆さん 悲しいお話です。 妹が犬に噛み千切られました。そんな真夜中の物語です。」

三日月の晩、僕は眠れなかった。僕の頭の上に、孔雀が羽を落とし飛んで行く。僕の布団は汗でぐっしょりだ。
僕は眠れずトイレへと向かった。廊下は線香と昨日の雨で土が湿り気持ち悪くなりそうな匂いを放っていた。
すると廊下に花柄のワンピースを着た妹が1人、三日月を見つめ、かもめを歌っていた。

「何時まで起きてるんだよ 寝ろよ。」

「嫌よ!!この障子紙の向こうでパパとママが何しているかわかる?」

妹は何時ものように、笑顔で話す。

「わからないよ。」

「じゃあ覗いて御覧なさい。」

そう言うと妹はヌクっと立ち上がり、障子紙に穴を開けた。
障子紙の向こうから、母の笑い声と父が何かで何かを叩く音が聞こえた。
その音が聞こえる度妹はほほほほと三日月を見つめ笑った。


僕は障子紙から向こうを見ると、父と母が姉の腹を裂き、臓物を解体している所だった。
僕は言葉も出ず、見たくは無いのに体は動かず、姉の死を見つめていた。

「お姉ちゃんが両親に…」


「真っ白な肌に真っ赤な血の花
咲き乱れ
開く口元 声は出ず
両親微笑む三日月の晩」


妹は僕に言った。

「次は私達の番よ。あのねお兄ちゃんそこにいる女の人、ママじゃないは、ママは死んだは」

妹は笑顔で話す。

「えっ…」

「お父さんの再婚相手にご飯作ってもらってたのよ。だからねお姉ちゃんは邪魔者だったのよ。
あの人の事、なんだかんだうるさかったでしょ?お姉ちゃんは嫌だったの。お父さんを恨み、あの人を恨んで死んだのよ。」


僕の頭の中に、黄色と赤の渦巻きがぐるぐる回っている。
時に孔雀がやって来て、渦巻きの中に羽を広げる。そこへ甲虫がやって来て、僕の脳味噌を少し噛む。
僕は兄弟から騙され、本当の母じゃないと言う事も知った。
僕は唾を飲み、妹に言った。


「勉強になりました…」


「感謝しなよ。お兄ちゃんはもう一人前の大人なんだからさ。」


僕はトイレに行き、覚えたての煙草をふかした。マルボロメンソールは川のように、喉を流れ冷たさを残す。それが癖になるんだ。


「悲しき夜明け
一本の煙草を吸う僕は
絶望少年と呼ぶのだろう」


時計は朝の7時を差していた。
妹は小学校へ、僕は小説を書いていた。家には誰もいなく、テーブルの上の夏目漱石の本が夏風に吹かれ、ページがめくれている。
僕の独りっきりの時間は早く進み夜を迎える。
時計の針は夜の19時を差していた。
妹はまだ帰って来ない。
僕は心配になり、外へ出た。


家の近くの鳥居が三日月と重なり鴉達の休憩所となっていた。

「最近やけに三日月が続くな。」
僕の言葉に反応したのか、鴉達が一生に山へ帰っていった。
だが妹は帰って来ない。
僕は近くの池や墓地を探したが、見つからない。
今頃家では、父が知らない女を連れ込み、切り刻んでいるのだと考えてしまうと帰りたくない。

丘に登り、ボブディランの歌でも歌いたい気分だ。
そんな事を考えていると、心が温かくなり、足元に水色の花が咲き出した。花は月の光に照らされ、青く水に浮かんでいるように見えた。恐怖、絶望、癒やし、この微妙な感情が僕の心を柔らかくしていく。

そんな時、柿の木辺りから、叫び声が聞こえた。間違いなく妹の声だった。色とりどりに花が光る農道を走った。

すると、妹は5人男達に遊ばれ、体に幾つもの傷が付き、ひゃひゃひゃひゃと笑う男達に抱きしめられながら、亀やミミズ、蛇や芋虫達を入れられ、失神していた。

僕は助ける事は出来ず、走って家へ帰り、障子紙に血液が飛び散った跡を何度も見ながら、僕は自分のバナナをこすった。
バナナをこすればぬるぬると溢れる僕の愛。
パンツに染みつく妹の裸。
黄色い染みを見てしまった僕は、真夜中の悪人だ。
その時父の笑い声と妹と遊ぶ男達の声が「ヒャハハハハハ」と響いた。


「煙草のように消える命
明日は見えるか見えないか
夏の夜空に照らされて
妹射手座を探してる
闇に包まれる僕の自身
夏に眠れない絶望少年」

明日なき少年
完

akb701さんのブログ-110217_2251~01.jpg

とても長い記事になりました。
実に恐怖そして美しい。
本や映像化、漫画化にしたら、どのようになるのか気になります。
私たたりのスペシャルメニューです。
今夜も闇と奇妙そして美の世界へ。
メッセージ、コメント沢山ください。皆さんの意見を知りたいです。今後、書いていく上で必要になります。

さぁお入りなさい。


詩集
「無気力人間の家族合わせ」

ねぇと呼ぶ
彼女の言葉に
ため息かぶせ
煙草吸う


窓辺の花が
枯れました
我々の前で
枯れました
花瓶の水は緑色
畳の上に花の涙が
こぼれ落ちる


夕陽に包まれる町と
僕の目に映るバス停は
僕を笑っているんだ


母親の空中ブランコ
弟の綱渡り
父の水芸
現在写真の中


24時間の夢
恐ろしい時代の流れに
身を任せ
平和な時が
来ることを願っている


緑色の僕の夢
真っ赤な君の夢
2つ混ざり
絶望という文字が
一瞬見えました


僕の腕時計が止まった
130日の短時間


貧しい我々の部屋に
春風がやって来た
働けと
僕の胸にやって来た


水色の風が
部屋の壁に
落書きを残していった
密かに育てた
浮気という文字


子供は欲しくないと
僕は泣いた
だって僕はまだ
子供でいたいから


晴天の週末
彼女心は
曇りがち


彼女の手首に
剃刀1つ
真っ赤な海に
淋しそうに
眠ってる


真っ赤な薔薇で
彼女を包めば
明日を生きて行けるかと
道化師が微笑む


彼女は
黒煙となり
天に昇
また僕は1人ぼっち


さっちゃん
みっちゃん
ありがとう
黒い罪のレグ
でした


故郷よ
我は今帰る
真っ赤な夕焼け
トマトのように
僕の心も赤いのです


田園の稲穂
故郷捨てた僕は
親不孝の案山子です


母の目
父の足
弟の口
母の耳
父の鼻
弟の指
ばらばら
ばらばら
僕は体を集めます


僕の家族合わせ
悲しき夜明け
家族合わせ
涙と孤独
絶望と失意
全てかき集め
家族合わせ


もうすぐ陽がくれる
家族を抱きしめ
夢をみる
バイオリンをひきたてる
無名の演奏者が
川の真ん中に立っている



詩集
「狼博士の血まみれ研究室」


山で生まれた
狼少年
1人淋しく
過ぎる冬の夜


肉を加え
血の花咲かせ
吠えろ満月
味方につけて


体から
毛がゾワゾワ
いい気持
生まれる新しい
夜明け


山を超え
谷を超え
やって来たのは
人間界


飯も喰えず
夜が明ける
日常悲しき
絶望の嵐


美少年の
血をすすり
眼球舐める
悪魔が笑う


学生帽
口に加え
走れ狼
深夜の町を


汗にまみれ
ボロボロになった
少年の体
食いちぎる


血に吠えろ
悲しみに吠えろ
明日は必ず
やって来る


花柄のワンピース
色白の少女
僕の胸に一本の
釘が刺さりました


白衣を奪い
逃走した
僕の目の前
雪の世界


暗い路地
少女の涙
少女の穴は
僕の愛を受け入れない


真っ赤な涙
血液地獄
少女は星に
なりました


真っ暗闇から
銃声のビート
僕の左肺を撃ち抜いた


気づけば
僕は彼女の家にいた