青藍:「…傷つけるのが怖いんだと思います。」
隆平:「嫌なら断っていいんだよ?」
青藍:「いや、まだ断るとか受け入れるとか決めてないのに、逃げるような真似して傷つけたくないんです。」
隆平:「どうしてそう思うの?」
青藍:「高校の頃の話なんですけど…。
すごい仲良い男友達がいたんです。いつも一緒に行動する親友というか。」
隆平:「うん。」
青藍:「でもある日、そいつが俺のこと恋愛として好きって噂が流れて。
当時は同性愛とかに免疫なかったし、無意識に怖いって思って、避けるようになってしまって。」
隆平:「うん。」
青藍:「そしたら、そいつ何も言い訳しないまま転校していきました。」
隆平:「青藍くんのこと好きだったのかな?」
青藍:「いや、噂は、そいつに振られた女子が流したデマだったんですが、それを知った時にはもう遅くて。
もし俺が逆の立場で、いきなり親友に避けられたら辛いどころじゃなかったって、すごい後悔しました。」
隆平:「そんなことがあったんだ。」
青藍:「だから、俺は俺のこと慕ってくれる人の気持ちからも、自分の気持ちからも逃げたくないんです。」
隆平:「ありがとう。話してくれて。」
青藍:「正直、今はまだ迷ってます。
隆平さんのこと素敵な人だとは思いますが、性的対象として見るってなかなか難しくて。」
隆平:「それが当たり前の反応だと思うよ。」
青藍:「すみません。ハッキリしなくて。」
隆平:「いいよ。僕はいくらだって待つし、青藍くんの決めた決断なら受け入れるから。」
青藍:「前に『手を繋ぐとこから』って話しましたよね?」
隆平:「うん、そこから考えてくれるって言ってたね。」
青藍:「今日、手繋いで寝てみませんか?」
隆平:「いいの?」
青藍:「はい。嫌悪感とかは絶対ないと思うんですけど、違和感があるか知りたくて。」
隆平:「分かった。はい。」
きゅっ
青藍:「このまま眠っていいですか?」
隆平:「うん、僕もこのまま寝るよ。」
青藍:「おやすみなさい。」
隆平:「おやすみ。」
(やくざえもんの過去が1つ明らかになった日、青藍の持つ過去も1つ隆平に伝えられ、どちらからともなく2人は平和な眠りに就いた。)