第420場(2) 伊豆の民宿 | 小説「果実な僕ら」

小説「果実な僕ら」

駆け出し脚本家の、初めての携帯小説です。
BLで始まりますが、内容は様々なヒューマンストーリー。
脚本形式なので、ご了承ください。

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あかざえもん @akazaemon_hoshi

青藍:「…傷つけるのが怖いんだと思います。」


隆平:「嫌なら断っていいんだよ?」


青藍:「いや、まだ断るとか受け入れるとか決めてないのに、逃げるような真似して傷つけたくないんです。」


隆平:「どうしてそう思うの?」


青藍:「高校の頃の話なんですけど…。

すごい仲良い男友達がいたんです。いつも一緒に行動する親友というか。」


隆平:「うん。」


青藍:「でもある日、そいつが俺のこと恋愛として好きって噂が流れて。

当時は同性愛とかに免疫なかったし、無意識に怖いって思って、避けるようになってしまって。」


隆平:「うん。」


青藍:「そしたら、そいつ何も言い訳しないまま転校していきました。」


隆平:「青藍くんのこと好きだったのかな?」


青藍:「いや、噂は、そいつに振られた女子が流したデマだったんですが、それを知った時にはもう遅くて。

もし俺が逆の立場で、いきなり親友に避けられたら辛いどころじゃなかったって、すごい後悔しました。」


隆平:「そんなことがあったんだ。」


青藍:「だから、俺は俺のこと慕ってくれる人の気持ちからも、自分の気持ちからも逃げたくないんです。」


隆平:「ありがとう。話してくれて。」


青藍:「正直、今はまだ迷ってます。

隆平さんのこと素敵な人だとは思いますが、性的対象として見るってなかなか難しくて。」


隆平:「それが当たり前の反応だと思うよ。」


青藍:「すみません。ハッキリしなくて。」


隆平:「いいよ。僕はいくらだって待つし、青藍くんの決めた決断なら受け入れるから。」


青藍:「前に『手を繋ぐとこから』って話しましたよね?」


隆平:「うん、そこから考えてくれるって言ってたね。」


青藍:「今日、手繋いで寝てみませんか?」


隆平:「いいの?」


青藍:「はい。嫌悪感とかは絶対ないと思うんですけど、違和感があるか知りたくて。」


隆平:「分かった。はい。」


きゅっ


青藍:「このまま眠っていいですか?」


隆平:「うん、僕もこのまま寝るよ。」


青藍:「おやすみなさい。」


隆平:「おやすみ。」



(やくざえもんの過去が1つ明らかになった日、青藍の持つ過去も1つ隆平に伝えられ、どちらからともなく2人は平和な眠りに就いた。)