第421場 エレアの家 | 小説「果実な僕ら」

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駆け出し脚本家の、初めての携帯小説です。
BLで始まりますが、内容は様々なヒューマンストーリー。
脚本形式なので、ご了承ください。

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あかざえもん @akazaemon_hoshi

【第421場 エレアの家】


(11月13日 昼頃)

(伊豆から帰宅したところ)


エレア:「2日目も大量に連れたし、遠足みたいで楽しかったなー。

おっと、ポスト見てなかった。」


カパッ


エレア:「ん?封筒?」


(エレアの家の中)


エレア:「差出人は、あ、この前オークションで落札してくれた人か!」


ポトっ


エレア:「ガラスの指輪…。」


『せっかくなのですが、指輪はサイズが合わなかったのでお返しします。代金の返金は結構です。』


エレア:「そっか。指輪はサイズがあるもんな。

お前だけ戻って来たか…。

かおと行った小田原の夏祭りか…。

あいつ浴衣がすげー似合ってたな…。

……。

いやいや、感傷に浸ってる場合じゃねーや。

とりあえず置いといて、そろそろ怜が来る頃だよな。」


♪ピンポン


エレア:「おーナイスタイミング!」


ガチャ


エレア:「よ!」


怜:「おはよ、かな?旅行楽しかった?」


エレア:「おお!大物の魚釣ったんだ!

怜にも見せてやりたかったぜ!」


怜:「それは残念。

あ、今、ヒカルが熱出て寝てるから、今日は昼飯ないんだ。ごめん。」


エレア:「謝ることじゃねーじゃん。

んじゃ、俺は下のコンビニで飯買ってくる。

怜も行くか?」


怜:「いや、俺は家で食って来たから。」


エレア:「んじゃ、行ってくんな。」


バタン


怜:「おじゃまします、と。

さて、今日は英語で自信ねーとこ聞かねーと。

あ、辞書借りよ。」


(机の上を見る)


怜:「指輪?

サイズ的に、薬指…?

ってことは…。」


バタン


エレア:「ただいまー。

どうした?突っ立って。」


怜:「これって…ベアリング?」


エレア:「あー、前付き合ってたやつとのな。

オークションで1回処分したんだけど、戻ってきてさ。」


怜:「別に嘘言わなくていいよ。

処分出来なかったんだろ?」


エレア:「は?嘘じゃねーよ。」


怜:「なら、俺とSEXしよーぜ。」


エレア:「ばーか。いきなりなんだよ。」


怜:「前付き合ってたやつとはヤってたんだろ?」


エレア:「前の恋人は前の、怜は怜だろ。

俺は怜とはプラトニックでいいと思ってる。」


怜:「そんなんじゃ結びつきが不完全だろ?!」


エレア:「精神的に繋がってれば、不完全ってことはないだろ?」


怜:「前のやつとは出来るのに、俺とは出来ねーんだな。そんなに魅力ねーかよ!」


エレア:「指輪の1つくらいで動揺すんなよ。

俺らは俺らじゃん。

指輪も今すぐ捨て…ても…。」


怜:「ほらな!まだ未練ある証拠だろ?!」


エレア:「落ち着けって。」


怜:「帰る!じゃあな!」


バタン


エレア:「はぁ。なんでいきなり。

指輪…捨てる…べきだったのか?」



(たった一つの指輪が、多感な怜にとっては衝撃的で、順調だった恋に亀裂が入ろうとしていた。)