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家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤やで働く竹田のブログです。仕事の事や家具のこと、個人的なしょーもないことまで日々綴っていきたいと思います。

円居 挽さんの「丸太町ルヴォワール」を読みました。


丸太町ルヴォワール 円居 挽

あらすじ

祖父殺しの嫌疑をかけられた御曹司、城坂論語。彼は事件当日、屋敷にルージュと名乗る謎の女がいたと証言するが、その痕跡はすべて消え失せていた。そして開かれたのが古より京都で行われてきた私的裁判、双龍会。艶やかな衣装と滑らかな答弁が、論語の真の目的と彼女の正体を徐々に浮かび上がらせていく。
「BOOK」データベースより

2年前のこのミスでもランクインしていた作品で非常に興味があったのだが、
文庫化されたので早速買って読んでみた。
冒頭の3年前に起こったこの物語のキーマンである城坂論語が語るルージュとの超人的な頭の良さ合戦を繰り広げるやり取りが、現実離れしすぎていて若干げんなりしてしまい、これはちょっと読むのが大変かもと心配になった。
しかし魅力的な主役二人と、ド派手で強烈な個性の相手方にあたる龍樹家陣営が登場してからは、もう読むのを止められないぐらいの、この細部まで丁寧な作られた独特で不可思議な京都に浸りきれた。万城目学や森見登美彦が描く京都にガチガチの本格推理を持ち込んだかのような世界観。
「双龍会」というあくまで私的な裁判ではあるが、一部の隙もなく組み立てられたロジックを戦わせる様相は完全に法廷小説。
ルージュ失踪を様々な考察で明らかにしていく大筋ももちろん面白いが、作者が読者に仕掛けた数々の罠も見事すぎて驚きの連続。自分は何度も「なんだってー!?」となってしまった。
そして延々と続くどんでん返しに気持ちよく騙され、自分のミステリ欲が十分に満たされた後には、最終的に浮かび上がったこの作品の一番大きなテーマである純愛にほっこりできた。
読了した後、もう一度気になったところを読みなおしてみた。
最初は何気なく読んでいた部分にも非常にフェアなかたちで多数様々な伏線や罠が仕掛けてあり本当に驚いた。
いやー面白かった。
即効続編にあたる「烏丸ルヴォワール」も買ってしまった。
めちゃくちゃ楽しみ!!


烏丸ルヴォワール
初野 晴さんの「千年ジュリエット」を読みました。


千年ジュリエット 初野 晴

あらすじ
こんどの舞台は文化祭。アメリカ民謡クラブ、演劇部、そして吹奏楽部…おかしなキャラクターたちがひき起こす難問題とは?青春ミステリ“ハルチカ”シリーズ第4弾。
「BOOK」データベースより

先日「空想オルガン」を読んだばかりのハルチカシリーズ。
4編からなる短編で構成されているが今回はすべて文化祭の話。
前作がほぼ主人公たちが所属する吹奏楽部のコンクールの話がメインだったが、
今回は他の部のストーリーが多し。
今まで登場したキャラたちもオールスターで勢揃い。
新たに登場した鍵盤ハーモニカ吹きの山辺真琴さんのキャラも個性的で面白い。
その風貌からスナフキンとの渾名されるが、発言も実際達観していてスナフキンぽい。
アメ民部長の甲田君の弾けつつも心優しいキャラも好きだ。
「失踪ヘビーロッカー」はその甲田くんのキャラだけで笑える。

印象に残った話はやはり表題作の「千年ジュリエット」。
文体から、これは…あの手のトリックだなとミステリ読みはすぐに察知できるが、
その実態は予想の斜め上を行くオチでビックリ。
こいつはヤラレタ!

米澤穂信の古典部シリーズのアニメが評判らしいので、
次はこのシリーズも映像化しそうな予感。
荻原 浩さんの「噂」を読みました。


噂 荻原浩

あらすじ
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

自分にとっては初の「荻原浩」。今から10年以上前の小説だが、最後がビックリするとの「噂」を聞いて読んでみた。
ちょうど10年前のインターネットでCGMサイトや口コミがマーケティングに活発に利用される前の話。マーケッターが噂の発生のきっかけを作ったり波及しやすい仕掛けを用意したりするWOMがテーマ。ここ最近ではネット上では「ステマ」が取りざたされているが、その前段階のアナログな手法として非常に興味深い。今読んでもその手法がまったく古臭いとは思えない。
全編通じて多数登場する女子高生主達のノリにちょっと食傷気味になるが、主人公である警察の小暮と名島の大人のコンビが収まりがよく、この二人の捜査で転がっていく展開は小気味がよい。読みやすい文章で一気に読めてしまう。
連続殺人犯の「レインマン」という名前を見て自分は瞬間的にダスティン・ホフマンを思い浮かべたのだが、作中でも映画「レインマン」を取り上げるようなことがなかった。
一人ぐらい映画の薀蓄を言う登場人物がいてもよかったのに。


若干ネタバレあり



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連続殺人犯は女子高生の足首フェチで、切り取った足首を相手に話しかけたり仮想の生活を楽しんでいたが、これは…、完全に…、キラークイーン吉良吉影!!!!
ただ犯人は植物の心のように穏やかな生活を望む事なく、死体を人の目につくところに置くような自己顕示欲がある点が大きく違うが…。
そしてラストの衝撃の一行。
読者がたっぷり感情移入した小暮刑事のそれまでの子育ての悩みや親子の情愛をふっとばす一撃。読後の後味の悪さよりも、たった4文字だけで読者に衝撃を与える仕掛けを作った作者の技量に感服。