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荻原 浩さんの「噂」を読みました。


噂 荻原浩

あらすじ
「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

自分にとっては初の「荻原浩」。今から10年以上前の小説だが、最後がビックリするとの「噂」を聞いて読んでみた。
ちょうど10年前のインターネットでCGMサイトや口コミがマーケティングに活発に利用される前の話。マーケッターが噂の発生のきっかけを作ったり波及しやすい仕掛けを用意したりするWOMがテーマ。ここ最近ではネット上では「ステマ」が取りざたされているが、その前段階のアナログな手法として非常に興味深い。今読んでもその手法がまったく古臭いとは思えない。
全編通じて多数登場する女子高生主達のノリにちょっと食傷気味になるが、主人公である警察の小暮と名島の大人のコンビが収まりがよく、この二人の捜査で転がっていく展開は小気味がよい。読みやすい文章で一気に読めてしまう。
連続殺人犯の「レインマン」という名前を見て自分は瞬間的にダスティン・ホフマンを思い浮かべたのだが、作中でも映画「レインマン」を取り上げるようなことがなかった。
一人ぐらい映画の薀蓄を言う登場人物がいてもよかったのに。


若干ネタバレあり



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連続殺人犯は女子高生の足首フェチで、切り取った足首を相手に話しかけたり仮想の生活を楽しんでいたが、これは…、完全に…、キラークイーン吉良吉影!!!!
ただ犯人は植物の心のように穏やかな生活を望む事なく、死体を人の目につくところに置くような自己顕示欲がある点が大きく違うが…。
そしてラストの衝撃の一行。
読者がたっぷり感情移入した小暮刑事のそれまでの子育ての悩みや親子の情愛をふっとばす一撃。読後の後味の悪さよりも、たった4文字だけで読者に衝撃を与える仕掛けを作った作者の技量に感服。