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乾 くるみさんの「スリープ」を読みました。


スリープ 乾 くるみ

あらすじ
目覚めると、そこは30年後の世界だった。『イニシエーション・ラブ』『リピート』に続き、今度は未来へ…6年ぶりの長篇書き下ろし。
「BOOK」データベースより

SFをベースにしたいつもの著者らしいミステリ。
冷凍睡眠の技術をはじめ小難しい科学的な設定や薀蓄話がズラズラと書かれ、
陳腐で嘘くさい感じがあまりしない。
SFではあるが冷凍睡眠なんて近い将来あってもおかしくないかも、と思わせるリアリティがある話。

30年後の世界の描写がおもしろい。
瞬間的に服が乾く装置やルパン三世の変装キットみたいなマスクが普通に流通している。
未来の設定がしっかりしているので、普通のSF小説として楽しく読める。

肝であるミステリ部分も著者ならではのSF要素を使った見事なプロットだと思う。
ただ、自分はこの小説を読む直前に読んでいたのが「GANTZなSF映画論」。
頭の中が古今東西のSF映画やGANTZの世界観に侵されていたので、
この小説のハードなSF設定に必要以上に入り込めたものの、
かなり早い段階である可能性に思い当たってしまった。
その為一番のどんでん返し感がまったく味わえなかった。
色んな映画やGANTZの事を考えながら読むんじゃなかったな~と後悔。
緻密に張り巡らせられた科学的な設定はちんぷんかんぷんで全然理解できない文系脳なので、
いつもなら絶対騙されるはずなのに…。なんか損した気分。
この気持はなんの予備知識もなく偶然、
歌野晶午さんの「葉桜の~」と西澤保彦さんの「神のロジック~」を連続して読んだ時以来。

そして相変わらず登場人物は変人が多し。
好感の持てるキャラがあまりいないのもいつもの著者の作品だなぁという印象。
でもそんな乾作品が私は好きなんですけどね。