ドラゴンタトゥーの女 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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デヴィッド・フィンチャー監督の「ドラゴンタトゥーの女」を観ました。

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ドラゴンタトゥーの女 デヴィッド・フィンチャー監督

原作が売れに売れていたのは知っていたが未読。
数カ月前にこの映画の予告を観た時からものすごく楽しみにしていた。

キャッチコピーにもある「誰がハリエットを殺した?」かを解くストーリー。
文字で書くと「だーれっが殺した~♪」とパタリロ!みたいに軽くなってしまうが、全編通して緊迫した重厚な作り。
この事件を依頼するのがスウェーデンの大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲル。
そしてこの事件を調査するのがダニエル・クレイグが扮するミカエル。
自分は最近の007を観ていないので、ダニエル・クレイグを見るのが結構久しぶり。
「ロード・トゥ・パーディション」以来だろうか。随分ダンディな感じになったなぁという印象。

そして事件を解くためにミカエルはヴァンゲル家が住む島に移り住みこむ。
次々と現れて紹介されるヴァンゲル家の住民たち。この家系がややこしい!
小説ならば、ええーっとコレは誰だっけ?となったらページを戻れるが映画だとそうはいかない。
全員なんちゃらヴァンゲルという一族だから頭の中で家系図を辿る事になる。
閉塞感のある島に住む一族、深まる謎、物語中盤で見立て殺人も登場する。
このディティールはまるで北欧版の横溝正史のミステリか!?とワクワクする。

ミカエルのストーリーとは別にこの映画のもう一人の主役、
背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性、ルーニーマーラが熱演するリスベット・サランデルの物語も同時に進む。
このリスベットのパートが過激な性描写や暴力表現もあり結構キツイ。
格好も性格もぶっ飛んでいるものの凄腕ハッカーであり瞬間記憶能力をもつ一流調査員のリスベットは、
世間では責任能力がない問題児で後見人が必要な社会的弱者。
その後見人の弁護士になすがままに陵辱されるシーンはカット割もカメラワークも悪魔的に冴えている。
誰も助けが来ない絶望感のまま陵辱されてしまう…→部屋の外へフェードアウトかと思いきや、
十分に間をとって再び部屋にフェードイン…。
観ている全員がリスベットに同情し、後見人に対して憎悪と嫌悪感を抱かせるのに十分な演出。
その分この後のリスベットの復讐劇が痛快に思えるようになるんだけど…。
そしてこの後見人にする復讐劇が痛い、痛い!子供には見せられない!

リスベットのパーソナリティを十分に描写しきったところで、やっとミカエルと合流して二人で事件を追う状況に。
ここからは本当にテンポ良く、片時も目が離せない展開に。
特に物語の核心近く、二人が別々に事件の謎を探り、それぞれが真相に行き着く場面は鳥肌が立った。

ここから先はネタバレも多分に含むので、
自分的に印象に残ったシーンだけを列挙。

ネタバレもありますよ
↓↓↓↓

・古い事件を探っていくと聖書から引用された見立て殺人が表面化。
否が応にも「セブン」が思い出される。
フィンチャー起用の理由はコレか!と納得。

・パソコンを映像的に本当に上手く使っていて感心した。
リスベットがミカエルのMacを使うシーン、
ミカエルが情報として得た写真を並べ替えるシーン、
PCを操る人間の心理状態がPCモニターを見てわかるような演出が施されていた。

・ミカエルが解体されそうになるシーン。
こんな修羅場のBGMがエンヤ!?このアンバランスさで狂気を表現するフィンチャー監督は天才!
レイプシーンで「雨に唄えば」を歌う時計じかけを思い出した。
そしてエンヤがかかる前に流れていた曲もすごく良かった。

・最初の印象は横溝ミステリ。
しかしあの禍々しい独特の雰囲気が乏しい事もさることながら、
殺人の動機が怨恨も復讐も何もないという快楽殺人で、
ただのシリアルキラーとわかった時点でちょっと拍子抜け。
偏った宗教観、ナチス傾倒、一族経営の大企業の闇…みたいな仰々しい設定の割に、
大したバックボーンもない、ただの殺人鬼なのか…と。
ミステリの犯人としてもイマイチキャラ付けが弱い印象。

・物語の核心である「誰がハリエットを殺した?」。
この解答も昨今の推理小説を読み漁った経験のある人間であれば、
選択肢の一つに容易に入るであろう想定内の真相だった。



全体的には女性蔑視やセクハラ、近親相姦やら出てくるものはこの世の膿ばかり。
メインの登場人物も貞操観念の欠片もない面子ばかりで辟易する。
それでもこのリスベットという非常に魅力的なキャラクターが活躍するストーリーに心躍る。
願わくはラストでミカエルとうまくいけば良かったのだけど、これはまた続編に期待しよう。

映画的には映像も音楽も素晴らしかった。
そして暴力的で残虐な描写も多いが、それもこの監督の持ち味。
「ソーシャルネットワーク」も確かに面白かったけれど、
作り手のぶっ飛んだ狂気が垣間見れる「セブン」や「ファイトクラブ」の
あの自分の大好きなデヴィッド・フィンチャーの映画だ!
と声を大にして言える傑作だと思う。

細かい部分、特にヴァンゲル家の人たちの設定やリスベットの心理描写をもっと知りたいと思い、
原作を読んで補完しようと、早速注文しちゃいました。