乾くるみさんの「嫉妬事件」を読みました。
嫉妬事件 乾くるみ
乾くるみさんといえば「Jの神話」「イニシエーションラブ」「セカンドラブ」等々、
エグくて過激な恋愛描写が若干自分のトラウマにもなっているので、
タイトルを見てすぐ「きっと、また嫌~な恋愛話なんだろうな~」と想像。
が、しかし、中身を読み進めてビックリ!全然思っていたような話じゃない!!
タイトルからしていかにも人が殺されそうな感じだが、人は死なない。
しかしちゃんとした本格ミステリ。
日常の謎系と言っていいものか…。
だって、これ日常生活でまずあり得ないしなぁ。
俗に言うバカミスである事は間違いないかな。
登場人物たちが挑む事件自体がある意味殺人以上にインパクトがあるので、
これを明らかにするのもちょっと憚れる…。
ちょっと、この事件の概要自体をネタバレなくして何も書けない。
以下ネタバレあります!
↓
話の核である事件がブッ飛んでいる。
ある日、大学の推理研の部室にある書棚の本の上にウンコがのっていた!!
しかも何冊にも渡って乗っているので、たくさんのマニアックなミステリ本が犠牲に!!
一体誰が??何の為に??
本を愛する推理研のメンバー+他大学の天童(今回の天童氏は好きだな)がこの謎を解明するという話。
真剣に議論し謎を解こうとするので、もちろんウンコも調べる。
中の残留物から、前日に食べていたものを推測しようとしたり、
乾き具合からどれぐらいの時間が経っているのか推測したり。
他の部室にどこかでウンコを見なかったか?と聞き込みに行ったり。
これをガチでやるので、多分最初の段階で生理的に受け付けないという人も出てきそう。
しかし、自分的にはこの設定がバカバカしくてめちゃくちゃ面白かった。
「私このウンチ見たことあります!」
一同「ナンダッテー!!」
というのを本気でやっているから面白い。
ひたすら密室で推理合戦をするだけで終わるかと思いきやそうでもない。
新たなウンコが出現するなど、意外な展開も見せる。
物語を動かすのもやっぱりウンコというのが笑わせる。
最終的に性的にマイノリティな犯人の動機の部分は乾作品らしさが出ていた。
デ・パルマの「キャリー」の豚の血を被るシーンを見て興奮するってすごい性的倒錯だ。
理解できないが、そういう変態だからこその今回の事件であると納得。
嫉妬=Shitを引っ掛けたタイトルもお見事!
でもウンコ中心のこの内容でこの表紙はないよなー。
これが一番騙された。