麒麟の翼 | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤や 竹田のブログ

家具 通販 赤やで働く竹田のブログです。仕事の事や家具のこと、個人的なしょーもないことまで日々綴っていきたいと思います。

東野圭吾さんの「麒麟の翼」を読みました!


麒麟の翼 東野圭吾

加賀恭一郎シリーズ。
このシリーズのリストを見ると、とばしとばし読んでいる東野作品でも
どうやら私はこのシリーズは一応全部読んでいるみたいだ。
本の帯には「加賀シリーズ最高傑作」と書かれ、著者自身もそれを後押ししているので、
俄然期待値は高まった。

日本橋の「麒麟の像」にもたれかかるようにして男が倒れていた。
事件直後に被害者の財布や鞄を持った若い不審な男が現場から逃走中にトラックにはねられる。
若い男は真犯人なのか?
被害者はなぜ瀕死の状態で日本橋まで歩いてきたのか。
加賀・松宮の両刑事が真相に挑む。

前作に引き続いて東京の下町が舞台。
「新参者」でも感じたが、描かれる舞台の土地勘がない自分でも
風情ある下町の情景が目に浮かぶような描写。
江戸情緒あふれる町並みに行ってみたくなる。

加賀刑事は相変わらず地道に現場を歩き回って得た膨大な情報から、
抜群の推理力で真実に近づいていくスタイル。
挑戦的な犯人当てや難しいトリックもないが、
ただ愚直に被害者の行動と心情をトレースしていく過程に引き込まれる。
真相を追う両刑事と同じ心境でガッツリ物語に入り込めた。

労災隠し、派遣切りなど昨今の雇用事情の負の側面が明るみに出るが、
読んでいくと事の真相はもっと根深く切ない結末を予感させる。
いつもながらの読みやすい文章も手伝って、
早く先が知りたい…とスラスラとあっという間に読めてしまった。

真相はやはり哀しく切ないものだったが、
結末は希望も未来もあり、スッキリとした読後感。
親子の絆が最大のテーマだが、少年の成長物語でもある。
ただモヤっとするのは企業側の話が有耶無耶なところですかね…。

今回は相棒の松宮刑事の成長も読んでいて嬉しい。
金森看護師の登場も懐かしい。

そして、前作「新参者」を読んだ時と違い、
この本を読んでいる間は加賀刑事が阿部寛で再生されてしまい、
イメージが頭の中で定着してしまいましたね。

まあ、それはガリレオシリーズも一緒か。
映像化が多い作家さんの作品だと、どうしてもこうなっちゃいますよね。