彼女はもういない | 家具 通販 赤や 竹田のブログ

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西澤保彦さんの「彼女はもういない」を読みました。


彼女はもういない 西澤保彦

コミカルなSF設定物もシリーズ物もエグイ話も、どんなテイストの西澤ミステリも好物な自分。
今回はR-18と書いてあるように、鬼畜方面のベクトルに振り切った作品でした。
「収穫祭」のようなエログロ満載。

届いた同窓会名簿を見ると、バンド仲間だった比奈岡奏絵の連絡先が空欄だった事で、
主人公の鳴沢はなぜか世の女性に対しての強烈な憎悪を覚え、冷酷非道な連続殺人鬼へと変貌する。
誘拐、拉致、凌辱ビデオの撮影そして殺害。冷酷のかぎりを尽くした完全殺人の計画は何のためだったのか―。


以下若干ネタバレもあります!
↓↓

あらすじだけ見てもかなりイッちゃってる。
この鬼畜の所業を行う過程も、殺人の現場も最初から全て判明している。
焦点は主人公の鳴沢の目的がなんなのか?に当てられた倒叙ミステリ。

何しろ、
女性をスタンガンで卒倒させる→女性の携帯のメモリをチェック
ここで選択肢
(メモリに他人の住所が登録されている場合)
拉致して陵辱してビデオ撮影→女性を殺す→メモリに住所登録されている人間に脅迫電話→その脅迫した人間の住所に撮影したDVDを投函
(メモリに住所が登録されている人間が1件もない)
→そのまま道端に放置
という物凄くリスキーで面倒くさい手順を踏んで殺人をしていくので、
一体何がしたいのか?何が目的なのか?の部分に読んでいる方は物凄く興味が湧く。

読み進めていくと、驚きの犯罪動機と完全犯罪ストーリーが浮かび上がるが…、
これだけ持って回って行った犯罪の動機が全くもって理解できない。
いや、鬼畜な犯罪者の心理は常人には理解ができないから狂人というのか…。
本の帯にも既に答えがあった。
「女を殺せば殺すほど、あの人に会えると信じていた。」と。

最終的に城田警視の推理で鳴沢は追い詰められるが、
(後から知ったのですが、「猟死の果て」に登場したあの女警視!読んだのが13年ぐらい前で完全に忘れていた。)
ここまで手の込んだ完全犯罪を計画した鳴沢が、
初歩的なミスを犯していたところが残念。

ラストはこれしかないという結末。
タイトルの意味も表紙の写真も全てが綺麗に収まった。
これには唸らされた。
西澤さんは最後のオチが本当に上手いなあ。