週刊まちぶら 第193号)恵我ノ荘駅かいわい 羽曳野市 地名のルーツ /大阪府

2009.05.17 大阪地方版/大阪 27頁 大阪府 写図有 (全2,437字) 













 えがのしょう。恵我ノ荘(地名は恵我之荘)と書くこの駅は近鉄大阪阿部野橋駅から南大阪線で最速12分。交通量の多い駅前の商店街から一歩入れば静かな住宅地が広がる。



 一風変わった地名のルーツを探ってみると、意外にも新しいことが分かった。1924(大正13)年、近鉄の前身の大阪鉄道が駅を開業、同時に駅北側で高級分譲住宅の発売を開始した。同市の誉田(こんだ)八幡宮の中晴世(なかはるよ)名誉宮司(85)は「住宅地の名をどうするか相談を受けた父親(幸男さん)が『恵我之荘』と付けたんです」と明かす。同神社に隣接する巨大古墳・応神天皇陵が「恵我藻伏崗陵(えがのもふしのおかのみささぎ)」と呼ばれることと、かつてこの地域に「会賀荘(えがしょう)」という荘園があったことからヒントを得たらしい。分譲住宅の名前は戦後、地名に採用され定着した。



 駅名と地名で字が異なるが、近鉄は「理由は分かりません」。80年前から同住宅地で暮らす櫛橋昭さん(81)は「昔は駅も恵我之荘と書いた。読みやすいように『之』を後年カタカナにしたのでは」。かつて街に彩りを添えたというポプラ並木は今はないが、きちんと区画整理された町並みに往事の面影を残している。



 (白木琢歩)



 ◇厳選の陶器・工芸品



 大きな桃をデザインした木の看板が目印の「桃の木」。神戸の古民家を解体した時に出た建材で装飾した店で、落ち着いた雰囲気。厳選した現代作家の陶器や工芸品など普段使いの商品を、国籍を問わず紹介する。店主の松本由美子さん(62)と夫の憲武さん(68)のこだわりは「できるだけ作家の元に足を運び、信頼関係を築いたうえで商品を置くこと」だという。松本さんは商店街に人が集まる機会をつくろうと、月2回、好きな花を器に生けるレッスン(1回2千円、花代とコーヒー代込み)も行っている。



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 〈1〉桃の木 午前11時~午後7時。日祝日・月曜定休。価格はマグカップで2千円前後が中心。白雪ふきんなど小物も置く。072・939・7622



 ◇ソースにイチジク



 お好み焼きや串カツなど、大阪の食に欠かせないソースを40年以上造り続けている「ツヅミ食品」。一押しの新商品が、南河内特産のイチジクを使った「力(ちから)ソース」(450円)だ。河内産赤ワインや金剛山ろくの名水も使用。「地域の力を結集したという意味と『大変な時代やけど、みんな力出していこうよ』という思いを込めました」と営業部長の高橋康さん(43)は熱く語る。ラベルには世界遺産登録を目指す地元の百舌鳥・古市古墳群の写真を入れ、地域色を前面に打ち出している。



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 〈2〉ツヅミ食品 午前9時~午後5時。日祝日と第2土曜休み。ホームページ(http://www.tuzumi.co.jp)でも販売する。072・955・8466



 ◇多彩ケーキずらり



 恵我ノ荘駅から徒歩約30秒の洋菓子店「パティスリーバロン」。1968年に中山義雄さん(71)が創業して以来住民に愛されてきた。人気の定番が一口サイズのシュークリーム(63円)。薄皮にクリームたっぷりで手みやげに買う人が多いという。ショーケースには旬の果物を使うなど彩り鮮やかなケーキがずらり。2代目の琢実さん(38)=写真=は「楽しい家庭の時間を演出するお手伝いをしたい」と話す。品切れでも最短15分でホールケーキを作ってくれるのもうれしいサービスだ。



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 〈3〉パティスリーバロン 午前8時~午後9時。正月と12月26日以外は無休。ショートケーキは400円前後が主流。2階に喫茶コーナーもある。072・953・8800



 ◇気軽にイタリアン



 恵我之荘商店街に昨年9月オープンした「タヴェルナ エッセ」。羽曳野産の無農薬野菜や泉州の地魚などこだわりの食材を使ったイタリア料理が気軽に味わえる。腕を振るうのは地元生まれの島岡雅治さん(35)。1階はオープンキッチンのカウンター席で、肉をあぶる様子などを見て楽しめる。手打ちパスタは注文が入ってから打つほか、旬の果物のジェラートなど随所に手作りのこだわりが。「お客さんには肩ひじ張らず、いつもよりちょっといい物を食べられたと思ってほしい」と島岡さん。



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 〈4〉タヴェルナ エッセ 午前11時半~午後2時、午後6時~同10時。月曜休み。ランチは1千円から、ディナーコースは2800円から。072・933・3178



 ◇評判の朝取り野菜



 地域の特産品を売る「いらっしゃい」。元々は商店街の空き店舗対策として市商工会が98年にオープンさせた。一度は閉店したものの、開設当初から店を切り盛りしてきた東田勝美さん(67)が「商店街をこれ以上寂しくさせたくない」と経営を引き継ぎ再スタートを切った。主婦たちの間で評判なのが河南町から仕入れる朝取り野菜。地元で採れるイチジクやブドウなどのフルーツも取り扱う。また料理研究家の故・土井勝さん直伝のレシピで東田さんがつくる「めぐちゃんギョーザ」も根強い人気だ。



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 〈5〉いらっしゃい 午前9時~午後2時。日祝休み。ツヅミ食品のソースも販売する。夏季限定の冷やしあめ(100円)も隠れた人気。072・930・6776



 ◇国宝指定、民家で初



 約400年前に創建されたとみられる「吉村家住宅」は戦前、民家として日本初の国宝に指定された。現在は約5280平方メートルの敷地全体が国の重要文化財だ。長い土塀に囲まれた大きなかやぶき屋根がひときわ目をひく。武士層とも交流のあったかつての大庄屋の住まいで、透かし彫りの欄間など細かい装飾を施した奥座敷や約100平方メートルもある土間など見どころは多い。春と秋の一般公開には、この家で産声を上げた現当主の吉村堯さん(82)自らが来場者に説明を買って出ている。



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 〈6〉吉村家住宅 通常は内部非公開だが、学術・教育目的は受け付けることもある。問い合わせは羽曳野市教委文化財担当(072・958・1111)へ。


週刊まちぶら 第153号)古市駅かいわい 羽曳野市 街彩るタケル伝説 /大阪府

2008.04.28 大阪地方版/大阪 27頁 大阪府 写図有 (全2,329字) 













 近鉄古市駅かいわいは、古代の伝説に彩られた羽曳野市の玄関口だ。日本書紀は、伊勢で没したヤマトタケルが白鳥に姿を変えて飛び立ち、2度目に旧市邑(ふるいちのむら)(同市古市付近)に舞い降りた、と伝える。



 駅東の白鳥神社の縁起には、その後白鳥は舞い上がり、羽を曳(ひ)くがごとく飛び立った、と記され、ここから「羽曳野」の地名が付けられた、とされる。駅の西側に少し足を延ばせば、ヤマトタケルの墓との伝承がある前方後円墳「白鳥陵古墳」もある。



 東西に走る竹内街道は、大陸との玄関口であった難波と、飛鳥の都を結ぶため整備された「日本最古の国道」だ。京都と高野山を結んで南北に走る東高野街道と駅東側で交わっている。大和から泉州の堺へ、あるいは紀州から京や大坂へ向かう旅人や商人でにぎわう宿場町だった。駅東側の石川には船着き場があり、堺や大坂との間を物資が行き交う水陸交通の要衝として栄えた。



 繁栄の面影を残す建物は年々少なくなるが、幅が狭く所々で直角に折れる街道の風情は健在だ。市は今年度から、景観の保全も視野に入れ古市地区のまちづくり基本構想策定に乗り出す。(白木琢歩)



 ■「味も量も満足を」



 駅西側の白鳥交差点を西へ歩くと、スパゲティとピザの店「ドマーニ」がある。店長の藤井正詔さん(63)=写真右=が脱サラし12年前に開業。妻の智子さん(51)=同左=が接客を担当する。人気メニューの一つがペペロンチーノ(800円)だ。青森産のニンニクが惜しげもなく2、3片入っている。「味も量も満足して帰ってほしいから」と藤井さん。客層は若者からお年寄りまで幅広い。智子さんは「チェーン店にできないサービスを心がけています」。



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 ドマーニ スパゲティ、ピザ、デザートなどが付く2人用セットは3300円。午前11時~午後3時、午後5~10時。火曜休み(祝日は営業)。072・958・7670



 ■茶がゆパック人気



 駅前のロータリーから少し入ったところにある「冨士茶園」。社長の藤井英紀さん(57)は2代目で、現在白鳥商店会の会長を務める。近畿地方では宇治や静岡を主に扱う茶店が多いが、ここは九州の八女茶が主流。「やっぱり香りがいいから」と藤井さん。茶がゆ専用に数年かけて開発したオリジナル商品「ザ・茶がゆ ティーパック」(262円)は、夏場を中心に月平均500袋前後が出る。時間がたっても鮮やかな色が失われにくいのが特徴で、遠方から買いに来る人もいるという。



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 冨士茶園 「ザ・茶がゆ」は道の駅しらとりの里・羽曳野でも販売している。午前9時~午後7時半。日曜休み。072・956・0574



 ■旬の食材、家庭料理



 駅東口目の前のビル2階に入る「酒処(さけどころ)うらしま」。祖父やおじの店を昭和40年代に引き継いだ浦島ヒサ子さん(68)が1人で切り盛りする。「煮炊きする料理が大好き」と言うとおり、カウンターにはタケノコや菜種など旬の食材を使った煮物などの家庭料理が並ぶ。手間ひまかけた確かな味と浦島さんとの会話を目当てに、市内外から長年通いつめるリピーターが多い。料理のコツを聞いたら「味という字は『口にまだまだ』と書く。満足したらあかんということやないの」。



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 酒処うらしま 予約制。鍋物や天ぷらもある。1人平均5千~6千円程度。午後5~11時。不定休。072・956・2077



 ■古代の歴史書、充実



 駅東口そばの「オクノ書店」社長、奥野均さん(61)。父親が町内で戦前から書店を経営していたが72年に駅前の現在地に移転した。付近に古墳が点在し、店の目の前を竹内街道が通る歴史の街だけあって、古代を中心に歴史関係の書籍を100冊以上そろえている。また地域の高齢化に合わせ、年配の人に人気のクロスワードなど「頭を鍛える」雑誌類も約50種類と充実させている。「お客さんが探していた本を売って感謝される。これほどうれしいことはない」



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 オクノ書店 最近は若者のニーズに合わせコミック類の在庫も増やしている。午前10時~午後8時。正月休み以外は無休。072・958・3006



 ■新鮮なネタを安く



 竹内街道を東へ進み、路地を入った住宅街にある「魚源」。3代目の布谷正司さん(49)=写真右=、父正三さん(78)=同左=、母文子さん(74)=同中央=の家族3人で営む。マグロやハマチなどが入ったにぎりはなんと700円。人気のバッテラは1本300円という安さだ。「お昼に千円出せば満腹になって、お釣りでコーヒーも飲める値段にしてるんや」と文子さん。ネタは毎朝大阪木津市場で買い付けてくる。うどんのダシを取るかつおぶしのブレンドは、戦前から変わらない。



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 魚源 盛り合わせ(600円)、にぎり半人前(350円)、うどん各種(300円~)。持ち帰り可。午前10時~午後2時半。毎月8、18、28日休み。072・956・0061



 ■歴代住職が寺再興



 東高野街道から東に少し入った場所にある真言宗寺院の西琳寺。朝鮮半島からの渡来人の子孫が開いたと伝えられ、創建は約1300年前の飛鳥時代ごろ。東西約100メートル、南北約200メートルの敷地に七堂伽藍(しちどうがらん)があったとされる。その後戦乱で寺は焼けたが、境内には当時の五重塔の巨大な礎石が残る。明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で廃寺にされ寺は荒れ果てた。現住職の水谷明乗さん(36)は「運び去られていた礎石を元の場所に戻すなど、歴代住職らの努力でここまで再興できたと思います」。



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 西琳寺 礎石は四辺の長さが3メートル前後、高さ約2メートルで飛鳥時代最大といわれる。柱穴の底に「刹」の文字が刻まれている様式は、国内で他に例を見ないという。見学自由。072・956・0603


週刊まちぶら 第205号)錦織公園かいわい 富田林市 のんびり里山散策/大阪府

2009.10.25 大阪地方版/大阪 27頁 大阪府 写図有 (全2,373字) 













 南阪奈道路の羽曳野インターチェンジをおり、大阪外環状線(国道170号)を河内長野方面に走ること約15分。右手にこんもりとした森が見えてくる。甲子園球場の約16倍の広さがある府営錦織公園は、南河内を代表する休日のおでかけスポットだ。



 ここは東高野街道と西高野街道に挟まれた羽曳野丘陵の南端に位置する。かつては雑木林が広がる里山だったが、戦後急速に宅地開発が進み、その姿は大きく変容。失われていく自然を残そうと、起伏のある丘陵地の形状をそのまま利用し、1987年に公園が開設された。



 標高約137メートルの「みはらしの丘」からは市街地が一望できる。展望台に上ると金剛山などの山並みが眼前に広がる。梅や桜など四季の自然が楽しめ、秋から春にかけてオシドリやルリビタキなどの野鳥の姿も見ることができる。公園管理事務所の田中健一所長(39)は「私が好きな場所は『つつじが原』。ツツジの季節にぜひ訪れてください」



 「河内の里」エリアには農家を模した休憩所や水車小屋がある。周囲には河内木綿や茶などが植えられ、のんびりとした里山の雰囲気を味わうことができる。(白木琢歩)



 ●パリッ、モチモチ



 静かな住宅街の真ん中にあるカフェ併設のパン店「パオパオ」。オーナーの坂本憲世之さん(60)が設計施工した石釜で焼くパンやピザが名物で「外はパリッと、中はモチモチになります」。元々は妻の裕美子さん(49)が趣味で焼いていたパンが近所で評判になり、98年に店を開いた。原材料の安全性に徹底してこだわっており、野菜は無農薬の自家栽培を使用。自家培養した天然酵母を使ったパンは仕込みに約10日かかる逸品。ランチの他、午前8時からモーニング営業もしている。



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 〈1〉マミーズベーカリー パオパオ 午前7時~午後6時半。火曜定休。天然酵母クロワッサンは130円。パン食べ放題のランチセットは1300円から。0721・53・5421



 ●豆菓子おいしいよ



 1913(大正2)年から豆菓子を作り続けている老舗(しにせ)「冨士屋製菓本舗」。工場ではベテラン職人が勘を頼りに商品を丁寧に仕上げる。3代目北野登己郎専務(44)は若い世代にも豆菓子のおいしさを知ってもらおうと、07年に新ブランド「ビーンズ工房 楽豆屋」を立ち上げた。大豆や小豆に、抹茶やきなこ、ココア、しょうが黒糖などスイーツ風アレンジを加えた20品目(各1袋300円)を販売。百貨店と同社本社、通信販売だけの限定品だが、贈答品として人気がある。



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 〈2〉冨士屋製菓本舗 午前8時~午後5時。土日祝休。0721・52・2966。ネット販売も受け付ける。ホームページはhttp://www.rakumameya.com



 ●「新聞」で情報発信



 錦織公園は大阪府が開設し、現在は造園業者4社でつくる指定管理者「みどり会」が管理業務を任されている。年4回「錦織公園新聞」を発行し、春夏秋冬それぞれで楽しめる園内の動植物やイベントなどの情報を詳しく伝える。公園管理事務所の田中健一所長(39)は「秋はウバメガシやクヌギなどのどんぐり拾いが楽しめますよ」と話す。事務所では公園を活動場所にしたボランティア活動を支援しており、里山の増えすぎた竹を伐採・再利用して散策路を整備する取り組みが始まっている。



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 〈3〉府営錦織公園 入園自由で休園日なし。駐車場の入場時間は午前9時~午後4時半。1回普通車600円。0721・24・1506(管理事務所)



 ●看板犬がお出迎え



 錦織公園のそばにあるトリミングサロン併設のドッグカフェ「Y’s rooms」。落ち着いた雰囲気の店内からは季節ごとに色合いが変わる公園の木々が目に入る。カフェでは月替わりのハンバーグやパスタなどから選べるランチ(980円、デザートとドリンク付き)が人気。手作りマフィン(150円)なども愛犬用メニューもある。オーナーの山田千恵子さん(44)は「景色を眺めながらゆったりとくつろいでほしい」。看板犬のミニチュアダックス・裕太郎君がお出迎えしてくれる。



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 〈4〉Y’s rooms 午前8時~午後5時。火曜定休。サロンではシャンプー(3000円~)とカット(4000円~)のメニューがある。0721・22・6181



 ●春と秋、特別展開催



 大阪大谷大学博物館では、文化財に関する研究成果や所蔵品を学外に広く知ってもらおうと、毎年春と秋に特別展を開催。12月1日までは「墨が拓(ひら)く歴史」と題し、高槻市在住の在野の研究者浜田謙次さん(88)が同校に寄贈した石像や石仏の拓本を展示中。浜田さんは会社を定年退職後、全国を行脚して中世から近世の石像や石仏などを調査した。同校文化財学科担当の職員、中池佐和子さん(36)=写真左=は「浜田さんの石造品研究にかける情熱が伝わってきますよ」。



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 〈5〉大阪大谷大学博物館 午前10時~午後4時。特別展期間中の日曜と10月31日、11月3日、28日は休館。無料。来館前に問い合わせを。0721・24・1039



 ●たこ焼き、味に自信



 近鉄滝谷不動駅前にある地元でおなじみのたこ焼き店。店主の北所英男さんは、14年前に店を開く際、1年間にわたって大阪中のたこ焼きを食べ歩き研究を重ねた。「もうタコを見るのも嫌になった」と苦笑するが、その成果は看板商品のたこ焼き(6個240円~)につぎ込まれている。卵入りの天かすを使うなど工夫をしているため「胃にもたれないと好評なんです」と話す。日中は主婦やお年寄り、夕方以降は大阪大谷大学の学生たちや会社帰りのサラリーマンでにぎわう。



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 〈6〉かつらぎ 午前11時~午後8時。日曜定休。たこ焼き6個とミニお好み焼きのセット(480円)やたこせん(100円)も人気。0721・26・1224