「三井銀行」と「太陽神戸銀行」が合併した頃、騒動 | 「模型探偵団」明石小五郎の昭和のプラモデル

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「三井銀行」と「太陽神戸銀行」が合併した頃、騒動前、

の続き、
 
そのデマをなぜ神戸側が流したのか正確な理由はわからない、
ただ、大体の予想はつく、
 
店舗統合がちゃんと無事に混乱を招くことなく完了することは神戸側の責任にかかっている、
なぜなら、店舗を吸収するのは神戸側だから、しかも旧神戸銀行の本店である、
そして、それを仕切っているのは神戸側の統合チームであり、なんとしても何事もなく、無事に終了させなければならない、
システム的なことはまったく問題はない、それまで全国での店舗統合は行われてきており、特に問題は発生していなかった、そう、低いレベルに合わせているのだから発生するはずがない、
一番の問題は、三井、神戸の行員間の融和である、
統合日にはなんとしてもその行員の間のトラブルは避けなければならない、
まあ、三井側にとって、そんなトラブルなど心配無用、
昔から、「人の三井」と言われてきたほど三井の行員は皆紳士淑女?ばかり、
 
だがすでに、神戸側としては今までも太陽側と神戸側の間には問題があった、
人的交流すると、どうしても神戸側が太陽側を見下してしまう、
それが三井側と統合すると、今度は逆転してしまうので警戒感が神戸側には強いものがあった、
しかもすでに僕に言われてしまった、「あなた方は全てにおいて10年遅れている」と、
 
万が一、統合日に三井側、神戸側の行員間にトラブルなどがあった場合にその原因を用意しておかなければならない、
その原因とするものに僕が用意されたものと思われる、
そう、何かトラブルがあった時には、「アイツが扇動したものだ」と、
「アイツは統合そのものに不満があり統合を邪魔しようと画策していた」と、
 
後から情報を得たところによるとそういうことらしかった、
 
さてさていよいよ本題へ、僕は神戸本店に一人で乗り込んだ、
勤務中に無断で席を離れることはできないので、昼休みの昼食時の1時間を利用して乗り込んだ、神戸本店までは歩いて5分もかからない、
 
まず最初に、副部長(支店では支店長クラス)の席に向かった、
おそらく、その時の僕の顔が鬼のような形相をしていたのだろう、
僕の顔を見て一体何事かと驚いたような顔をした、
僕はいきなり、「皆を今直ぐ会議室に集めなさい、あのようなデマを流したのは誰ですか、今直ぐ皆を会議室に集めなさい」、
 
それを言うと副部長は僕が何で乗り込んできたのかを直ぐに察したようであった、
 
再度僕は言う、「今直ぐに皆を集めないと今度は直ぐに人事部を呼びますよ」、
実は皆この「人事部」という部署には弱い、なんといっても人事部が人を動かすので、
 
「ハ、ハイ、直ぐに集めます」、もう、どちらが上なのかわからない、
そう、僕はまだペーペーの課長代理なのだから、
 
会議室に、その副部長、営業課の2人の次長、課長代理、そしてデマを流したと思われる統合チームのリーダー、の5人が集まった、
 
「私が統合を妨害しているようなデマを流したのはこの中の誰ですか、私が統合日の日に休んで混乱させようとしているなどとデマを流したのはこの中の誰ですか」
 
チームリーダーの顔を見ると何か青ざめているような気配が、
 
「答えないなら、ここに人事部を呼びますよ」と、再度人事部という言葉で脅す、
そう、彼らが統合の現場でこのような混乱?を起こしていることを人事部に知られたら大問題になってしまう、
 
すると、副部長が、
「いえいえ、そんなことはありえません、誰もそんなデマを流すはずがありません、統合準備が今までスムーズに進んでいるのは権藤さんのおかげです、権藤さんには皆感謝しているところです」などと大嘘を言う、
 
「ああ~、そうですか、それなら誰がデマを流したかはわかっていますので、人事部に今までの経緯を全て話をしましょう」と、ハッタリをかます、
と席を立つふりをすると、
 
副部長が、
「ちょっと待って下さい、どうか勘弁して下さい、本当に権藤さんには感謝しています、そのようなデマを流すようなことはしていないはずですので勘弁して下さい」
 
これ以上追求しても可愛そうなので、
「そうですか、そこまで仰るのなら今日はここまでにしておきましょう、」
とその場を解散した、
 
そう、何かあったらいつでも人事部に言うぞ、言うぞ、という姿勢をとったのである、
 
すぐにその騒動は三井側にも伝わったらしく、
「権藤さん、ずいぶんと暴れたらしいね~」
 
もちろん、統合日は何事もなく無事に統合を終えたのであった、
そして、旧三井銀行神戸支店は消滅した、
 
その後の神戸側の態度はどうだったかというと、
次長クラスの態度は気を使ったような丁寧になった、もちろん心の中では「この野郎!!」と思っていたに違いないが、
そう、「アイツはヤバイ奴、気をつけろ」と、
特にその副部長の僕に対する対応ぶりには恐縮する次第であった、
朝出勤して僕が座っている席の前を副部長が通る際、副部長はかならず頭を下げ「おはようございます」と言葉をかけていただき、いろいろと気を使っていただいた、
 
その後1年間、三井と神戸の行員皆が仲良く同じ営業場で仕事をし、僕は降格されることなく、
課長代理から課長となって大阪の三井系の支店へ転勤となったのである、
 
その転勤が発令された時には、
その副部長はすでに支店長として転勤されていたが、そこからわざわざ電話をいただいた、
「ご栄転おめでとうございます、神戸営業部では本当にお世話になりました、これからの益々のご活躍を願っております」と。
 
アッ、そうそう、その転勤する際の寄せ書きが次の記事のものであった。