駆逐艦「イカヅチ」 日本理科学模型製作所 | 「模型探偵団」明石小五郎の昭和のプラモデル

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千葉支部より、

日本理科学模型製作所 駆逐艦「イカヅチ」について、

 

 

日本理科学模型製作所 駆逐艦「イカヅチ」 全長45㎝、幅5cm 縮尺は約1/262

となります。

 

 

箱の側面には 駆逐艦 イカヅチ・アケボノ のラベルが貼られています。イカヅチ

もアケボノもほぼ同型と言えます。

 

 

図面には 昭和13年1月2日付のスタンプが押されているとことからこの頃に発売

されたものと思われます。

 

 

箱の中を見てみましょう。部品が一つ一つ糊付けされ、船体や図面は糸で止められて

います。戦後のキットでも、初期のにしき屋などはこの方式をとっています。高級感

を出すためだったのでしょう。ラッカーや接着剤の瓶や紙やすりなども添付されてい

ます。当時地方ではこれらは入手が難しかったのでしょう。

 

箱絵には「科学報国先づ模型から」、図面には「海軍知識は先づ模型から」と表示さ

れ、「呉鎮守府検閲済」の表示もあります。

 

 

添付図面を見てみましょう。図面には要目や縮尺は表示されておりません。

当然のことながら機密保持のためです。

当時の模型少年たちは軍艦を見学に行っても写真機を持って行くことは出来

ませんでした。遠くからでも写真撮影は厳禁。スケッチさえも出来ませんで

した。頭で覚えて家に帰って絵にするといった所でした。この図面もどちら

かというと特型Ⅱ型「アケボノ」に近いと言えるでしょう。

発行人は大阪市浪速区元町二丁目20番地 坂本 猛、発行所は日本理科学

模型製作所となっています。「海軍知識はまず模型から」という標語とは裏

腹に「呉鎮守府検閲済」の表示もあり海軍知識が正確に伝えられていません

でした。

 

 

軍艦模型の発売元「科学と模型」誌を見ると広告には、製作は日本理科学模型製作所、 

大阪市浪速区元町一丁目、発売は朝日屋理科模型店、 

住所は”同上”となっています。値段は、駆逐艦「イカヅチ」級 組立材料2円30銭(昭和16年10月)となっています。このセットは「大型普及セット」と呼ばれており、この頃の発売されたものでした。

 

 

こちらは同じ「イカヅチ」の縮小版です。「小型セット」とでも呼ばれて

いたのでしょうか。完成品で箱や箱絵も全く同じデザインのものです。

 

 

プレートの表示には「日本理化 模型製作所」とあり、「学」の文字が抜けています。箱の側面には「駆逐艦 アケボノ・イカヅチ級」と表示されています。

 

当時駆逐艦は小さいながら戦艦と並んで人気があったようです。菊の御紋章こそつけていませんが、単身敵艦隊に殴り込みをかけ、自分より大きな戦艦をも雷撃で仕留める、胸のすくような活躍が人気を博したのでしょう。

駆逐艦の模型が良く売れたのは今に残る数の多さでもうかがい知ることが出来ます。

 

 

一等駆逐艦の図面は、子供の科学「軍艦商船模型設計図集」榎並篤彦氏作成の特型駆逐艦図面です。給気孔が「イカヅチ」ではキセル型ですが、こちらはオワン型になっています。

特に特型駆逐艦は船体の流れる様なシアラインとフレア、均整の取れた上部構造物と相まって世界的に見ても優れたデザインでした。

次の2枚は「イカヅチ」です。最後が「アケボノ」です。画像はいずれもウィキペディアからです。