先日、同年代の友人4人が、久しぶりで集まった。それぞれ近況を報告する中で、顕著になってきた老化現象が話題になった。
長野「度忘れの回数が増えて、人の名前がすぐに出ないヨ。新しく人の名前を覚えるのが大変だヨ。すぐ忘れてしまうヨ。」
松本「テレビドラマを見ていて、登場人物が多いと名前が覚えられないヨ。だから、複雑なストーリーになると肝心なところの理解が不十分となり、面白さが半減するヨ。それに、普段と異なる作業をすると、数日後に筋肉の痛みが出るヨ。」
二人の話に、坂本が続いた。
「普段の生活の中で、筋肉の衰えを予防し、脳細胞の働きを活発化させることのできるのはウォーキングだヨ。歩くことは誰でも簡単にできるヨ。1日最低でも5000歩、できれば10000歩を目指して歩いているヨ。しかも歩きながら瞑想するのがいいんだヨ。」
坂本は、学生時代から、居るだけで、周りが明るくなるという人間で
ある。どんなことにも興味を示し、何があっても、面白がっていつ
もカラカラと笑っている。人生を心底楽しんでおり、時にうらやま
しく思うときもある友である。その彼が、右脳を働かせながらのウ
ォーキングを日課にしているという。
阿部を含めた3人が十分な関心をもって聞いているのを確認して、坂本はさらに続けた。
「瞑想というと、座禅を組んでの迷走を思い浮かべるのではないかと思うが、歩きながらの瞑想の方が効果は大きいヨ。」
いくつかの団体の役員を務め、政治の世界にも足を入れつつある坂本は、多岐にわたる活動を、理想とする形にするためには、何から手をつければいいのかと、ウォーキングをしながら考え始めると楽しくてやめられないそうだ。
「これは右脳が働くからだヨ。歩くことで左脳の働きを抑え、右脳を働かせるとα波(リラックスした時に出る脳波で、心身に良い影響をもたらす)が出るんだヨ。するといい知恵が湧いてくるヨ。本で読んだことがあるけれど、カントは毎日欠かさず散歩をしたそうだヨ。彼の思索の大半は散歩の時のものであったかもな。」
「ウォーキングはいいよ。」と、阿部も続いた。
「私も毎日約3kmウォーキングをしているヨ。私は、歩きながら暗算をするヨ。1から100までを、1、8、15、22、……または2、9、16、23、……と7を足して行ったり、100、93、86、……または99、92、85、……のように7を引いて行ったりするんだヨ。」
阿部は学生の時から数学が好きであったことを知っている3人は、なるほどなという顔をした。
人間の体は、25歳で成長がほぼ止まり、以後は衰えていくのみである。筋肉は衰え始め、脳細胞は1日に10万個のペースで壊れていく。しかし、疲れを知らない体力を維持し、若い時と変わらない脳細胞の働きを発揮している高齢者は多数いる。
彼らは、強い意志で節制に努め、体を動かし、好奇心は旺盛である。ひたすらプラス思考で、忙しい日々を送り、今を精いっぱい生きているのだ。老化を無くすことはできない。どう受け入れ、