毎日、農道をウォーキングしている。私は、農地を所有していないが、水田・畑・果樹園に囲まれた農村に住んでいるので、気になっていることがある。それは、自分で耕作しないで、人に頼んで米や麦を作ってもらっている人が多くいることである。頼まれて耕作している人も、やがて年をとり農作業ができなくなるだろう。その時どうなるのであろうか。農家の高齢化や後継者不足のために、衰退の一途をたどる農業の将来を危惧していたやさきに、「人・農地プラン」の説明会に参加する機会があった。「人・農地プラン」とは、「地域農業マスタープラン」の略称であり、農地集積による規模拡大や若者の新規就農の促進に向けて、2012年に農林水産省が打ち出した新たな政策であることを説明会で初めて知った。
この機会に農業の抱える課題について考えてみたい。
農業の抱える問題点は多いが、特に大きいものを挙げてみる。
一つ目は、1戸当たりの耕作面積が狭いことである。2010年10月現在の資料によると、日本の人口の3%に満たないが約260万人が農業に従事し、日本の食料の40%を自給している。農家1戸当たりの農地面積は、2007年でEUの9分の1、アメリカの99分の1、オーストラリアの1862分の1である。
二つ目は、個人が稲作のみで生計を立てるのは難しいということである。ある資料によると、稲作の高齢化を可能にしたトラクター・田植え機・コンバインなどの農機に約1000万円、1年間に農薬代1万円(1反当たり)・肥料代15000円が必要である。収入は、1反当たり米は平均9俵収穫でき、1俵13000円だから、1反当たり12万円弱である。
三つ目は、農業従事者の高齢化と後継者不足である。農業従事者の平均年齢は、61.1歳(H12年)、63.2歳(H17年)、65.8歳(H22年)(農水省資料より)と高齢化の一途をたどっている。私が住む地域で年齢別にみると、70歳以上の人が51%(80歳以上12%)、60歳以下はわずか16%(H22年)である。
四つ目は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉の行方である。外国(アメリカ、ベトナム、オーストラリア)から安い米がどんどん入ってくると、日本産のコメが売れなくなるのではないかという心配がある。高い関税によって輸入米を抑える、政府による保障制度による助成も大切だが、10年後、20年後を想定しての農業の在り方について、対策をすることは必要である。
今までは、「年じゃけん もう田んぼようやらん 誰か作ってくれんかな」と、田んぼを借りてくれる人を探せばお願いできる人がいた。若い農業後継者が極めて少ない現状が続くと、やがて現在田んぼを借り受けてくれている人も高齢化して、借りていた田んぼを持ち主に返さねばならなくなる。そうなれば、借り受け手は見つからず、耕作放棄地が増え、農業は衰退する。そこで、10年後・20年後も農業をする人や新規就農者の確保が大切になってくる。経済的な支援をすることによって、農業の担い手を確保し、農業の担い手に田んぼを集積する計画などを、地域ごとに話し合いながら決めていくのが「人・農地プラン」である。