石丸書店 アメブロ支店

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『石丸書店』のブログの別館です。
 基本的にサイトに反映される記事は書かない思います……。(^ ^;)

 こんばんは、アカサカです。

 現在開催中の『デタリキ』の、コラボガチャ10連チケットを使ったところ……

 

 

 抱き合わせの恵茉さんが出ました。

 違う、そうじゃない。

 

 

 本当、10連チケットで新キャラ・新コスが出ることは稀です(今まで一回かそこら)。

 

 

 ステータス。

 SSR+がインフレを起こす前の奴なので、評価も能力も低いです。

 

 

 特殊なスキルはスキル3とスキル2で得られる『バトルアックス』くらいでしょうか。

 ……これ、シスターの衣装だよな?

 

 

 チームリフレインのチーム限定任務にでも……と思いましたが、コンプリートしてました💦

 駄目だこりゃ。

 

 

 といったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。

 という訳で、『月夜の人魚』も今回で最終回です。

 では、早速スタート!


魔法少女まどか☆マギカ~月夜の人魚~

最終話 あたしって、ほんとバカ

 

☆

 

 そしてついに、その日がやってきた。

 この日に備え、さやか達はやれるだけのことをやってきた。

 出来るだけの特訓と、魔女を狩り、グリーフシードを貯められるだけ貯めておいた。

 もう一つ、分かったことがある。

 それは、さやかのソウルジェムについてだ。

 彼女のソウルジェムは、グリーフシードを気にする必要が無くなっていた。

 と言うのも、穢れが一定値溜まるとドッペルが発動し、穢れが放出されるからだ。

 あれ以来、半魔女態を発動させることは出来なかったが、ドッペルの方はどうにかして、自分の意思で操れるようになっていた。

 これからワルプルギスの夜と戦うさやかにとっては、咲夜の改造で得られた大きな恩恵ではあるが、その心境は複雑だった。

 なお、キュゥべえは、この現象について、

「何度も感情のエネルギーが得られるのは魅力的だけど、魔女化には遠く及ばないね。総合的に言うなら、ドッペルは効率が悪いよ」

 とのことだった。

 

 その日は明け方から、風が強くなっていた。

 まるで天が怒りに震えているようだった。

 空を流れる暗雲から雷鳴がとどろき、地上に向けて雨を叩きつける。

 海ではあちこちで巨大な渦が巻かれ、大波は狂ったようにうねっている。

 もし波に引きずり込まれようものなら、二度と這い上がっては来られないだろう。

 普段は穏やかな海は姿を一変させ、人間を寄せ付けない猛々しさで荒れ狂っていた。

『本日午前7時、突発的異常気象に伴う避難指示が発令されました。付近にお住いの皆様は、速やかに最寄りの避難所への移動をお願いします。こちらは、見滝原市役所広報車です。本日午前7時――』

 町中に鳴り響いていたサイレンと共に、避難を告げて回る市の車が、さやか達の家の周りにも何度もやってきた。

 そんな暴風雨の中、さやか、杏子、瀬利、ほむら、そしてまどかは、身じろぎもせず、前方の上空をキッと見据えている。

 まるでサーカスのパレードのように、どこからか現れた動物や小屋が彼女たちの横を通り過ぎ、そいつはついに姿を現した。

 上下が逆さまになった、貴婦人のようなドレス。

 足の代わりに巨大な歯車が付いていて、頭部は鼻から上の部分が無い。

 

 アハハハハハハハハハハ!

 

 ワルプルギスの夜だ。

「……来た」

 因縁の相手を前に、ほむらが呟く。

 さやか達もソウルジェムをかざすと、一斉に変身した。

 その時である。

「いやぁ、あれがワルプルギスの夜ですか。初めて見ましたがすごいですねぇ」

「!?」

 この場に似つかわしくない、やたらとのんきな声が聞こえ、一同はそちらの方を向く。

「む~ん、ご機嫌よう」

 そこには魔法少女姿になった咲夜が、さも当たり前のように立ってひらひらと手を振っている。

 灯花の治療のお陰か、その身体は万全の状態にまで回復していた。

「てめぇ、何しに来やがった!?」

 杏子と瀬利が、それぞれ槍と大剣を咲夜に向ける。

 が、咲夜はあくまでいつもの調子を崩さずに笑顔で言った。

「む~ん、そう怖い顔しないでください。今日は別に、あなた達と争いに来たわけじゃないんですから」

「信用できるか!」

 今にも斬りかからんばかりの勢いで、瀬利が叫ぶ。

「む~ん、これはいけない。随分と嫌われたもんですねぇ」

 咲夜は肩をすくめると、静かに続ける。

「あのワルプルギスの夜は、私にとっても脅威です。あんなものに暴れられたら、研究所にある私の研究成果まで吹っ飛んでしまうかも知れませんからねぇ。それに、ワルプルギスの夜のグリーフシードなんて、最高の研究材料じゃないですか」

「…………!」

 さやか達はギッと奥歯を噛む。

 咲夜の言っていることは本当だろう。

 それに、ここでわざわざ姿を見せたうえでさやか達と争うのは、咲夜にとってもリスクは大きい。

 となれば――

「……わかったよ」

「さやか!?」

 さやかは咲夜を睨んだまま、静かに言った。

「確かに、あんたのことは全然信用できない。でも、少なくとも、ワルプルギスの夜を倒さないといけないって目的は一緒だ」

「む~ん、さすがさやかさん。話が早くて助かります」

「勘違いするなよ! これが終わったら、あんたとも決着はつけるから」

 そう言って、さやかはワルプルギスの夜の方を向いた。

 咲夜にとっても、ここで自分達と争うより、ワルプルギスの夜を倒す方が利益が大きい。

 ならば、少なくとも戦いが終わるまでは共闘できる。

 逆を言えば、ワルプルギスの夜を倒した途端に手の平を返す、ということも有り得るということであるが。

「む~ん、感謝しますよさやかさん。では……」

 咲夜が二枚のタロットカードを取り出す。

「タロットマジック、ザ・パワー!」

 

 パァァァァァァァ……

 

 ライオンを抱く女性のイラストが描かれたカードから淡い光が飛び出し、さやか達の身体を包み込む。

「これは……」

「タロットマジック、ザ・パワー。魔法少女の身体能力を上げる魔法です。あ、私の元々の魔法ですから、副作用などは無いのでご心配なく」

「けっ、余計なお世話だっての!」

 杏子が吐き捨てるように言うと、瀬利と共に飛び出した。

「続いて、タロットマジック、ザ・チャリオット!」

 今度はカードから騎馬戦車が飛び出す。

 咲夜がそれに飛び乗ると、騎馬戦車はふわりと宙に浮いた。

「さぁて、行きましょうか、さやかさん!」

「ふん」

 咲夜の騎馬戦車が飛び去ると、さやかはまどか達の方を振り返って言った。

「まどか、ほむら。あんたたちは援護をお願い!」

「うん!」

「わかったわ」

 さやかは二人の返事に頷くと、ワルプルギスの夜に向かって飛び出していった。

 まどか達の援護射撃を受けながらワルプルギスの夜へと進むさやか達の前に、無数の使い魔が立ちふさがる。

 それは様々な魔法少女のシルエットだった。

 かつて、魔女となって死んでいった魔法少女たちの怨念――

 ある者は剣を、ある者は杖を、またある者は大槌を構えてさやかたちに迫ってくる。

「邪魔だ!」

 杏子の槍が舞い、さやかの剣が閃き、瀬利の大剣が使い魔を叩き切る。

 だが、斬られた使い魔たちは何事も無かったかのように元通りになると、再度襲い掛かってくる。

「む~ん、エジソン!」

 

 ピシャァァァァァァァァァァァァァァァン!

 

 咲夜の電撃が降り注ぎ、使い魔たちが炭化して崩れ落ちる。

 やはりその姿は元通りになるが、先ほどよりは再生に時間がかかっているようだった。

「受けたダメージで、復元するまでの時間が決まるようですね。強力な攻撃で一気に消し飛ばしてしまえば、しばらくは時間が稼げそうです」

「だったら!」

 咲夜の冷静な分析に、さやかがカッと目を見開く。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 無数の剣を生成し、それを使い魔やワルプルギスの夜めがけて一気に放った。

 さらに、

「出てこい!」

 さやかの叫びに呼応するように、さやかから黒い影が飛び出し、その足元に人魚の騎士の姿を形作る。

 さやかのドッペル――恋慕のドッペルである。

「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 先にさやかが生成した剣と合わせ、ドッペルが生み出した剣の雨が、使い魔たちを粉みじんに吹き飛ばした。

「今だ!」

 ドッペルに乗ったまま、さやかが一気にワルプルギスの夜に向かって突進していく。

 しかし、その時予想だにしないことが起こった。

 

 ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!

 

 それまで笑っているだけだったワルプルギスの夜が、口から凄まじい火炎を吐き出したのだ。

 それはまるで、地獄の業火がワルプルギスの夜の口を通して飛び出してきたかのようだった。

「えっ!?」

 火炎は恋慕のドッペルをかすめ、背後にあった高層ビルに命中する。

 

 ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!

 

 天地をつんざく爆音が響き、砕かれたビルの瓦礫が雨のように降り注ぐ。

 直撃こそ避けたさやかだったが、火炎の衝撃波によってドッペルから吹き飛ばされ、真っ逆さまに地上に落下していった。

 魔法少女の肉体であれば、地上に叩きつけられたところで無傷とはいかないにしても致命傷にはならないだろう。

 だが、それを許さない者がいた。

 <キャハハハハハハハ!>

 使い魔の一体がさやかに迫ると、真っ黒な剣を振り上げる。

「!」

 

 ドギュッ!

 

「さやかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 生々しい音と杏子の悲鳴が、戦場に響き渡った。

 

☆

 

「っ……!」

 さやかは反射的に目を閉じていた。

 直前に見た光景は、逆さまになった地上の景色と、自分に向かって剣を振り下ろしてくる使い魔の姿。

 直感的に、さやかは自分の死を覚悟していた。

 ……だが、身体のどこにも痛みはない。

 恐る恐るさやかが目を開けると、言葉を失った。

 目の前に、誰かの背中があった。

 両手を広げ、自分を庇うようにして。

「……咲夜……?」

 自分の前に立ちふさがっていたのは、咲夜だった。

 その背中から、赤いものが滴り落ちている。

 いや、背中ではない。

 咲夜の首から、剣が生えていた。

 使い魔が突き出した剣が、咲夜の首を貫いたのだ。

「……この、どけぇっ!」

 さやかは悲鳴に近い絶叫を上げると、使い魔を切り捨てる。

 その直後、さやかは咲夜の身体を抱きかかえた。

 落下の勢いを利用して体勢を立て直し、そのまま地上へと着地する。

 さやかはすぐさま咲夜を地面に横たえた。

 咲夜はゆっくりと目を開けると、さやかの方を見て力なく笑った。

「やあ、さやかさん。ご無事で何より……」

 傷口からは真っ赤な血が噴き出し、辺りに赤い水たまりを作っていく。

「このバカ! 何やってんだよ!」

 これまでの咲夜に対する怒りや恨みなども忘れて、さやかは咲夜の傷口に手をかざした。

「待ってな、今、治して……」

 だが、そのさやかの手を、自分の血で真っ赤に染まった咲夜の手が掴む。

「いえ、必要ありません。これを……」

「……!?」

 咲夜の首元に目をやったさやかの目が、驚愕の為に見開かれる。

 咲夜のソウルジェムにひびが入り、一部は欠け落ちていた。

 さやかを庇った時、使い魔の剣にやられたのだ。

 さやかの顔から血の気が引いていく。

 これが何を意味するのか。

 魔法少女である彼女には、嫌というほど分かっていた。

 ソウルジェムが壊れた。

 さやかが治癒魔法を使ったところで、もうどうにもならない。

「ソウルジェムが……破損してしまいました。こうなっては……もう、私は助かりません……」

「そんな……!」

 咲夜の身体はどんどん軽くなっていく。

 生が尽きようとしているのが手に取るようにわかる。

 どんな危険な実験だって平然とやってきた。

 魔女化を防ぐためのシステムまで自分自身に組み込んだ。

 そんな咲夜が、こうもあっけなく、生命の灯火が消えようとしている。

「いやぁ……穢れに対しては……対策をしていましたが……ソウルジェムの破損については、考えてませんでした……。失敗、失敗……」

 自分に刻一刻と死が迫っているのにも関わらず、咲夜は苦笑しながら言った。

 まるで、研究実験で小さなミスをしてしまったかのような言い方だった。

「なんでだよ! なんであたしを庇ったんだよ!? あんたにとって、あたしはただの実験台じゃなかったの!?」

「何ででしょうねぇ……。研究対象だから、ですかねぇ。……いや、違うか。私にも……よく分かりません」

 さやかを見る。

 そこには、研究者が被検体を見るような目はなかった。

「ただ……」

 声が、少しだけ掠れる。

「貴女が死ぬのは……嫌だったんでしょうねぇ」

 その表情には、一片の後悔も無い。

 これまでさやかが見たことがないほど、穏やかで、清々しい表情だった。

 まるで――ようやく何かを見つけたような。

 そんな顔だった。

 咲夜の目が、静かに閉じられる。

 さやかが何か叫んでいるようだったが、咲夜の耳には入ってこなかった。

(ああ、畜生……畜生め……『友達』かぁ……。この子かばって死ぬんなら……別にいい……)

 咲夜は微笑み……そして、息絶えた。

 直後、その身体が光に包まれたかと思うと、粒子になって消えていく。

 普通の魔法少女であれば、たとえ死んでもその身体は残る。

 それは、自らのソウルジェムを改造した影響だったのかもしれない。

 だが、今となっては確かめる術もない。

 後にはひび割れた眼鏡と、歪な、ソウルジェムとグリーフシードの中間のような形になった、傷ついた宝石だけが残っていた。

「咲夜ちゃん……そんな……そんな……」

 遠く離れた場所から、その光景を見ていたまどかが呟いた。

 握っていた弓を構える手が止まっている。

 その目には、明らかな悲しみが浮かんでいた。

 そして、さやかは動かなかった。

 ただ、地面に残された眼鏡と宝石を見つめている。

 憎い相手のはずだった。

 多くの人々を実験の犠牲にし、自分のことも実験台として扱い、まどかにまで危害を加えた。

 決して許せないはずだった。

 それなのに、今、さやかの胸中を、言い表せない感情が支配していた。

 戦場で茫然自失の体に陥るなど、即座に死を招いてもおかしくない。

 しかし、誰もそのさやかの姿を咎める者はいなかった。

 瀬利がゆっくりとさやかに向かって歩いていく。

 彼女に使い魔たちが迫るが、それすらもまるで飛んでくる木の葉でも払いのけるかのように、次々と斬り捨てて。

 そして、さやかの前で立ち止まると、さやかは俯いたまま、うわごとのように呟いていた。

「なんでだよ……。何でこんな、気持ちになるんだ……」

 今にも泣きだしそうな、しかし、それを力づくで押さえつけているかのような表情。

 瀬利はしゃがみ込むと、さやかの胸ぐらをつかんで怒鳴りつける。

「おい! 何、我慢してる! お前は今、泣いていい!」

 その言葉に、さやかがハッとなったように目を見開いた。

 自分が何を言われたのかも理解していないかのように、瞳が揺れている。

 瀬利はさやかから手を離すと、今度は諭すように静かに言った。

「泣いて、いいんだ……」

 視線を落とし、咲夜のソウルジェムだった宝石を見つめるさやかの目から、やがて堰を切ったように涙がぼろぼろと零れ落ちた。

「咲夜……咲夜……」

 そして、

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 さやかの慟哭が、長く長く響き渡った。

 

 咲夜が死んだ光景を、遠くから見つめている者がいた。

 黒と茶色、臙脂色のドレスに身を包み、日傘を携えた少女。

 灯花である。

 傍らにはキュゥべえがいた。

「まさか咲夜があんな死に方をするなんてね」

 キュゥべえは、いつもの無機質な声で呟いた。

「ビッグバン・インキュベートは、リサイクル可能なエネルギー源として魅力的だったけど……こうなってしまったら仕方ないか」

 その言葉を、灯花は聞いているのか、いないのか。

 ただ、遠くに残されたひび割れた眼鏡を見つめていた。

 灯花がぽつりと呟く。

「……本当、咲夜らしくもないにゃー。誰かを庇って、自分が死んじゃうなんて……」

 その声は、いつもの軽さを残していた。

「……じゃあね、咲夜」

 灯花は日傘を広げると、その場から飛び去る。

 キュゥべえはその頬に雫が伝っているのに気が付いたが、その意味を理解することは決してなかった。

 

☆

 

 ひとしきり泣いた後、さやかがゆっくりと立ち上がった。

 拳で涙をぬぐう。

 その瞳には、先ほどとは打って変わって、力強い意志が宿っていた。

 悲しみが消えたわけではない。

 急に気持ちを割り切れたわけでもなかった。

 胸の奥がまだ痛い。

 呼吸も少し乱れている。

 咲夜が死んだ。

 その事実は、何度考えても変わらない。

「……咲夜」

 さやかは、先ほどまで咲夜がいた場所を見る。

 そこにはもう、本人の姿はない。

 残されているのは、ひび割れた眼鏡と、歪な形をした宝石だけ。

 さやかは、それを拾い上げる。

 冷たい。

 でも、どこか温かい気がした。

 思い返してみれば、ずっと咲夜には一方的に依存したり拒絶したりするばかりで、本当の意味で向き合おうとはしなかったような気がする。

 確かに咲夜は、多くの人間を実験台にした。

 さやかのソウルジェムにも手を加え、自分自身すら改造した。

 まどかにだって危害を加えた。

 許せるわけがない。

 だから、自分は咲夜を止めようとした。

 それ自体は、間違っていなかったと思う。

 だけど――

 さやかは、歪んだ宝石を握りしめる。

 ドッペルが初めて発動した時。

 自分が魔女になってしまうことを知った時。

 あの時、さやかは咲夜に怒りをぶつけた。

 怖かった。

 何が起こっているのか分からなかった。

 だから、咲夜を責めた。

 でも――

「……ちゃんと、話してれば……」

 さやかが呟く。

 もしも、咲夜に言われるがままではなく、自分からもっとちゃんと話をしていたら。

 自分が咲夜に何かをしてもらうことばかり考えるんじゃなくて。

 自分のことを咲夜に任せきりにするんじゃなくて。

 もっと早く、自分の言葉で話していれば。

 ドッペルが発動した時も。

 魔法少女が魔女になるという真実を知った時も。

 お互いの考えていることを、ちゃんと伝え合っていたら。

「……もしかしたら」

 さやかの声が震える。

「戦わなくても……あんたを止められたのかも知れない」

 もちろん、そんなことをしても咲夜の罪が消えるわけじゃない。

 咲夜が行った実験が許されるわけでもない。

 自分が傷つけられたことも。

 まどかが危険な目に遭ったことも。

 全部、なくなるわけじゃない。

 それでも――

 もっと違う道を探せたのかもしれない。

 杏子や瀬利や、ほむらと分かり合えたように。

 少なくとも、咲夜がこんな風に死ぬことだけは、防げたのかもしれない。

 土壇場になってからそんなタラレバを考えて後悔するなんて、あまりにも遅すぎる。

 さやかは、空を見上げる。

 ワルプルギスの夜は、まだそこにいる。

 街を破壊しながら、こちらを嘲笑うように動き続けている。

 こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。

「……ホント、成長しないな、あたしは」

 さやかは自嘲するように、けれどどこか吹っ切れたような笑みを浮かべると、雨の混じる風に髪を揺らせながら、ぽつりと呟いた。

「あたしって、ほんとバカ……」

 それは、絶望の底に落ちる悲鳴でも、過去を呪う言葉でもなかった。

「咲夜、あんたもそう思うでしょう?」

 さやかは、掌の中の宝石に向けて微笑みながら呟く。

 己の甘さも、過ちも、届かなかった後悔もすべて背負い、それでも『誰かを守るための魔法少女』として前を向く、さやか自身の覚悟の証だった。

 さやかが咲夜のソウルジェムだった宝石を、自身のソウルジェムに押し当てる。

 それは理屈で考えたわけではなく、彼女が直感的に起こした行動だった。

 だが、咲夜が改造したさやかのソウルジェムと、咲夜のソウルジェムだった宝石は、互いに何かを呼応させるように震えていた。

 

 パァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

 

 さやかのソウルジェムと咲夜の宝石が、まるで化学反応を起こしたかのように光を放つ。

「咲夜! これは、この光は! あたしとあんたの、輝きだぁっ!」

 光はさやかの身体にまとわりつくと、ヒレや鎧を形成していった。

 光が収まると、そこには半魔女態となったさやかが立っていた。

 

 ダンッ!

 

 そのままさやかは目にもとまらぬスピードで一気に跳躍し、まるで矢のようにワルプルギスの夜に向けて突っ込んでいった。

「! お前ら、援護しろ!」

 いち早く気づいた瀬利が叫ぶ。

 まどかが無数の光の矢を放ち、ほむらが次々に重火器を乱射する。

 さらに、杏子が上に向けて手をかざすと、魔女に合わせたサイズの巨大な槍が出現した。

「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 杏子がワルプルギスの夜に向けて槍を走らせる。

 

 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

 

 まどかの矢と、ほむらの火器がワルプルギスの夜に炸裂し、爆発を起こす。

 

 ドギュゥゥゥゥゥゥッ!

 

 そして、間髪入れず、杏子の槍がワルプルギスの夜の胴体に深々と突き刺さる。

 それでもワルプルギスの夜には大したダメージになっていないらしく、槍の穂先は突き刺さった場所からドロリと溶けて消滅した。

 が、

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 瀬利がワルプルギスの夜の眼前に飛び出した。

 先ほど射出された杏子の槍の上に飛び乗り、一気にワルプルギスの夜に接近したのだ。

 瀬利の大剣の刃が、勢いよく燃え盛る。

「神剣無双流秘伝奥義……迦具土(かぐつち)ぃぃぃぃぃっ!」

 炎をまとった瀬利の大剣が振り下ろされ、ワルプルギスの夜に直撃した。

「行け、さやかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 落下しながら叫んだ瀬利の横を、さやかが猛スピードで飛んでいく。

「これで、終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 さやかが剣を振り上げると、その刀身がどんどん巨大化していく。

 ついにその剣は、ワルプルギスの夜と同じサイズにまでなった

 そのまま渾身の力を込めて、さやかは剣を振り下ろす。

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 ズシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!

 

 さやかの剣は、ワルプルギスの夜を歯車部分から頭部まで、縦に真っ二つに両断していた。

 

 ズバァァァァァァァァァァァァァン!

 

 両断されたワルプルギスの夜の身体が、弾けるように霧散していく。

 さやかの勢いは止まらず、剣を振り下ろした格好のまま地面に着地し、大地に大きな亀裂を作ったところでようやく止まった。

「や……やった……!」

 最初に口を開いたのはまどかだった。

 それまでの嵐が嘘のようにやみ、雲の切れ間から太陽の光が差し込んでくる。

 ついにさやか達は、ワルプルギスの夜を倒したのだ!

 

☆

 

 広がる青空の下。

 いつものように制服姿のさやかが、美樹家から飛び出してきた。

「行ってきまーす!」

 途中でまどかと合流し、駅へと急ぐ。

「いけない、遅刻しちゃう!」

「さやかちゃん、待ってよ~!」

 電車から見る街は建設ラッシュであった。

 復興のための建設だ。

 さやか達がワルプルギスの夜を倒したおかげで、見滝原が受けた被害は最小限に抑えられていた。

 校門のところで仁美と合流し、教室へ向かう。

 

「え~、皆さんに、悲しいお知らせがあります。知っている人もいるかも知れませんが、あの台風の日以来、暁美ほむらさんが行方不明になっています……」

 教壇に立ち、さやか達の担任である早乙女和子が、沈痛な表情で生徒たちに向けて言った。

 さやかは斜め後ろの席にいるまどかと顔を見合わせると、目を伏せる。

 二人は知っているのだ。

 ほむらがいなくなった理由を。

 

 瓦礫だらけの街中で、ほむらはさやか達と向き合っていた。

「……行くのか?」

 杏子の問いに、ほむらはコクリと頷く。

「ええ……。私の願いは、まどかとの出会いをやり直して、まどかが魔法少女にならなくて済む未来を作ることだから……」

 その言葉に、まどかは申し訳なさそうな顔をした。

「ごめんね、ほむらちゃん。私のために……」

 ほむらはさみしそうに笑いながら、首を横に振る。

「いいえ。これは、私が決めたことだから。それに、私のことを分かってくれたまどかがいた。それだけで、私は戦える」

 続いてほむらは、さやかの方を真っすぐに見つめて言った。

「美樹さやか……。まどかを、お願いね」

 思いもよらぬ言葉に、さやかは一瞬きょとんとなるが、すぐにニッと笑う。

「ああ、任せなって! あんたこそ、次は上手くやれるといいな」

「ええ……」

「あばよ、ほむら」

 瀬利の挨拶に頷き返すと、ほむらは盾を掲げる。

「元気でね、まどか……」

 次の瞬間、彼女の姿は瞬間移動したかのように消え去った。

「ほむらちゃん……」

 まどかはほむらが消えた方向をいつまでも見つめていたが、やがてこらえきれず、顔を覆って泣き出した。

 さやかはそんなまどかの背中を、彼女が泣き止むまで優しくさすっていた。

 

 さやか達に、これまでとは少しだけ変わった日常が戻ってきた。

 もちろん、ワルプルギスの夜を倒したからと言って、魔女が全ていなくなったわけではない。

 さやかとまどかは、今も人知れず見滝原で人々を魔女から守るために戦っている。

 

 風見野市の、とある教会の廃墟。

 杏子の生家跡だ。

 その中には、今、杏子と瀬利がいた。

「ワルプルギスの夜がいなくなっても、これまでと何かが変わるわけじゃねえ、か」

 杏子が手の中のグリーフシードを弄びながら呟く。

「そりゃそうだ。魔法少女になる奴なんざ、腐るほどいるだろうからな。あたしらみたいに、本当のことを知れる奴なんて滅多にいないだろうしよ」

 手にした缶入りの甘酒を飲みながら、瀬利が肩をすくめる。

 杏子と瀬利は、風見野へと帰っていった。

 さやか達との交流は、今も続いている。

 さすがに正義の魔法少女なんてガラじゃない、という二人だったが、それでも魔女や使い魔に襲われる人々を見殺しにするようなことはしなくなったらしい。

「……なあ、瀬利」

「ん?」

「もし……あたしが魔女になる時が来たら、そん時ゃ、あんたが始末をつけてくれねえか?」

 杏子の言葉に、瀬利は一瞬呆けたような表情をするが、ハン、と鼻を鳴らして、皮肉っぽい笑みを浮かべる。

「同じ言葉を返すよ。苛立たしいぜ」

 

 一方、神浜市――マギウスの拠点であるフェントホープ。

 重々しい静寂が包む一室で、灯花は柊ねむとアリナ・グレイを背後に、不敵な笑みを浮かべていた。

「ワルプルギスの夜は見滝原の魔法少女たちが片づけてくれたけど……わたくし達の計画は、これからだよ」

「いよいよだね」

「イッツ、ショータイム……」

 ねむが静かに頷き、アリナは「アートの時間」とでも言いたげに薄く笑う。

「それじゃあ、行こうか」

 彼女たちの計画を指し示すように、両手を広げる灯花。

 そのすぐ横のテーブルには、あの戦場で拾い上げられた咲夜のひび割れた眼鏡が、静かに置かれていた――

 

 今、さやかとまどかは、一体の魔女と向き合っていた。

 さやかが手を握りしめる。

 その中には、あの割れた咲夜の宝石が握られていた。

「行くよ、まどか!」

「うん、さやかちゃん!」

 その日常は、もう二度と以前と同じではない。

 それでも、二人は前を向いて歩いていく。

 二人は力強く前方を見据えると、眼前の魔女に向かって駆けて行った。

 

 

 

《『魔法少女まどか☆マギカ』~月夜の人魚~・完》


※個人的にさやかが再度半魔女態に変身してワルプルギスの夜に突撃していくシーンでは『最後の審判』を、

 

 

 ラストのエピローグ、ほむらが消えたあたりからは『Got Boost?』のTVサイズを

 

 

流しながら読んで頂けると雰囲気が出るかと思います。

 

 こんにちは、アカサカです。

『モン娘TD』で配布された、『超タワーディフェンス祭』の補填ガチャチケットを10連×3セット使ったところ……

 

 

 20連目でレジェンドが二つ出て……

 

 

 水着リデルと……

 

 

 コラボコスのダムストーをゲットしました!

 

 

 無論、二つとも新規です。

 

 

 水着リデル。

 クラスはガーディアン。ノーマルがウォリアーなので、パワーファイターなのは変わりません。

 

 

 プロフィール。

 二つある個人エピソードに、しっかりと反映されています。

 

 

 んで、コラボ衣装ダムストー。

 クラスはガンナータイプのスナイパー。ノーマルが弓タイプのスナイパーなので、武器を持ち換えた以外は通常と同じと言う珍しいコスチェンジ。

 

 

 因みにボイスにはジブリのラピュタネタもあるんだそうな。

 

 

 といったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。

 という訳で、『月夜の人魚』第14話をお送りします。

 今回は幕間的な位置づけの一話。

 

 そして、次回はいよいよ最終回です。

 

 ではスタート!


魔法少女まどか☆マギカ~月夜の人魚~

第14話 後悔なんて、してないよ

 

☆

 

 夕焼けの中。

 赤く染まった石畳の上を、一人の少女が歩いていた。

 暗い金髪のショートヘア。

 瞳には虚無的な色がちらついている。

 十歳頃の咲夜だ。

 小さな身体には似つかわしくないほど分厚い本を、片手で掴んでいた。

 後ろには施設を見送る孤児院の職員。

 視線の先には、自分を出迎えるために待っている別の職員の姿がある。

 咲夜は一瞬だけ立ち止まり、整然と立ち並ぶ巨大な建物を仰ぎ見た。

「ここが、私の新しい家……」

 抱え込んだ古い本に、ぎゅっと指をめり込ませる。

「……先生。どうして私はここにいるのか。どうして父さんも母さんも迎えに来ないのか。私が妾の子だからなのでしょう?」

 振り向くことなく、咲夜は静かに呟いた。

 その声には、十歳の子供とは思えない冷ややかな諦観が混ざっていた。

 職員は答えなかった。

 答えられなかった。

 その沈黙だけで、幼い咲夜には十分だった。

 咲夜は視線を落とす。

 そして、本を持つ指に力を込めた。

 

 ぎゅっ……

 

 小さな指が白くなる。

 本を抱える手に、さらに強く力を込める。

「友達なんていらない。仲間なんていらない。父さんも母さんもいらない。私は偉くなる。偉くなってやる。偉くなって、誰も彼も見返してやる」

 夕日に照らされた影を踏みつけながら、少女は前だけを見つめて歩き出した。

 

☆

 

 ピッ、ピッ、ピッ……

 シュー、コー、シュー、コー……

 

 機械的な電子音と、規則正しく人工息を送り込む呼吸器の音が室内に響いていた。

 重いまぶたを開くと、まぶしい白で満たされた天井が視界に飛び込んでくる。

 鼻と口を覆う呼吸器。

 身体のあちこちに繋がれた管。

 視線だけを動かすと、すぐに理解した。

 自分がどんな状態なのか。

 月光の魔女への変身。

 半魔女態のさやか。

 最後に受けた一撃。

 そして、自分自身が限界まで力を使ったこと。

 ビッグバン・インキュベートは、確かに本当の魔女化を防ぐためのシステムには違いない。

 だが、それはあくまで『穢れが限界値を迎える前にリセットする』仕組みであって、ソウルジェムに蓄積した穢れそのものを完全に消し去るわけではない。

 今の咲夜には、肉体回復にまで回す魔力の余裕すらない状態だった。

 魔女化を回避するための技術を、自分のソウルジェムに実装した。

 その代償が、今まさに全身を蝕んでいる――それを咲夜は理解していた。

 そこまで思い出したところで、ベッドの脇から声がした。

「目が覚めたみたいだね。良かった」

 声の主は、ベッドの脇に置かれた椅子に座っていた。

 あまり安堵の感情は見せない、いつも通りの淡々とした声。

 咲夜はそちらへ顔を向ける。

「……あー、そっか。灯花さんだ……。悪いですね、面倒かけて」

「全然。面倒ごとは慣れっこだから」

 灯花は手元の何かに目を落としたまま、あっけらかんと言った。

 おそらく、同じマギウスの首領格である柊ねむやアリナ・グレイにも黙って自分をかくまってくれているのだろう。

 咲夜は掠れた声で問いかける。

「私の身体どうです? 率直に」

「相当負荷がかかってたみたいだね。かなりきつかったはずだけど」

「自分の体力考えないで、頑張っちゃった。へへへ……」

 咲夜は照れ臭そうに笑った。

「う~ん……。フィジカルというより、やっぱりソウルジェムを改造したからじゃないかな。いくら咲夜でも、ソウルジェムに直接手を加えるのは無茶だよ」

「やっぱそっかぁ……。検証してる時間なくて、いきなり実戦投入だったものですから……」

 咲夜はぼやきながら、ゆっくりと上半身を起こした。

「よいしょ、いたたたた……」

「ああ、まだ無理しない方が――」

「灯花さんとは……」

 咲夜は口元を覆っていた呼吸器を自ら外し、灯花を真っ直ぐに見つめた。

「……ちゃんと顔見て話したいんですよ。じゃないとほら、本心読めないから」

「くふっ、よく言うよ。お互い様でしょ?」

 灯花が可笑しそうに口元を緩める。

 その傍らに置かれていたものへ、咲夜が気付く。

 レンズにひびの入った眼鏡。

 左手でそれを取り上げると、ゆっくりと顔にかける。

 ひびの入ったレンズ越しに、改めて周囲を見渡す。

 世界が少しだけ鮮明になる。

 咲夜は周りを見渡しながら、感心したように声を漏らした。

「へ~、ここがフェントホープですかぁ。立派なものですねぇ。さすが、大病院のご息女だ……」

「その言い方、なんか嫌だなぁ」

「褒めてるんですよ?」

「絶対違うでしょ」

 そんなやり取りをしていると、咲夜の視線が、灯花の手元へ移った。

「灯花さんが読んでるの、それ私のメモ帳ですか?」

「うん。ああ、嫌だったらやめるけど」

「ううん。そっか、それ、落としちゃってたんだ。何か興味深いのありましたか?」

「そうだなぁ……」

 灯花はパラパラとページをめくる。

「これは……改造実験の記録かなぁ? へぇ~、彼女が十一人目で、十二人目が自分自身なんだ」

「そう考えると、結構バラエティに富んだ被検体だったかもしれませんねぇ……」

「う~ん……七人目。これは……弟子?」

 そのページを眺めながら、首を傾げる。

「弟子なんか取りませんよ。ま、強いて言うなら……押しかけアシスタント? 助手?」

「咲夜が他人をそばに置いておくなんて、珍しいんじゃない?」

「あんまりしつこいから根負け。挙句、『どうしても何か私の力になりたい』って言うから、じゃあ折角なら~って七人目」

 灯花は、どこか疑わしそうな視線を向けた。

「ほんと?」

「ほんとですよ。や、彼女が望んだ形の協力だったかは分かりませんよ?『この身を捧げます』~って、はっきり言っていたわけじゃないですから」

 咲夜はひらひらと左手を振ったあと、ボサボサになった頭を掻こうとして右手を出そうとした。

 だが――ピクリとも動かない。

「あれ、こっちの腕上がんない……。利き腕なのに参ったなぁ。これお箸どうしよう?」

「治るまで、当分フォークだね」

 灯花が即答する。

 咲夜が顔を上げた。

「あのね灯花さん。カップラーメンはフォークで食べるよりお箸で食べる方が三倍美味しいの。覚えておくといいですよ」

「それは咲夜調べ?」

「咲夜調べ」

「じゃあ当てにならないね」

「ちょいちょいちょ~い!」

 咲夜の不満げな声に、灯花はいたずらっぽく笑い声を上げた。

「ふう。やっぱり咲夜と話すのは楽しいや。ひとまずは、傷を治療することだね。あとでグリーフシードを持ってくるから」

「うん。……ありがとう」

 灯花はそんな咲夜を見て、ほんの少しだけ口元を緩めた。

「どういたしまして」

 敢えて恩着せがましいニュアンスを込めてそう言い残すと、灯花は静かに立ち上がり、病室をあとにした。

 

☆

 

 月光の魔女との戦いを終えた後、一同はほむらのアパートに集まっていた。

 そこは普通の部屋ではなく、まるで生活感のない、映画に出てくる宇宙ステーションのような一続きの部屋だった。

 どういう原理なのか、宙にいくつものパネルが浮かび、そこにはたくさんの数値と、街の地図が映し出されている。

 戦闘の余韻がまだ身体に残っているのか、誰もすぐには口を開かなかった。

 ほむらが静かに立ち上がる。

「もう隠し事はなしよ。駆け引きも必要ない。一週間後、この街にワルプルギスの夜が来る。今までの魔女と違って……こいつは結界に隠れて身を守る必要なんてない。ただ一度具現しただけでも何千人という人が犠牲になるわ。相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか、竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけ」

 まどかが息を呑む。

 さやかは半魔女態の反動で肩を震わせながら、ほむらを見つめた。

「私は……自分の望む結末だけを求めて、この時間を何度もやり直してきた」

 ほむらは変身し、盾の中の砂時計を見せる。

「この砂時計の砂が落ち切った時、私は時間が止められなくなる代わりに、ひと月だけ時間を巻き戻せる」

 瀬利が苦い顔で呟く。

「……そういう事かよ。何度も何度も……苛立たしいぜ」

 杏子が腕を組む。

「けど、あんたの話を聞いた限り、今まではあんたとまどかと……マミしかいなかったんだろ?」

「そうね。たまに杏子、あなたと瀬利が数えるほど……それに、あなた達の知らない魔法少女達が力を貸してくれたこともあったわ。でも、結局まどかを助けられなかった……」

 さやかが眉をひそめる。

「じゃあさ、あたしはどうなってたのさ? これまでの時間じゃ、あたしはワルプルギスの夜が来た時にいなかったみたいだけど」

 ほむらは少しだけ目を伏せた。

「……美樹さやか。あなたは大抵、契約自体をしていなかったか、ワルプルギスの夜が来る前に絶望して魔女になっていたわ」

「んなっ!? なんだよそれ!」

「だからこそ。最初から魔法少女の真実を知って、しかも魔女になることさえ乗り越えたのは、この時間軸が初めてなのよ」

 さやかは言葉を失い、まどかがそっと肩に触れた。

 ほむらはまどかに向き直る。

「まどか。結局私は、この時間軸でもあなたを守れなかった。でも、せめて……ワルプルギスの夜との戦いで、あなたを死なせはしない。それが私の、この時間軸でのけじめよ」

 まどかは唇を噛みしめた。

「ほむらちゃん……」

 杏子が軽く肩をすくめる。

「魔法少女になっちまったからって、すぐさま魔女になっちまうわけじゃねえんだ。グリーフシードの補給なんて、そんなに悲観するもんじゃないよ。せいぜい生きていくうえでやることが一つ増えた程度じゃないか。どいつもこいつも難しく考えすぎなんだよ」

「ええ、そうね……」

 ほむらは虚空を見上げた。

(これで、いいよね。くれは……)

 その瞳には、戦場で見たさやかの半魔女態と、かつての友の姿が重なっていた。

 

☆

 

 ほむらのアパートを出た後、まどかとさやかは、二人並んで帰り道を歩いていた。

 夕暮れの街は、いつもと変わらない。

 学校帰りの学生。

 買い物袋を提げた主婦。

 道路を走る自動車。

 誰も、一週間後にこの街で何が起きるのかを知らない。

 さやかは、しばらく黙って歩いていた。

「……ねえ、まどか」

「うん?」

「今日のことだけどさ」

 まどかが振り返る。

「魔法少女になったこと……後悔してない?」

「…………」

 まどかはくすっと笑って言った。

「後悔なんて、してないよ」

「……なんで?」

「さやかちゃんが、ずっと一人で頑張ってたから」

 さやかは目を伏せる。

「私ね。さやかちゃんが強いから、何でも平気なんだと思ってた」

「いやいや。あたしだって普通に怖いって」

「うん。昨日、分かった」

 まどかは小さく笑った。

「さやかちゃんも、怖かったんだね」

「……まあね」

 さやかは苦笑する。

「だからね」

 少しだけ間を置いて、まどかが言った。

「これからは、一人で背負わなくていいんだよ」

 さやかは足を止めた。

「……まどか」

「私も、いるから」

 夕暮れの光の中で、まどかが笑う。

 さやかはしばらくその顔を見つめていた。

「……ほんと、バカだなぁ」

「え?」

「いや、なんでもない」

 そう言って、さやかは再び歩き出した。

「ほら、帰ろ」

「うん!」

 二人の足音が、夕暮れの街に並んで響いていた。

 

 さやか達と別れた後、杏子と瀬利は人気のない廃工場にいた。

 瀬利は大剣を肩に担ぎ、深く息を吐く。

「……まだ痛ぇな」

「そりゃそうだろ。あんだけ吹っ飛ばされりゃな」

 杏子がポケットに手を突っ込んだまま近づいてくる。

「無茶すんなよ、瀬利。あんた、戦い方が真っ直ぐすぎんだよ」

 そう言いながら、杏子は魔法少女の姿に変身した。

 その手には、長槍が握られている。

「お前こそな。突っ込むのはいつもお前だろ」

「はっ、言うじゃねぇか」

 二人は軽く笑い合い、構えを取る。

 瀬利が大剣を振り下ろす。

 杏子が槍で受け止める。

 

 ガキィィィィン!

 

 火花が散った。

「……相変わらず重てぇな、その剣!」

「お前の槍こそ、よく折れねぇな!」

 二人は押し合い、弾き合い、また距離を取る。

 瀬利の剣筋は豪快で、しかし無駄がない。

 杏子の槍捌きは鋭く、しかも読みづらい。

 どちらが優勢というわけでもない。

 互いの強みがぶつかり合い、拮抗したまま火花を散らしていた。

「……やっぱ、お前とはやりやすいな」

 杏子が言った。

「なんだそりゃ?」

「いや、手加減しなくていいって意味」

「それはこっちも同じだ」

 瀬利は大剣を握り直す。

「杏子。もう一回だ」

「言われなくても!」

 二人が同時に踏み込む。

 槍と大剣がぶつかる。

 火花が散る。

 夜の廃工場に、何度も金属音が響き渡った。

 

 同じ頃。

 ほむらは、見滝原が一望できるビルの屋上に一人でいた。

 月明かりだけが、屋上を淡く照らしている。

 ほむらは屋上の縁に立ち、街を見下ろしていた。

 眠りにつこうとしている街。

 その景色を、ほむらは何度も見てきた。

 そして。

 何度も失ってきた。

「……あと一週間」

 小さく呟く。

 以前なら、この一週間で何をすべきかだけを考えていた。

 どう戦うか。

 どこから攻撃するか。

 どうすればまどかを生き残らせられるか。

 それだけだった。

 まどかが契約してしまった絶望はある。

 けれど、そこには絶望で壊れなかったさやかがいて、杏子がいて、瀬利がいる。

 自分が何百回と試行錯誤し、届かなかった「全員で立ち向かう」という可能性が、今、目の前にあるのだ。

 ほむらは目を閉じる。

 脳裏に浮かぶのは、昨日の戦場。

 魔法少女と魔女。

 その二つの力を身にまといながら、それでも人間であろうとした少女。

「……美樹さやか」

 そして、もう一人。

 かつて、自分と共に戦った少女。

 黒い鎌を手に、いつも笑っていた。

「くれは……」

 ほむらは静かに目を開く。

(あなたが教えてくれたものとは、少し違うのかもしれない)

 あの子は、魔女の力を自分のものとして受け入れていた。

 けれど、さやかは違う。

 魔女の力を抱えながら、それでも「人間のまま強くなる」と言った。

(……彼女なら、この時間軸を、どう見るのかしら)

 答えは返ってこない。

 ただ、静かな街だけがそこにあった。

 

 ワルプルギスの夜が訪れるまでの一週間は、静かに過ぎていった。

 その間、さやかは何度か半魔女態を発動しようとした。

 しかし――

 何故か、月光の魔女との戦い以来、あの姿が再び現れることはなかった。

 魔法少女としての力は、何も変わっていない。

 それでも、あの時だけ現れた魔女の力だけは、二度と呼び起こすことができなかった。

 その理由を、さやか自身にも分からない。

 そして、誰にもわからないまま、一週間が過ぎていった。

 

 

 

to be continude...

 こんばんは、アカサカです。

 今日、現在開催中の『デタリキ』のガチャで5000DMMポイント課金しまして……

 

 

 一発勝負の5000Pガチャで、何とかイチゴの新コスをゲットしました!

 

 

 そして今回も虹玉三つ(しかも他二つは入手済みの恒常SSR)という謎仕様。(^_^;)

 

 

 ステータスはこんな感じ。

 評価は4.8です。

 

 

 スキルがこちら。

「敵を倒すと被ダメージダウンの『〇魂』を付与」というのは、彼女のノーマルコスと共通しています。

 

 本格的な紹介は、また後日……。

 

 

 といったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。

 こんにちは、アカサカです。

 前回の『月夜の人魚』で登場した、さやか半魔女態のデザインが完成したので、掲載したいと思います。

 

 こちらです。

 

 

 コンセプトは小説本文でも書かれていた通り、『魔女の力をまとったさやか』。

 以下、設定です

 

さやか(半魔女態)

 さやかがドッペルを自力で進化させ、魔女の力を身にまとった形態。魔法少女と魔女の力を併せ持つ姿で、能力は通常時の数倍以上に跳ね上がるが、初使用時には反動による負荷でさやかのソウルジェムが消滅の危機に瀕していた。後にまどかが契約したことで、この問題は解消されている。

 咲夜によるソウルジェムの改造を受けたことで発現した姿であるため、基本的に『月夜の人魚』の時間軸特有の形態と言える。

 ほむらは以前の時間軸で半魔女態となったくれはを見ていたため、半魔女態の存在自体は認識していたが、くれはの半魔女態は魔女となった後に、その力を効率よく運用するために自分の魔女としての力を肉体に降ろした姿であるため、厳密に言うと両者の半魔女態は似て非なる物である。

 余談だが、イメージモチーフは(自身のエゴと一体化するという点で)『スクライド』の融合装着型アルター。

 

 

 といったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。

 こんにちは、アカサカです。

 という訳で今日は……

 

 

  今さらですが、『魔王カリンちゃんRPG』とのコラボキャラ、レンファを紹介したいと思います。

 

 

 評価は今日(2023/10/6)の時点で4.9。

 オートスキルとして、HPが減るとバフがかかる根性のようなスキル持ちです。

 

 

 という訳で、彼女のお部屋へ。

 

 

 イベントでも触れられてましたが、元々『恋姫夢想』のキャラを使ったスピンオフ作品のキャラなので、元のキャラたちとはパラレルの別人という設定。

 

 因みに私は元の蓮華(孫権)は未所持です。

 だもんで、改めて彼女が女性口調だったのに軽く驚起きました。

 

 

 全身図。

 元は三国志武将の美少女化キャラですが、こちらはファンタジー系の装い。

 

 

 背中側。

 スカートはシリ・ガルメンバーのように、画面に収まらないほどのボリュームです。

 

 

 イベントの際は、着替えコスも配布されました。

 元は『恋姫』つながりで、星(趙雲)のSRコスです。

 

 

 お着換え。

 反応は普通です。

 

 

 全身図。

 割と似合っています。

 

 

 背中側。

 派手な装飾が無い分、ポーズがよく分かります。

 

 

 といったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。

 それでは、『月夜の人魚』第13話をお送りします。

 今回は、本作でも一つの区切りとなるエピソードです。

 

 ……そう言えばまどかの誕生日って今日(10/3)だったのね。

 知らなんだ。

 

 では、スタート!


魔法少女まどか☆マギカ~月夜の人魚~

第13話 私も背負いたかったから

 

☆

 

 杏子が目を見開く。

「なんだ、さやかのあの姿!?」

「まるで、魔法少女と魔女が混じったような姿じゃねえか……」

 瀬利も大剣を杖代わりにしながら、息を呑む。

「あれは半魔女態。魔法少女に、魔女の力を上乗せした、イレギュラーな姿よ……」

 半魔女態となったさやかを見据え、ほむらが静かに言った。

「魔法少女に魔女の力をって……出来るのか、そんなことが!?」

「普通は出来ないわ。そう、普通は……」

 ほむらの脳裏に、黒い大鎌を抱えた一人の少女の姿がよぎる。

 何百と繰り返してきた惨劇のループの中で、片手で足りるほどのほんの数回しか出会えなかった、けれども、いつもほむらを支えてくれた――あの特別な存在。

 半魔女態。

 それは元より、彼女が己の魔女としての莫大な力を制御するために編み出した秘術だった。

(……でも、美樹さやかのこれは、彼女のものとは決定的に違う……)

 魔女となった己の力を肉体に降ろしていた彼女に対し、目の前の美樹さやかは、どこまでも『人間』の心のまま、魔女の力を力づくで抑え込み、己の糧として纏っている。

(美樹さやかは……魔女に呑み込まれるどころか、人間のまま強くなろうとしている……!)

 半魔女態へと変貌したさやかの身体から、青黒い魔力が溢れ出す。

 月光の魔女は、その光を見て楽しげに身体を揺らす。

 <じゃあ、私とどっちが強いか検証して、勝ったほうの技術で次のステップに進むっていうのは、いかがです?>

 その声は、まるで研究の提案でもするかのように軽い。

 まるで、面白い研究テーマでも見つけたかのような口調だった。

 だが、魔女の巨体が揺れた瞬間、地面が軋んだ。

「あたしが勝って、終わらせるんだ!」

 さやかは剣を構え直し、魔女の顔を真っ直ぐ見返した。

 その目に迷いはなかった。

 半魔女態となったさやかが、地面を蹴った。

 先ほどまでとは、まるで違う。

 凄まじい速度で間合いを詰め、手にした剣を月光の魔女へと叩き込む。

 

 ガキィィィン!

 

 月光の魔女の杖とさやかの剣がぶつかり、甲高い金属音が響き渡った。

 <む~ん……!>

 魔女が押し返そうとする。

 だが――

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

 さやかはさらに力を込めた。

 すると今度は、月光の魔女の巨体が僅かに後退する。

「すげぇ……!」

 杏子が思わず声を漏らした。

「さっきまで、あんなに一方的だったってのに……!」

 瀬利も驚愕の表情を浮かべている。

 さやかはそのまま剣を振り抜き、月光の魔女の杖を弾き返した。

「どうだ!」

 そのまま跳躍し、空中で身体を捻り、斬撃を叩き込む。

 月光の魔女は咄嗟に杖を構え、それを受け止めた。

 <む……!>

 しかし、その巨体が大きく後ろへ吹き飛ばされる。

 

 ドォォォォォォォォン!

 

 魔女の身体が地面に叩きつけられた。

「やった……!」

 まどかが思わず声を上げる。

 だが、その時だった。

「……止めた方がいいね」

 背後から、キュゥべえの声がした。

 まどかが振り返る。

「キュゥべえ……?」

「このままだと、さやかがもたないよ」

「どういうこと……!?」

「あの半魔女態というのは、魔法少女の肉体に魔女の力を無理やり重ねているんだろう? そんなものを維持し続ければ、ソウルジェムにかかる負担は相当なものになる」

「なんであなたが、そんなことを教えるの?」

 ほむらの声には、明確な警戒が滲んでいた。

 決してさやかの安否を心配するような奴ではない。

 そのことを、ほむらは嫌と言う程知っている。

 キュゥべえは、いつもの無表情な顔でさやかを見つめている。

「このままだと、魔女化すらせずにソウルジェムが消滅してしまうからさ」

「…………!」

 キュゥべえは淡々と続けた。

「ソウルジェムが完全に消滅してしまえば、当然だけど、魔女になることすらない」

「……あなたたちにとっては、それが困るというわけね」

「そうさ」

 キュゥべえはあっさりと肯定した。

「感情のエネルギーを得ることが出来ないのは、ボクたちにとっても損失だからね」

「…………!」

 ほむらは拳を握りしめた。

 やはり、こいつらにとっては――

「さやかちゃんが……死んじゃう……?」

 二人の会話を聞いていたまどかが、ぽつりと呟いた。

 ほむらが振り返る。

 まどかは、戦場の方を見つめていた。

 そこでは今も、さやかが月光の魔女と戦っている。

「さやかちゃん……」

 半魔女態の身体から、黒い魔力が噴き出している。

 それでも、さやかは剣を握っている。

 何度も立ち上がる。

 何度でも向かっていく。

 自分たちを守るために。

「……嫌だ」

 まどかの手が震えた。

「私……さやかちゃんが消えちゃうなんて、嫌だよ」

「まどか……!?」

 まどかは、ぎゅっと拳を握りしめた。

「いつも、さやかちゃんに守ってもらってた」

 まどかは、さやかを見つめる。

「魔女と戦う時も……危ない時も……いつも助けてもらってた」

 その目には、涙が浮かんでいた。

「でも……もう嫌なの……! 私も、さやかちゃんを守りたい」

 ほむらが叫ぶ。

「まどか! ダメよ! あなたが契約したら――!」

 まどかはほむらを見つめた。

 その瞳は、もう迷っていなかった。

「ごめん、ほむらちゃん。でも、このままだと……さやかちゃんが……壊れちゃう……! 私……見てるだけなんて、もう嫌!」

 キュゥべえが静かに言う。

「まどか。君なら、さやかを救えるよ」

 まどかは小さく息を吸い、決心した声で言った。

「……さやかちゃんを……助けたいの……!」

 その瞬間、戦場の空気が変わった。

 

 ドガァァァァァァァァァァァァァッ!

 

 さやかの一撃が直撃し、月光の魔女がよろめく。

 <ねえ、さやかさん。やっぱ、あなたには人間を超えられる素質があります。私と一緒に、さらなる高みへ行きましょう>

 その声は、これまでのような実験台を見る研究者のものではなかった。

 もっと純粋な、期待にも似た響き。

 さやかは、自分の身体を見下ろした。

 魔法少女と魔女。

 二つの力が、一つになった今の姿。

 確かに、自分はもう普通の魔法少女ではないのかもしれない。

 だが、さやかは、ゆっくりと顔を上げた。

「あたしはそっちへは行かない。強くなるためにお前みたいになるくらいなら、あたしは、あたしのまま……弱い人間のまま、強くなってやる!」

 きっぱりと言い放たれた拒絶。

 人間であることを捨てず、傷つき悩む己を丸ごと受け入れて立ち上がったさやかの言葉に、一瞬、静寂が訪れた。

 そして。

 月光の魔女の杖へ、凄まじい魔力が集まり始める。

 淡い月光が渦を巻き、空気が震える。

 <そんなこと言わずにぃ……!>

 その声は、今までの余裕に満ちたものではなかった。

 まるで、何かを必死に引き止めようとするような響き。

 月光がさらに強く輝く。

 これまでにないほどの膨大な魔力が、魔女の杖へ凝縮されていた。

 直撃すれば、半魔女態となったさやかでも無事では済まないだろう。

「さやか!」

「避けろさやか!」

 杏子と瀬利が叫ぶ。

 その時だった。

 

 ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ! ドシュッ!

 

 無数の桃色の光の矢が走り、月光の魔女の身体に突き刺さる。

 <なっ……?>

「えっ!?」

 さやかが振り向くと、そこにはがっくりとうなだれ、崩れ落ちたほむらと、その横にピンクのドレスに身を包み、植物のツルで出来たような弓を構えるまどかの姿があった。

「まどか……まさか」

 驚愕に満ちたさやかの声に、まどかはにっこりと笑って頷く。

「うん……。私も、魔法少女になったの」

「そんな……」

 愕然となったさやかに、まどかは微笑んだまま、静かに言った。

「聞いて、さやかちゃん。私、嬉しいんだ。いつも守ってもらってばかりだった。でも、今は違う……。一緒に戦える!」

 まどかはキッと月光の魔女を見据えると、弓を引き絞り、次々と光の矢を放つ。

 破格の魔力が戦場全体を包み込む。

 

 ズドドドドドドドッ!

 

 光の矢は、正確に月光の魔女を捉えていく。

 しかし、月光の魔女はそれを受けつつも、勢いを止めない。

 <さすがですねぇ、まどかさん! キュゥべえが期待していただけのことはある! でも、これ位では私は止められませんよ!>

 だが、その視界の先には剣を構えた半魔女態のさやかがいた。

「まどか、あとは任せて! こいつはあたしが止めなきゃいけないんだ!」

 さやかはそのまま、月光の魔女に向かって一直線に走りだす。

 力強く剣を振りかぶるその姿を目にした瞬間、月光の魔女――咲夜の脳裏に、二人で歩んできた日々が奔流となって駆け巡る。

 初めて出会った時。

 研究室で、自分の話を聞いてくれたさやか。

 ソウルジェムを改造した時。

 自分に笑いかけてくれた、あの顔。

 咲夜にとっては、ずっと追い求めていた存在だった。

 自分の研究を証明してくれる存在。

 自分と一緒に、さらなる高みへ進んでくれる存在。

 ――そう思っていた。

 なのに、その少女は今、自分を止めるために剣を振り上げている。

 <さやかさん……! さやかさんってぇ!>

 愛おしさと切なさと狂気が混ざり合った叫び。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!

 

 <ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!>

 さやかの渾身の一撃が月光の魔女を両断し、大地を揺るがす大爆発が起こる。

 一同は、その爆発を見つめていた。

 ある者は興奮したように、ある者は静かに。

 爆炎が収まった時、そこからボロボロになった咲夜が現れた。

 魔女どころか、魔法少女の変身も解けている。

「ケホッ、ゴホッ……さやかさん……やはりあなたは素晴らしい!」

 嬉しそうに笑う咲夜だったが、限界がきたようで、その場に膝をつく。

「どうやら、今日はここまでのようですね……。でも、さやかさん。私は諦めません。今度会う時こそ……」

 咲夜はレンズにヒビの入った眼鏡を押し上げると、杖の石突を地面に打ち付ける。

 すると、地面を割って例の本型のゲートが現れた。

「させるかよ!」

 事態を察した瀬利が飛び出す。

 が、一瞬早く、咲夜が本の中へと飛び込んだ。

 瀬利の大剣が本の表紙へと叩き込まれる。

 

 ガキィィィィィン!

 

 堅い金属音を響かせ、その刃は表紙に弾き返された。

「ちっ!」

 次の瞬間、本は光となって消滅した。

 その場に残されたのは、静寂だけだった。

「……逃げやがった。苛立たしいぜ……!」

 瀬利が悔しそうに呟く。

 さやかは、まだ剣を握ったまま、本が消えた方向を見つめていた。

「……咲夜」

 その声には、怒りだけではない。

 どこか寂しさのようなものも混ざっていた。

 

 ☆

 

 その頃。

 咲夜の研究室。

 空間に、本の形をしたゲートが開く。

「……はぁ……はぁ……」

 咲夜が、ふらふらとその中から転がり出てきた。

 

 ドサッ!

 

 もはや立つ力すら残っておらず、そのまま冷たい床へ倒れこんでしまう。

「全く……人間というのは脆いですねぇ……」

 自嘲気味に呟き、そのまま静かに目を閉じる。

 身体は限界だった。

 意識がゆっくりと遠ざかっていく。

「…………」

 やがて、研究室に別の足音が響いた。

 いつからそこにいたのか。

 一人の少女が、倒れた咲夜を見下ろしている。

 彼女は、気絶した咲夜をしばらく見つめていた。

 そして、

「全くだね……」

 静かに呟く。

 少女は灯花だった。

 灯花は気絶したままの咲夜を抱きかかえると、その場から音もなく消え去った。

 

☆

 

「……終わったな」

 静寂の戻った公園で、杏子が呟いていた。

 つい先ほどまで、魔女と魔法少女の力が激しくぶつかり合っていたとは思えないほど、辺りは静かだった。

 砕けた地面。

 吹き飛ばされたベンチ。

 ところどころに残る戦いの痕跡。

 そして、その中心で。

「……はぁ……はぁ……」

 さやかは肩で息をしていた。

 張り詰めていた緊張の糸が、ぷつりと切れたようだった。

「……終わった……」

 そう呟いた直後。

 さやかの膝から力が抜け、その場にへたり込むように座り込んだ。

 同時に、彼女の身体を覆っていた半魔女態の装甲が、光となって次々に消えていく。

 耳元のヒレや、腕や脚を覆っていた装甲が消え、頬に浮かんでいた鱗も、涙のような模様も消えていく。

 青黒い魔力の残滓がふわりと宙に舞い、やがて風に溶けて消えた。

「…………」

 さやかは自分の手を見つめた。

 指を動かす。

 握る。

 開く。

 何も変わっていない。

 自分は、まだここにいる。

「……あたし……」

 さやかは小さく呟いた。

 ソウルジェムは何事も無かったかのように、青く輝いていた。

「さやかちゃん、大丈夫!?」

 まどかがさやかに駆け寄り、しゃがみ込んでその顔を覗き込む。

「うん、平気……。でも、まどか……」

 まどかを見返すさやかだったが、まどかは首を横に振る。

「ううん。これが、私が決めて出した答えだから。前にさやかちゃん、言ってたよね。『命がけで戦う羽目になったって構わないって、そう思えるだけの理由があった』って。私も同じ。いつも守ってもらってばかりで、見ているだけなんて嫌だったから。さやかちゃんと同じものを、私も背負いたかったから」

「まどか……」

 さやかは、しばらくまどかの顔を見つめていた。

 何か言おうとして――けれど、言葉が出てこない。

 やがて、

「……本当、バカだなぁ……」

 さやかは、くしゃっと笑った。

 そして、まどかの頭に手を乗せる。

「そんなことまで、あたしの真似しなくてもいいのにさ」

 つられてまどかも「エヘヘ」と笑った。

 その光景を、少し離れた場所から見つめていた杏子が、呆れたように、けれどどこか嬉しそうに鼻を鳴らす。

 手負いの瀬利も、大剣に体重を預けながら深く息を吐き出していた。

「まったく……とんでもねえ奴らだな。なあ瀬利」

「でも……悪くねえよ。まどかが魔法少女ってのも、案外しっくり来てるじゃねえか」

 その時だった。

 「……みんな」

 静かな声が響いた。

 全員が振り向く。

 そこには、ほむらが立っていた。

 いつもの冷静な表情。

 けれど、その瞳には今までとは違うものがあった。

「聞いて欲しい話があるの」

 誰も、すぐには答えなかった。

 先ほどまでの戦いの余韻が残る公園で。

 ほむらだけが、次に待っているものを知っている。

 そして。

 その戦いが、これまでのものとは比べものにならないことも。

 風が、静かに木々を揺らした。

 

 

 

to be continude...

 

ブレイドテイル「今日はガッツリいきてぇなぁ」

 

 

スカルザラック「そんなら、久々にあそこに行かんね?」

 

 

~北九州市小倉北区~

 

スカルザラック「ここたい」

 

ブレイドテイル「おお、『ちゅんちゅん食堂』か」

 

 

スカルザラック「『すずめの涙のちゅんちゅん食堂』。2015年から営業しとる定食屋たい。弁当の販売も行っとるとよ。港に近いけん、昼時は作業員の客で満員になると」

 

 

スカルザラック「相変わらず、昭和の喫茶店みたいな雰囲気やねぇ」

 

 

ブレイドテイル「流れてる曲も昭和後期~平成初期頃の歌謡曲で、世代にゃたまらねえよな」

 

 

スカルザラック「卓上には、簡単な調味料があるとよ」

 

 

ブレイドテイル「ん、前は昼だけの営業だったような……」

 

スカルザラック「一時期、週末だけ夜営業ば始めて、今は毎日夜もやっとるごたぁね」

 

 

スカルザラック「基本の定食はこれたい。『W』は文字通り、おかずば二倍に出来るとよ」

 

ブレイドテイル「ご飯も無料で大盛に出来てお得だよな」

 

 

スカルザラック「こっちはちょっとお高めの定食たい。ばってん、こっちも大体ご飯は大盛に出来るばい」

 

 

ブレイドテイル「他にもコラボメニューや、アルコールセットなんてのもあるな。どっちも試したことはねぇが……」

 

 

スカルザラック「という訳で、今日はトルコライス定食たい!」

 

ブレイドテイル「おお、来た来た!」

 

 

ブレイドテイル「このボリューム、たまんねぇなぁ」

 

スカルザラック「あんまりボリュームがあるけん、これは大盛には出来んっちゃんね。因みにご飯はバターライス、カツはトンカツば選んだばい。他にご飯は白ご飯、カツはチキンカツも選べるとよ」

 

 

スカルザラック「小鉢は毎回違うばってん、今日は海藻の酢の物が入っとるね。それじゃ……」

 

スカルザラック・ブレイドテイル「頂きます!」

 

 

スカルザラック「さっそく、カレーのかかったトンカツからいくばい」

 

 

ブレイドテイル「トルコライスにみそ汁ってのも乙なもんだな」

 

 

スカルザラック「キャベツもトンカツで胸焼けするとば防いでくれるけん、ちゃんと食べんとね」

 

 

ブレイドテイル「バターライスは香りがいいな」

 

 

スカルザラック「この豪華さ、まさに『大人のお子様ランチ』やね」

 

 

ブレイドテイル「ふぅ~、食った食った」

 

スカルザラック「この値段でこのボリュームは、かなりリーズナブルやね」

 

スカルザラック・ブレイドテイル「ご馳走様でした!」

 

 

スカルザラック「一つ、一番近い西小倉駅からは20分くらい歩かないかんけん、車ば持っとらんと、そこだけが不便やね」

 

ブレイドテイル「まあ、オレ達はスペースブリッジ使うから関係ねぇが……」

 

すずめの涙のちゅんちゅん食堂

福岡県北九州市小倉北区西港町3-18

TEL:093-582-9922
営業時間:11:00〜14:30 18:00〜21:00

 

トルコライス定食:990円

 

※各データは2026年10月現在のものです。

 こんばんは、アカサカです。

 昨日の『デタリキ』のメンテ明けから開始したガチャを引いたところ……

 

 

 ユキノさんの新コスをゲットしました!

 ……相変わらず、第一志望のイチゴはゲットならずでしたが。

 

 

 まあ最初の10連でゲット出来たので、贅沢は言えません。

 イチゴは……課金しようかなぁ?(葛藤中)

 

 

 評価は4.9。

 オートスキル持ちです。

 

 話がそれますが、今回からイベントに『超級++』が追加されました。

 専用の交換アイテムも手に入るようですが……そんなのいいから、不具合の調整やら、一部のユーザーが優遇されている現状をどうにかして欲しいんですがね。

 

 

 といったところで、今日はこの辺で。

 どうも。ではでは。