フランス映画『もういない』 ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

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映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

洋画のご紹介です。(映画ネタバレ含む)

フランス映画『もういない』 ネタバレ・あらすじ・感想


フランス映画『もういない』概要


2012年製作のフランス映画。
監督:ティエリ・ビニスティー

フランス映画『もういない』ネタバレ・あらすじ


愛する娘、エバの二十歳の誕生日。
母親のキャシーは近隣の人達や友人、元の夫にも声を掛けて、
自宅の庭で、盛大にバースデーパーティーの準備をしていた。
ところが、時間になっても肝心のエバが、一向に帰って来ない。

心配になったキャシーは警察署に行方不明人の捜査依頼に行ったところ、
殺人死体遺棄事件が発生した事を知る。
まさかと思いつつ、その事件現場に同行したキャシーはそこで、
残酷に殺された被害者がエバであった事を知り衝撃のあまり倒れてしまうのだった。
ほどなくして知らせを聞いた夫も警察署へ駆けつけて来て、
キャシーと元夫の絶望に苛まれながらの犯人捜しの日々が始まるのだった。

彼女も、既に再婚して新しい家庭を持っていた元夫も、その悲劇の日から「犯人を見つけ出す事と事件の真相を知る事。」以外は何も考えられなくなっていた。
そのせいで、自身や周囲の者の人生を混迷させてゆく。
やがて、このままではいけないと気付いたキャシーは、
元夫よりも一足先に、傷つき苦しみながらも狂った人生を、少しずつ、少しずつ、再生の軌道に修復してゆく努力を始めた。

そして、映画の終盤、事件から1年が経過した頃に、ようやく犯人が見つかる。
その犯人は、爪の先ほども疑った事もない思いがけない人物であった。

フランス映画『もういない』感想


フランス映画だけれど、ラジオから流れる音楽は英語だった。
それと、フランス語で「メリークリスマス」は「Joyeux noel(ジョワユーノエル)」なんだね。

ストーリーは淡々と運び、事件発覚後、
動揺する主人公と元夫に対して、
警察や裁判所など、公的機関の人達が事務的に接する姿が、被害者遺族側の目線に立って観ると、
傷口に塩を擦られるようで非常に辛い。

あまりの衝撃に寝込んでしまい何日も起き上がれないキャシーの様子や、
〝こいつが、犯人なのではないか?”と一旦疑い出した人物を、もう少しで殺してしまいそうになる元夫の乱心ぶりなど、身につまされる出来事の1つ一つがシリアスだから、
もしかしたら実話なのか?と感じてしまった。

警察の捜査が緩慢ならば、犯人を自分で突き止めようという意識に支配されたキャシーは、
エバの弟である息子の非行と反発を切っ掛けに、犯人捜しへの執着心をリセットした。
あまりにエバの事ばかりで、長い間放置されたような状況にあった息子を傷つけていた事に気付いたから。

何があっても人は生きて行かねばならず、子供への愛情というものも休む事は出来ない。
それは時に、もう一人の子への愛に蓋をする事になっても、行わなければならない厳しい選択なのだ。

けっして娯楽映画ではない。
人生の過酷さ、悲しさを教えてくれる深みのある映画だった。

ところで、「父さん」を「倒産」と書くような、あまりの日本語字幕のいい加減さに驚いたが…こういった校正もしてないものを平気で世の中に出してしまう日本って、
プロ意識の廃れた変な国になってきてますね(苦笑)