映画 トランス・ワールド ネタバレ・あらすじ～トム消滅！
原題はEnter Nowhere．これは直訳すれば「何処でもないどこかへ入りこむ」発端は、やさぐれたカップルの押し込み強盗だった。
カップルの女ジョディにピストルの銃口を向けられて
「早く金庫を開けないと撃つわよ！」と凄まれている店の主人が、やけに落ち着いて
「金庫を開けると後悔する事になるぞ」と言うが、金庫を開ける動作をする。
この直後に一発の銃声が響き、はてさて店主の運命はいかに？
人里離れた森の中――夫とドライブ中にガス欠になり、助けを呼びに行って戻らぬ夫を探していたサマンサは、
森の中のキャビンに迷い込んで、同じように車が側溝に脱輪して立ち往生しているトムに遭遇する。
斧とか持って怪しいので最初はトムを警戒して怯えまくっていたサマンサだが、
だんだんと悪い人ではないとわかると安堵し、一緒に夫を待つことにした。
サマンサは妊娠中で、トムに、キャビンの中のベットを譲ってもらって寝ても、不吉な夢にうなされて目が覚める。
妊娠中の自分が出産の時に、お医者へ行く事がままならず、
体調不良で死んでしまうという夢だった。
そうこうするうち、先ほど町で押し込み強盗を働いていたジョディもまた、山の中へと迷い込んで来る。
ジョディが礼儀知らずなので、最初ちょっとトムと衝突したり「出て行く。」と言って突っ張ったりしてギスギスしたが、
寒さと飢えから、やがて３人は協力し合い、打ち解けていく。
キャビンで待ち続けても食料や水がすぐに尽きるだろうという事で、３人はとにかく下山しようと考えて、
荷物を持って、ひたすら一つの方向へと歩くが、暫く歩くと、何故だかキャビンのある場所へ戻って来てしまう。
ただし歩き回った収穫として割と近くに防空壕を発見し、そこから缶詰やワインを持ち帰る。
山小屋の奇妙さに気付く３人。
それに、話しているうちに、３人ともが自分が元々いたと主張する場所がバラバラで、
お互いに、後の２人の頭がイカれてるのか？！と思うが、
生きている時代も違うみたいで、どうもそういう事じゃないらしいとわかる。
この前、防空壕にあった食料を勝手に持ち帰ったせいなのか？…
おそらく防空壕に隠れながら敵地の偵察をしていたらしき、ナチスドイツの兵士が現れ、
３人に銃を向けて、やたらに興奮して怒っている。
兵士の言葉はドイツ語なので、亡き父親がドイツ人だったというサマンサの片言のドイツ語が僅かに通じるだけで、
なかなか意思疎通出来ない。
どうにかドイツ兵は一旦、引き揚げていったのだが、サマンサもジョディも、自分とまるで同じロケットペンダントを
身に着けているのに気付くと再び興奮。
それが切っ掛けでドイツ兵は亡くなったサマンサの父親であると悟るサマンサ・ジョディ・トムであった。
更に話し合うと、サマンサはジョディの母でトムの祖母、ジョディはトムの母であるが、
ジュディが強盗殺人の罪で死刑になったせいで、残されたトムは、母の温もりも知らず施設で虐待を受けて育った。
この小屋で寝起きしているうちに自分を虐待した牧師を殺害して自殺するという予知夢を見ている。
因みに強盗殺人と言っても、
映画の冒頭で、ジュディがピストルの引き金を引いた相手は店のマスターではなくて、
その少し後に、相方の彼氏に向けてだった。
その後、ジュディの意識は混沌として気が付けば山の中を彷徨っていたのだ。
ジュディはジュディで、
彼女の母親（つまりサマンサ）が彼女を産む時に亡くなり、父方の祖父母に引き取られたが、
虐待を受け不幸な子供時代を送ったせいで非行に走ったのだと語る。
サマンサの母は、父親が戦争で亡くなったので、アメリカ人と再婚をして離れて暮らしていたが、数年前に事故で亡くなった。
だから初産で心細いのに、予知夢によると、どうやら一人っきりで出産の時を迎えるようだった。
みんなの話を総合して考えてみれば、
サマンサの父が戦争中爆撃を受けて亡くなってから、すべての歯車が狂っていた。
彼が亡くならなければ、お母さんは再婚をする事はなく、アメリカで事故に遭う事もないので、
元気でサマンサの傍にいてくれたかもしれない。
そうすれば彼女は亡くならずに、生きてジュディを育てる事が出来て、
ジュディは飛行に走らずに済む。
そうすればトムを育てられるかもしれない。
「だから…サマンサのお父さんを爆撃から守る事さえ出来れば、俺達の運命は変えられる！」トムはそう言って、
３人で協力して必死にサマンサの父を助けようとするのだが、
悲しいかな、言葉が上手く通じないので
時空が捻じれて、ズレて、４世代が揃ったとかの信じがたい話を、詳しく説明した上で短時間で、すべて理解してもらう事など到底無理だった。
お父さんも、責任感が強いのか？軍人ってそんなもんなのか？任務遂行に拘るし、
故に、結局、意思疎通出来ぬまま揉み合っているうちに、ピストルが暴発し、ジュディは腹部を撃たれてしまう。
サマンサとトムはジュディの負傷に大ショックを受ける。
サマンサはトムから「ジュディが死ねば俺も消えるから絶対に死なせるな！」と言われるけど、
腹部を撃たれてるのに治療もせず、救えるわけがない。
トムはサマンサにジュディを預け、サマンサ父を追いかけて行き、死なない程度に痛めつけて言う事を聞かせようとしたが、
ジュディの命尽きる頃、トムの存在も霞んで消えていった。
「あなたのせいで二人が死んだ！」と怒って泣き叫びながらハンス（父）に駆け寄った時、敵機が上空をかすめ飛ぶ。
そこでサマンサは再びハンスを説得。
「あなたが死ねば私の母も死ぬのよ！」と言われて、ようやく妻と娘を救う気になったハンスは、
サマンサと共に防空壕へ逃げた。
どうにか二人で防空壕へと辿り着き、助かったかのように見えたが、キャビンに爆弾が落ちて炎上し、キャビンは木端微塵に爆発する。
こんなに一生懸命頑張ったのに全員死んでしまうバッドエンドなんて酷い！とか思っていたら、そこから時間がぐるぐるぐるぐる巻き戻る。
ジュディは気が付くと、押し込み強盗をしたあの店にいた。
だが、押し込み強盗をしに来たのではなく、ただの買い物に来ただけだった。
店に置いてあった可愛いブリキの飛行機のくるくる回る玩具を見ているうちに何故だか意識が遠くなっていたらしい。
ジュディはこの町で母に愛されて育ち、品の良いお嬢さんに成長していたのだった。
ジュディが、買い物を済ませて店を去ってから、映画の冒頭でジュディと一緒にカップル強盗を働く男が、
今度は別の女とやって来て、全く同じ流れでカップル強盗をしでかす。
その別の女は、やはり店主を脅して金庫を開けないと撃つとか言っているが、
その金庫を開けたなら、またこの女性もEnter Nowhereな不思議な時空間へ紛れ込むのだろうね。
トムの父親は、この強盗の相棒の男だとジュディがサマンサに語っていたシーンがあったので、
最後まで視てトムはもう生まれられないというのがハッキリした。
（トムだけ貧乏くじ引いちゃったね～可哀そう）
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