世界一の大型降雨実験施設 (防災科研で)
2月29日㈭、茨城つくばにある防災科学技術研究所での第2回高専防災コンテスト最終審査会が開催され、その後は防災科研の施設を見学しました。
防災科研は、伊勢湾台風を契機に昭和38年1963年に設立された国立研究開発法人てす。世界一の大型実験施設群を持ち、地震や風水害等の災害に対して調査研究を行い、陸海統合の地震火山観測網で、常時観測を実施しています。
自然災害大国の我が国にとって、防災科学技術を活用して、減災や強靭化に繋げていくことは、大変重要です。引き続き支援を強化していきます。
◎地震の正体とは 巨大岩石摩擦実験装置
50 cm☓7.5mと6mの岩石がこすれ合う
まずは、大型岩石摩擦実験装置を視察しました。
地震は、断層が食い違い滑ることによって、地震波=揺れや、海底では津波等を発生する自然現象だと言われています。断層のすべり方を左右する重要な要素が、岩石の摩擦の性質です。従来は岩石摩擦は小さいサンプルで実施されていましたが、近年岩石の大きさによって摩擦の性質が異なることが指摘され始めました。そこで、防災科研では、幅50cm、長さ7.5mと6mの直方体の巨石を油圧によって擦り摩擦の様子を調べる装置を開発し、地震の解明に取り組んています。
◎大型降雨実験施設
1時間300㎜の豪雨を再現
近年の尋常ではない降雨、ゲリラ豪雨や線状降水帯等がよく話題に上ります。
防災科研の大型降雨実験装置は、異なる四種類のノズル(2176個)から、最大で約3,000平方メートル(44m×72m)の範囲に散水ができるため、実大規模の模型斜面で崩壊実験が可能です。最長375mの実験ゾーンを、大きな建屋が移動可能なため、散水実験と模型製作が同時並行で実行できます。
ゲリラ豪雨と呼ばれる短時間での局地的な豪雨を再現する、10分当たりの雨量50.0mm(1時間当たりの雨量300mm)、最大雨滴粒径6mm程度の降雨が可能とのことです。
◎陸海統合地震津波火山観測網MOWLASモウラス
全国に2千以上の高性能観測網を構築
視察中に房総沖で震度2の地震が発生
観測網のデータが瞬時に表示されました。
防災科研では、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を契機として、全国の陸域において高感度地震観測網(Hi-net)、全国強震観測網(K-NET)、基盤強震観測網(KiK-net)、広帯域地震観測網(F-net)の整備・運用を行ってきたとのことです。
また、16の火山において基盤的火山観測網(V-net)の整備を行い、火山活動を観測しています。今年4月の火山調査研究推進本部設立に向けて、昨年度の補正予算で50の常時観測火山の全てで観測網を整備することになりました。
海域においては、平成23年3月11日に発生した東日本大震災を受け、海域を震源とする地震や津波の早期検知・情報伝達などを目的として、日本海溝海底地震津波観測網(S-net)を北海道沖から房総半島沖までの海底に整備しました。加えて平成28年4月には、紀伊半島沖から室戸岬沖にかけて整備された地震・津波観測監視システム(DONET)が海洋研究開発機構より防災科研に移管されました。
陸海統合地震津波火山観測網
これら全国の陸域から海域までを網羅する「陸海統合地震津波火山観測網」の本格的な統合運用が平成29年11月より開始されたことを機に、その愛称を「MOWLAS」(Monitoring of Waves on Land and Seafloor:モウラス)としました。
現在、南海トラフ地震を踏まえて、観測網の空白域である四国から九州の海域に乾燥網が敷設されました。
今後も、海域観測網を日本海や南海諸島方面に拡充していきたいとのことてした。
◎防災科研の見学や報告会は
防災科研を見学することができます。
ぜひ多くの方々のご来場を!
また、報告会も順次開催されています。