サイバーセキュリティ戦略が改訂　中露北の脅威を初明記　サイバー攻撃の際の国民保護が課題

サイバーセキュリティ戦略の改訂版の概要

https://www.nisc.go.jp/conference/cs/dai31/pdf/31shiryou01.pdf　

「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条に、「日々勉強！結果に責任！」をモットーとする参議院議員赤池まさあき(比例代表全国区)です。

　10月に入り、コロナ禍での緊急事態宣言等が解除されました。感染がなくなったわけではなく、ワクチン接種が進み、感染症と付き合いながら、今後、社会経済活動を段階的に緩和していこうというものです。引続き感染症対策を徹底して頂ければと思います。

◎3年に1度のサイバーセキュリティ戦略を改訂

　自民党総裁選において、高市早苗現政調会長が主張していたのが、サイバーセキュリティの強化でした。昨年は1日平均13億6800万回とサイバー攻撃が激増しており、国民の生命や資産、情報を守り抜くために、防御体制の確立と高度化を急ぎ、必要な法制度整備を行うとしていました。

　自民党総裁選中の9月27日(月)には、首相官邸において、サイバーセキュリティ戦略本部が開催され、サイバーセキュリティ基本法第 12 条に基づいて、3年に1度の「サイバーセキュリティ戦略」が改訂されました。

　サイバーセキュリティ戦略本部 (nisc.go.jp)

　既に報道されていますが、中共やロシア、北朝鮮の脅威を初めて明記して、政府、重要インフラ、大学・教育研究機関のみならず、地域や中小企業等、国民各層の取組み強化を、政府一体となった体制のもと推進しようとしています。

◎サイバー攻撃対処について国会質問

　私は、本年4月12日に参議院決算委員会で、サイバー攻撃対処について質問しました。

　第204回国会参議院決算委員会第3号令和3年4月12日 | 国会会議録検索システム

　政府答弁によると、その他の危機管理と同様に、官邸主導で政府一体となった初動対処措置を取り、事態の重大性、緊急性に応じて、関係閣僚会議や国家安全保障会議、閣議等の開催、政府対策本部の設置等で事態の変化に対応することになります。

　そして、防衛省・自衛隊については、サイバーによる武力攻撃が発生した場合、これは、武力の行使の三要件(①我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、②他に適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと)を満たす場合に、国民の命と平和を、平和な暮らしを守り抜くため、自衛隊が武力の行使を含む必要な措置をとることになります。具体的には、有事において相手方のサイバー空間の利用を妨げることも含め、我が国の防衛を全うするため適切な対応を行うことになると答弁しています。

　課題は、サイバー攻撃による国民保護です。

　自衛隊は相手のサイバー攻撃部隊に反撃することになりますが、重要インフラ破壊等の国民保護の方策や対処訓練は十分ではないと感じています。

　今回のサイバーセキュリティ戦略の改訂版でも、個人情報保護はあっても、有事の際の国民保護の検討は依然課題だと思っています。

　引続きサイバーセキュリティの充実強化、特に国民保護確立に向けて、力を尽くしていきたいと思います。　

◎サイバーセキュリティ戦略改訂版の概要

　同戦略の概要は以下です。

1．現状認識としては、5点あります。

⑴デジタル化の進展、ネット利用者8割超、利用時間1日2時間超

⑵コロナ禍でのテレワークやオンライン教育等の進展

⑶厳しさを増す安全保障環境、地政学的緊張の影響

⑷持続可能性がある社会、Society5.0、脱炭素化社会への貢献

⑸東京オリパラ大会の取組み継続です。

2．本戦略の基本理念は2点あります。

⑴確保すべきサイバー空間は「自由、公正かつ安全な空間」であり、

⑵基本原則は従来の戦略で掲げた5つの原則を堅持「情報の自由な流通の確保、法の支配、開放性、自律性、多様な主体の連携」

3．課題は3点です。

⑴環境変化からみたリスク(コロナ禍でデジタル化、サイバー空間拡大、人材不足等)

⑵国際情勢からみたリスク(有事未満・非平時、中共・露・北朝鮮の攻撃等)

⑶近年のサイバー空間における脅威の動向(組織犯罪や国家関与、民主主義介入、サプライチェーンリスク、データ搾取と見返り金要求の二重の脅威等)

　4．3年間で目的達成のための施策は3つの方向性とそれぞれ具体的な施策と3つの横断的施策があります。

　⑴デジタル改革を踏まえたデジタルトランスフォーメーション(DX)とサイバーセキュリティ(CS)の同時推進

　①経営層の意識改革、②地域・中小企業におけるDXとCSの推進、③サプライチェーン(供給網)等の信頼性確保に向けた基盤づくり、④誰も取り残されないデジタル／セキュリティ・リテラシー(情報化・安全確保の読取力)の向上と定着

　⑵公共空間化と相互連携・連鎖が進展するサーバー空間全体を俯瞰した安全・安心の確保

　①国民・社会を守るためのサイバーセキュリティ環境の提供、②デジタル庁を司令塔とするデジタル改革と一体となったサイバーセキュリティの確保、③政府機関等の取組み、④重要インフラの取組み、⑤大学・教育研究機関等の取組み、⑥多様な主体による切れ目ない情報共有・連携と東京オリパラ大会の取組みから得られた知見等の活用、⑦大規模サイバー攻撃事態等への対処態勢の強化

　⑶安全保障の観点からの取組強化

　①「自由、公正かつ安全なサイバー空間」の確保(法の支配、国際ルール策定)、②わが国の防御力・抑止力・状況把握力の強化(自衛隊、日米同盟)、③国際協力・連携(日米豪印クアッド、ＡＳＥＡＮ、インド太平洋地域等)

　横断的施策

　①研究開発の推進、②人材の確保・育成・活躍促進、③全員参加による協働・普及啓発

　5．推進体制は以下です。