室堂山荘佐伯さま御礼

甲州枯露柿をお贈りする。

24,10/17 家族で立山連山縦走。

おじゃま申し上げるたびに人情の細やかな、和田教授の親族とは云へいつも大変な心遣いまでしていただいて本當に恐縮でございます。山梨の屋敷の一本の百目柿を丹精いたしました。もっと寒くなって粉がふけば本格的な甲州枯露柿になります。渋柿が甘く変じる。不思議なご先祖様たちの知恵ですね。東京の自宅の方に暦まで送って頂いたようですね。私ら夫婦はカミさんの実家で私もカミさんのば様の介護のお手伝い。息子から写真付きのメールが届きました。山梨は東京よりも黒部、立山に近いです。また黒部、立山に行きたいですね。またお会いできる日を楽しみに。どうもいつも変わらぬご配慮、ありがとうございました。妻の自信作、粗品ですがどうぞお召し上がりください。ご亭主さまにはどうぞ佳いお年をお迎えください。

 

倉石智證

「ばーさん、あの壁の暦見える?」

「12月だよ」

「12月って春夏秋冬のなに?」

「冬だよ」

「今年はあと何日で終わるのかな」

「わからん」

「一年て早いね」

「あゝ、造作もない」

ほんとにそうだね。齢をとると過ぎる年月は余計に早い、「造作もない」なんていいこと云ふぢゃない。なにしろ見通しをよくする。昨日は玄関の掃除をした。脚立、まず引き戸の上の嵌め硝子の蜘蛛の巣を取り払い、ホースで水を掛けてブラシで洗い流す。玄関の中は植木類を表に運び、床のタイルを拭く。姿見の鏡は一層念入りに磨く。玄関の梁に貼ってある幣は丁寧に蜘蛛の巣を取り払う。天気予報通りにけふは13℃まで気温は上がった。水はホースからふるふる溢れる。芝生にこぼれ出て玄関周りは硝子戸もきれいに仕上がってまるで小春日和である。硝子戸は縁先のサッシの方もきれいになった。妻が縁側にお道化る。ほんとに見通しが良くなった。

 

倉石智證

おいらの右側には出るな

アブナイばかりだどう

右側通行だと思ってたらストンと欠けていた

なにかがすっぽり抜けている

和尚さんは云ったんだ

だから平地なんか信用ならんと

山に行きなさい

雲が湧く

印を結びさへすれば

磐なんかずいぶんに通り抜けられるよ

1975中村正義「蝦蟇仙人図」「鉄拐仙人図」

 

しかしおっさんの呼気は臭いなぁ

それで諸動物が途を開けてくれる

ほらほらほらッ、

クマが部屋に籠って炬燵に寝ている(ニュースでは)

なにかを間違えたんだ

困(クマ)ったね

もう信用ならん

家には帰らんど

 

谷川のせせらぎを聞くたびに

渡っていった最期を思い出す

たとへそれが理不尽な思い出だったとしても

今は昔のことだ

右回りばかりだと思ってゐたら

いつの間にか案外それに慣れてしまった

水流に深く潜って

砂交じりの水流に左右する

右に行こうか左に行こうか

丘に上ろうか

平地に戻ろうか

行き悩む

気が付いたらいつの間にか

和尚さんの墨染めの衣の下に囲われていた

 

倉石智證