めんどうだ
それには右足から入れることになってゐる
どうしても左足からではないやうだ
だれかが決めたわけでもないやうだ
ただ左足から入れやうとすると
躰が傾いておっとっとする
それが自分でも可笑しい
2022.11.23内田あぐり「Butoh Drawing」
はやくはやくと云ふ
でも時間を追い越してゆくわけにはいかない
それどころかどうかするとすぐ後ろに迫って来てゐて
はげしい息づかいが首筋に降りかかる
めんどうだ
右手を上げてもいいぢゃないか
それどころかその時には左手さんは鬱鬱していて
机の下に長いこと隠していた
日めくりが日めぐるめまぐるしく通り過ぎる
話する相手がゐない時は仕方が無いから自分の両手と両足に話しかける
顔は真ん中にあって見えないから
いい気なもんだ
太陽とお月さまが頭上を幾日も幾日も越えてゆく
おっくうにもなるわけだね
それが齢をとることだなんて
めんどうだ
足ばかりでなく手も
顔はしらばくれているけれどみるみる年老いていって
ものうく、
めんどうに、
億劫に、
やだねへ
倉石智證







