手紙を出したい。

瓶に詰めて海に流したい。

鯨なら背に乗せて遠くの異国にまで運んでくれる。

砂漠では砂に埋めたい。

サソリが探し出してくれるでしょう。

真理は真っ赤なサソリの目の中に、

ひどい痛みとなって世界に散らばる。

空を飛ぶ鳥なら鳩の脚に結び付けて 

honesty is the best policy 

あゝ、なんと忠実な

愛がすぐそこまで帰って来ます。

このやうにして世界は出来た

繁った葉は青々と木陰をうるほすでしょう

豊かな土壌は信じられないほどの甘みを伴って作物を育て

山羊の乳は淳淳と子供たちの成育を確かにし

遠い道のりに耐えられるようにする

そんなことを知って欲しいと思って手紙を出したい。

2024,11,13田中千智「眠る人」

 

黒の翳が點となって顕われ

刻々とラクダの背に陽炎となって近づいて来る

すぐに井戸の近くにゐた者は

声もなく撃ち殺されるのでした。

 

倉石智證

/並び佇つ春と冬との惑ひかな

往ったり来たり慌ただしい。

ば様をショートステイに上京。

/籠もり居の春立つのたりのたりかな

/湯豆腐やことりほてりと酔ひにけり

/草青む呼べど声せぬラインかな

/朝まだき寒さ躓く框かな

/寒柝(かんたく)の近づきつつも遠ざかり

/バレンタインデー忘れたふりをして過ごす

/遅生まれ弥生ともなり桃の花

/招かれざる客なの死なら広場にて青と黄の旗埋み尽くして

/寒鱈の水気によだつぷるぷると

/ばーさんもいつかはお茶を供えけり朝餉の前に大き急須で

もう不安げな眼差しである。

 

/ばーさんをショートステイに預けけり埜中の施設 雨雪になる

/故郷は海を横切る鯨かな潮吹く虹に春を連れて来

/沫雪の上巳(じょうし)の変と殺気立つ

上京。小仏の雨に霞む梅林。

旧暦3/3は上巳の変。

井伊直弼の首級が挙げられた。

 

倉石智證

緊迫、OVAL大統領執務室。

キタアカリ種イモ植え。

訪問入浴…

ば様の日記───

「何もない」「わからない」「誰もいない」

辛うじて判読できる。

25,2,28「手を引く」「きれい事では済まない」「米国がいなければ、あなたにカード(切り札)は一切ない。我々に感謝するべきだ」「我々の軍事装備品がなければこの戦争は2週間で終わっていただろう」“無礼だ”トランプ「第三次世界大戦に賭けようとしているのか」メドベージェフ「トランプ氏は初めて面と向かって真実を告げた」「恩知らずは激しい平手打ちを受けた」ロシア高官スルツキー「弱々しく哀れで知性に欠けていた」などとさげすみ、「ロシアの勝利により平和が確保される。戦場だけでなく、効果的な外交を通じてもだ」。

正義は無用。

minerals取引が成立すればいいと。

トランプは「国家を救う者に違法など存在しない」(ナポレオン)

ロシアは「外国(米国)との共同開発」=占領地域の実効支配を国際的に認めさせられ

る。

/キタアカリ取説(とりせつ)を読み種植ゑる

/連作はイヤよとばかり苦土石灰

/「咲きましたね」と褒めらるゝ一枝かな

/どこにゐるかと思へば北海道小雪舞ふ

/ばーさんの爪を切られてお雛様さま桃色上気弥生朔日

ところが日記には───

「何もない」「わからない」「誰もいないさみしい」

ば様は認知の深い森の中にゐる。

 

倉石智證