ば様の認知の森。

セピアの古いモード雑誌をばらけさせて。

古い土蔵の家があって/傘を掛けなきゃいけないと盛んにば様は口にしてゐる/ご先祖さんがいっぱいゐるお仏壇のまへに行っても同じことを繰り返す/縁先には日が射していて/その先にはお守りの樹が大きくなって/南無、と手を合わせるのだが/一歩も二歩も歩き出すたびに/見事に他のことは忘れて/傘を掛けなきゃなあ/と同調を求めて来る

/ナツズイセンの葉叢が地表に盛り上がって来た/チューリップの芽も地中から勢いずいて/わたしは後じさりして私が見上げるのは一歩も二歩も土蔵だ/ば様は古びて変色してしまった本をいぢり崩して/傘を掛けなきゃなぁ/と眼は真剣なんだけれど/もうその眼の奥はどこか遠くに出掛けて行って仕舞ってゐる/いまは三月だから/葡萄の傘懸はずーっと後だよ/葉っぱがいっぱい茂って来て/そうさな七月ころになる

 

倉石智證

春は苦味。

sewing 。

ドコサヘキサエン酸。

テンペスト。

/sewing granma 運針は春便り

お着物が自前で縫えたば様が、今じゃ布巾もあやうい。

/春は苦味たぬきうどんに蕗の薹

畑から採って来る。

/里芋の種植え急かす義姉であり

/冴え返る八つの颪のドア叩く

/梅花芳花粉の時季を如何せん

/お通じはとすぐに妻には茎若芽

/ドコサヘキサエン酸 鯖をよく焼きぬ

/雪椿けふ紅椿て云ふことに

/風の途夜半過ぎても八つ颪

/友達は斑尾にゐて今年はスキーをやらんとぞ云ふ

/トランプの議会演説テンペスト拍手笑わぬ人もゐるなり

一ト日はまるで駆け足で…。

 

倉石智證

家族集合。

ゼレンスキー氏、大統領府前で。

ゼレンスキー氏のお手紙。

トランプ大統領の施政方針演説。

/楽しみは家族仲良く打ちそろひもの喰ふときの笑顔うれしき

/かーさんのここぞとばかり腕ふるふ二の腕三の腕四の腕とう

/冷蔵庫に笑まふピザ皮ふくらんでまるで春来る玄関の内

/飲み過ぎて寝落ちする息子(こ)のありと云ふ

心配ごとに胸騒ぎする

/年長けて子は子のままに親は親小さき頃の想ひ重なる

/世界では無法が通るこの人の施政演説力が正義

/ウクライナ冬の稲妻冴えかえる土下座してでも平和を掴む

25,3,4ゼレンスキー大統領「ウクライナにいる我々みんなが団結している限り、強くあり続けている限り、ここにいる限り、平和は尊厳のあるものとなるだろう」

「通常の、パートナーシップに基づく米国との関係を維持することは、真の終戦のために不可欠だ」大統領府前/朝日新聞

 

倉石智證