お花摘み。

大風、黄砂。

デイに見送る。

/破レ蝶の墓に現る頼りなさ

/大枝をバッサリと剪る花の宴

/お花摘み花粉のことは置いといて

/東風吹いて花一斉に披きけり

/開花してニュースはGAZAに厳しかり

/春スキー予約はあなた志賀の奥

/掛け声をかけてリハビリばーさんに

春はゆっくり背中から来る

/ばーさんは自分の娘にさんづけて

それからしばし黙(もだ)を忘れる

/寒鴉過ぎて艶めく春鴉

/水仙花おまへどうなと野辺に聞く

/ムスカリに呼ばれたやうな初見かな

/重宝するチョイト畑に菠薐草、泥付き葱をバケツに採りて

/春蘭の松の下なる日傘かな

 

倉石智證

春や來る。

/大嚏(おおくさめ)骨盤底筋顫わせて

/水仙花今か未だかともどかしく

/もういくつ寝ても覚めない認知症

窓辺に寄りて手を合わせする

/芍薬と牡丹の芽吹きいそがしく

/つくちんこと不図云ふてみる土筆の子

/紫木蓮の芽吹きに停まり糞をせし

/snsスキー合宿せかす兒の

/なんとなく生きてる心地花の下

/土分けてジャガイモの芽、陽あたゝか

/春耕すマスクの人となりにけり

/野良に出てダンスダンスと踊り子草

/駄句百句雑草を抜く草青む

/畑二枚片して空に鳶(トンビ)の輪

/ブエナビスタ有線放送迷い人

「まいにちの眼の驚きや草萌える」詠み人知らず。

 

倉石智證

玄牝(げんぴん)をうるほす───

2025,3,22みうらじゅん『様々な弥勒とワッフル』

 

再三わたくしは石でないことを確かめた

石でないばかりか木偶でもなさそうだ

性器は尖っていて石器時代につい呼び戻される

まったく用もないのに頸ばかりを振って

雨乞いをする

天を見上げて恨めしそうに

言葉はまだ未熟だったから

やたら小突かれることもあるだらう

100人の1000人の♀に笑われる

顔を真っ赤にして

勢い余って山の頂上に登っていった

 

ペルシャ人のやうに

て云ふのだ

大石を囲んで長い影となって幾たびとなく拝伏する

電雷の大音声となって落ちくるのを待っているである

ひとたび奇跡が起これば

木偶でもない石でもない直立する性器から玄牝に

やんややんやと湯のやうに溢れ出て

哄笑が谷と云ふ谷間

山ぢゅうに谺してゆくのだった

 

倉石智證