とことんトントン

とことんトントン

一杯がついもう一杯になる

 

みんなみに行く人がゐる

おかしいな、昔なら北帰行だ

稲光、北よりすれば北を向く

蝶々も、鯨も

いまはみんな北を向く

 

とことんトントン

とことんトントン

一杯がついもう一杯になる

あっちへ行けだの

こっちへ行けだの

死活的問題だ

 

むかし詩人がをりて

北へ向かった人が二人いたなぁ

船であるか

舳先より北へ

賢治さんと啄木さんだ

みんなつらいつらい

とことんな人たちだったんだね

 

さりとてあの国ではもう逃げ場がない

爆風で眼も肺も土砂で一杯になった

webで見たらみんなみに旅立つ人がゐた

奄美かぁ

太陽がまぶしいな

そんなこんなで精々お気を付け為すって

チャリの旅の人よ

 

倉石智證

閉じ込めた

なにを?

言葉を

トイレに閉じ込めた

 

わたしはトイレ場でうんうん唸ってゐる

それがさっぱり出てこない

水っ気なのかな

きっと栄養なのかな

言葉遊びに遊ばれて

わたくしハ

強ク・歌ウ

それなのに、待ちぼうけ

一言でも二言でも

出て来なさいよ

拝啓でも、ゴメンナサイでも

なんでもいい

 

青くなったり赤くなったり

手に汗をにぎり

青筋を立てて

言葉が出てくるのを待っている

 

♪正義の味方の悪漢が

前へ前へとバックする

 

突然電気が消されてドンドンされる

ベルトを下げたまんまドアに頭をゴッツンコ

水洗が足元で勢いよく流れた

わたくしは、私的には

わたくしたちは

恨めし気に梅雨空を見上げる

 

倉石智證

 

 

すべてが形になる前の予感がする。

訪問入浴。

/庭先の蚊の狼藉をいかにせん訪問入浴硝子戸の外

/風鐸や雨の季節に入りにき

/板書する硬骨の人青葉木菟(あおばずく)

/誰にでも最終講義生身魂墓所に苔むす両手を合わす

/夏帽やとほに七十歳(ななそとせ)過ぎにけり

/板敷の床冷えにけり走り梅雨

/毛蕊花の最初の花片落ちてより

/どんみりと楝(あうち)の空の雲近く

/水張田(みはりた)や雲映し込むクイナ鳴き

/草掻くや畝一本に小汗かな

/畝の草掻いて西向く左向く

/明易の朝カッコーの容赦なく

/出来合いの仕合わせネギマ解凍す

/墓石の蔭から伸びて立葵

/桃実る平和論者でありたいな

味噌汁を頂いて、ば様の今朝の一言───

おいしい。

のっ(呑っ)こむのがもったいないから舌の上で遊ばせる。

うれしい。

ありがとう。

 

倉石智證