ひでぇことしやがるぜ

人間なんて勝手だね

1000倍に薄めて使うんだって

ゴム手袋はしっかり付けたよ

4リットルの容器に水を注ぎ足して

溶剤のキャップに4回

怖ろしい液なんだね

朝まだきに放棄地に踏み入る

けふの飯メは除草剤の噴霧

白濁した液が雑草に降りかかってゆく

何の因果でおまへたちは雑草なのかね

歩くたんびに敵意に囲まれて

やれやれだね

ほおって置いたらえらいことになるなんて

確かにほおって置いたら大変だ

夏が終わる頃には人間の背丈ほどのジャングルになるでせう

 

運命とはなにか、

偶然には意味があるのか

GazaはGazaだ

空から災厄が降って来る

 

身体にも土の中までも根がちりちりと灼けてゆく

台所で呼ばはる夏の朝のフルーティーボイスに

この地表と地面の下には断末魔の声が聞こえる

 

倉石智證

スイカな気分。

とーちゃんは畑を見巡る

梅雨の空は重たい

南瓜二十個、西瓜八個あまりが生ってゐる

この倖せはいつまで続くのだらう

まだまだ畑は気配に満ちてゐる

盛んに蜜蜂の翅音が聞こえるほどだ

甘い香が立つ

熟する音が外に気圧されるほどになるころ

カラスは空に、

いつそれに気づくのかな

 

倉石智證

 

スイカな気持ち。

/叩けどもスイカな気持ち分からない

/植え替えて葱の秀先(ほさき)のさやと立ち

/血を採ると雷さまも鳴り出してにわかに風もさやぎ始めぬ

/採血やチクとばかりに騙される世間話をされる合い間に

ば様は定期健診で自宅で採血してくれることに。

うまく血管に、無事に採れました。

ばさまだけやはらかく甘くフレンチトースト。

/ゼイゴ取って鰺のマリネの味深く

/老齢の人ゆく道に立ち葵

/嫌われて屁屎葛(へくそかずら)の呼ばれけり

/日焼けには藁の傘とて西瓜かな

/お道化ぬ南瓜に藁の日傘かな

/稲光一瀉千里を夏の夜

/武蔵野や蛙も道に涼むかな

三鷹の娘のアパートの大屋さんの庭に蛙がもこもこ。

/音が変わる日スイカは夜に眠ります

/西瓜にもト月十日がありぬべし

早すぎた。

 

倉石智證