家族集合。

/朝顔ももう仕舞いだねって娘云ひ

入谷の朝顔が未だ咲いてくれている。

/このところ菊丈のばす秋になり

/しばらくはマルバルコウ咲く花野かな

/朝妝(ちょうしょう)やアラフォーになる娘の鏡

/朝涼やアイロンの朝霧吹いて

/沫雪の映画の中や夏の朝

/もの喰ふや家族の夜長映画観し

ヒチコック1955「THE TROUBLE WITH HARRY」

/秋深し隣りはなにをスペアリブ

けふのメインデッシュはかーさんの特製スペアリブ。

/冷蔵庫のゴーヤ重宝娘の土産

ピーマン、トマト、モロヘイヤ、バジル、カボチャなども。

/集まってもの喰ふ人らになりにけり縄文人もかくありにけり

/何気なき母娘の会話ご無沙汰や恙無きやを確かめにけり

 

倉石智證

秋めくや───

/練馬へと光が丘や夏暑し

/お見舞いへ田舎の土産南瓜かな

/要不要分くる寂しさスモモ了

/切り分けて西瓜の赤き座敷かな

/テレビではこんなところに一軒家腰曲がりばば野菜選り分く

/藪入りや菟の耳の波頭

お友達は渓流釣りに。

/ふるさとのあけびの色に物怖じす

/秋の日や妻に繕い鼻眼鏡

/陽の光秋めくビルの間合いかな

 

倉石智證

昨日は映画な日。

「オデュッセイア」

妻と二人で。

昨日は映画な日。娘に予約チケットを買ってもらったら、QRコードが携帯に送付されて来た。新宿ピカデリーは大混雑。ちゃんと出来るかな~と券売機の前でおろおろ。隣の券売機にゐた若者に手伝ってもらいました。爽やかな若者でしたね。ポップコーンこんなに持ってましたよ。

映画は「オデュッセイア」。ホメロスの詩編で有名です。それかなんかで観に行ったのですが、完全なスペクタクル娯楽映画でした。大きな音響。椅子にしっかり躰を沈めてたちまちストーリーに引き込まれてゆきます。ストーリーの目玉としてトロイの木馬は大きかったですね。しかし、敵の城内で敵を打ち破れるほどの人数が入れるほどの大きさなんかな~。奇想天外の作戦、そしてトロイの戦争が始まります。物語としてですが紀元前1200年ほど前のお話でしょうか。ギリシャ、ミケーネの総大将はアガメムノン。

城郭と街区が焼き尽くされ崩おれて、「トロイを焼くということは世界を焼くことだ」とオデュッセイアの懊悩が始まります。さて、故郷に妻子を待たせて、王である自分は帰らなければならない。望郷の念やみ難く、しかし、事あるたびにゼウスに背くオデュッセイアには次々に災厄が降りかかって来ます。

一つ目の人を食べる洞窟に棲む巨人、肉をむさぼる兵士を豚に変えてしまう魔女、海路に立ちふさがるセイレンやポセイドン、八つの頸を振りたてて襲い来る巨大海蛇、ある島に上陸すると屈強で巨人な兵士たちに取り囲まれた。自分の王国でも問題が立ち込めていました。留守中の王国を守る賢明な妻に、野心をあらわにクーデターを図ろうとする武人たちがゐます。王子はまだ若く、父を求めて海路、オデュッセイアと一緒に戦った武人たちに会いに行きます。その行き先にも暗殺者の一行の魔手が迫ります。船は雷雨と嵐に打ち破られ、部下たちも海の藻屑に、オデュッセイアはとある海岸に打ち寄せられ、美しい女性に救われます。蓮の花を食べさせられ、躰は恢復しますが、心のどこかに置き忘れた何かが残ったままになります。落ち着いた穏やかな愛に満たされた暮らしをこの島でこのまま続けるのかどうか。しかし、本能としてオデュッセイアは未だ海岸に打ち寄せられていた船の木片などを集め、筏を組み立ててて…。

 

数々の冒険譚と愛の遍歴の末、王子を救った父親であるオデュッセイアは故郷の島に上陸します。盲目の忠実な部下よ。まだ本人の素性は明かされていません。瀕死の愛犬が盲目の使用人の元に、王が手を差し伸べると犬は微かに尾を振って、そして息絶えました。王子はそれを見て、この人は父親なんだと確信しました。しかし陰謀を企んでいる8人の求婚者たちを一網打尽に焼き殺すには、まだまだ秘密の裡に事を運ばなければなりません。王は自分は物乞いとして登場します。武器は一旦すべて二階に運ばれて片付けられ、そしていつものように貪る宴会が始まります。王女が御簾から出て告げます。この中の一番強い者、そして王が残した弓矢を自在に使えるものをわたしの伴侶にしようと。ことごとく求婚者たちは玄強な弓の弦の前に降参します。

 

そして襤褸を深くかぶった物乞いが「私にも」と登場するのです。弓をつがえた物乞いの強弓は斧を組み立てた狭い通路を潜り抜け真直ぐに見事に反対側にある的に的中しました。眼をむく反乱者たち。次々にオデュッセイアの強弓に倒れる陰謀者たち。武器は二階に運ばれたままですが、だが多勢に無勢のまま、王も次第に疲れ、傷つき、追い詰められてゆく。二階で敵と戦っていた王子がここぞと云ふところで「ダディ」と呼びかけ剣を王に手渡しました。元気と勇気を回復した王は、敵の主隗を追い詰め、胸に深々と剣を突き立てた。弓矢が突き刺さり、槍の穂先も腹に、傷つき瀕死の王は王女に抱きしめられ、彼女から渡されて大事に身に付けていたお守りを彼女に渡す。「やっとどうにか間に合った」。安堵の言葉でありました。

 

倉石智證