とりわきてあの雲に乗っていきたい

たとへばあの雲にのっていきたいぢゃないか

大人になったら誰だって夢を見たい

雲の形になりたい

自由に浮かびたいぢゃないか

どうしてと聞くこともない

ただ次と浮かび何かの形に変わってゆく姿を見ていると

無性にあくがれ出(いず)る

ただなにがなんでも自由にとりとめもなく

変わってゆくだけだ

それにしたってあの傍らで真っ赤に空が焔ゑている

まかり間違えばオソロシことだ

 

倉石智證

穴子食ぶ。

ネコジャラシな季節。

コハレモノ。

/かば焼きを穴子で喰へば乙なもの

身はもちもちと能登の海から

かーさんは白焼きとかば焼きと天ぷらに挑戦。

/かーさんの茄子に気遣う夏料理、身をマスタード冷たきまゝに

/採れ過ぎた胡瓜をあなたどうしませう

薄切り造りオカカを掛けて

/児玉ちゃんあの子は今にリハビリに小玉西瓜は畑に元気

/親分のそろそろ出番土手カボチャ

/ごきげんや玉に結びし南瓜かな

/ネコジャラシ根方に西瓜従えて

/コハレモノK's電気にお呼び出し道行く車ネコジャラシ揺れ

16年使っていた固定電話がコハレタ。

 

倉石智證

原爆忌───

能登はやさしや土までも───、てなわけで出張先の能登から娘がお魚さんを送ってくれました。魴鮄に似た魚、つぶ貝、穴子、そして真っ赤っかのカニさんがハサミよろしくVサインです。三枚に卸す妻、エライですね。ぼくは何にも出来ません。ただ呑む人、食べる人。

室温にて37℃、エアコンなし、汗だくだく。盛夏まさに、えーい涼しさは雲とばかり、雲が次と生まれ、雲が旺盛です。しかし、天上はともかく地上の畑では、ついに暑さに耐えかねて南瓜が割れました。考え事をしていましたか。なにか声を出したのでせうか。手に取るととても清潔な罅割れです。

日本国中がけふは特別な日です。8歳の少女がTVで、「8年間生きて来て、戦争に遭わなかったのはよかったです」。おーい、純白な雲よ。

/雲の峰、幾つ崩れて原爆忌。

西の方に向かって瞑目です。

倉石智證