水遣り。

お墓参り。

胡瓜、冥利尽きて。

/水遣りやひとしく人も作物も

/手を合わせ悔過(けくぁ)線香の烟かな

/灯籠に灯を入れ背中に夕まぐれ

/白百合の朧なりゆく背戸の声

/蝉墜ちて声なき声や終戦忌

/幾たびも「深い反省」戦没者

/老樹くたびれ果てて巨峰の小粒かな

/冥利尽きて胡瓜の枯れの蔓辺かな

胡瓜は300本は頂きました。三本の苗がみるみる大きく育ち、毎朝、毎夕緑の少しトゲトゲの果実を届けてくれるのです。ばーさんと3人の世帯ではとても食べきれません。親戚や隣近所にお福分けです。まあしかし、仕合わせはいつまでもと云ふわけにはいきませんね。冥利尽きて自分を悟ったのか、急に蔓に枯れ色が広がったと思ったら、果物も曲がりが入り、小さくなりました。時に絡めとられて、人間の寿命と同じなんですね。たくさんをありがとうございました。

 

倉石智證

終戦の日は敗戦の日なので僕なんか何もすることがない/ただ有線がしきりに放送を流し黙祷するのを促してゐる/何千人かがあそこに集まって/菊の花が色どりに飾られ/白木の柱頭が佇立してゐる/尊かるべき人が黙礼し詞書を詠んだ/おや、紙片が小刻みに震え出したよ/みんなこの日のこの時に切羽詰まった思いでゐるんだ/眼を閉じると涙腺が弱くなったナア/悔しいと云ふのではなく涙が滲んでくる/地のものも海のものも/今頃はみんな元素になって/浮かび出(いず)る天上へとみんな星々になって/だから当たり前だけれど平和がいいに決まってゐる/靖国になんか行くなよ/手錠を掛けられたまま万歳をした人たちが一緒に亡霊のやうに佇んでいる/風の中に有線が鳴る/しつこいほどのサイレンだ。

 

倉石智證

親戚の集まり。

向日葵のゆらり、監視塔が真直ぐ見降ろしてゐる。子供たちが成長いちじるしく大きくなれば、大人たちはちぢむ。やたらと歳をとると云ふわけだ。うからたちがお盆に集まった。ご無沙汰、久闊を叙し乾杯 ! 夕まけて参集、暑い夏に真っ赤な西瓜を添えてお互いの健康に感謝だね。

翌日、渋滞の中を中央道を帰り来たれば、故郷の山には雲が綿のやうに懸り、けふは盆踊りの日、公会堂の辺りが何となく浮き立ってゐる。ちょうどタイミングよく玄関にお中元が、涼しい便り、水羊羹が届いた。

 

倉石智證