村祭り。

幣縄を張り巡らす。

まったく村ぢゅうがごきげんよくて

幣を縄に縒って張り巡らせ

おみさきさんの祭だってたよ

みんな角々に歩み出て

家々から出て来て

結界なんだね

ひらひらと門宙に渡す

子ども神輿もでるのかな

お菓子でも撒かれるといいね

そんな風にして、未だ百姓が本格的ぢゃあないいまころ

五穀豊穣、村落奉楽

こんな翠風がおだやかに村中をすぎてゆき

村人が家からぞろぞろと出て来て

子どもたちのなんともフルーティーな声

わっしょい、わっしょいと

村祭りだ

村ぢゅうがごきげんよくて

もうすぐ村いっぱいの五月風、吹く

倉石智證

百姓はいそがしい。

道にはみ出しものの剪定、伐採。

娘は有田陶器市へ一泊で。

/花活けて花の無聊を知りにけり

/顛末は花咲くことの宇宙論

/裏木戸は開けたまんまや翠風

/ふらこゝやそんなあはひの四月風

/いい漢モアに乗ったりロシナンテはいよはいよと草生す畑へ

/在所ではカラスノエンドウ唇に

/伸長枝道にはみ出す迷惑な梯子に上り剪りに剪りたり

藤棚の藤房、木蓮、柘榴、それに梅木。

/筋雲や世は整ひと花の苑

/吾子のごと妻はトマトに棚づくり

/パン工房つくる仕合わせ春の雲

/富士見ては娘は有田の陶器市

一泊の強行軍で。

 

倉石智證

一喜一憂、苗の活着。

雨上がりに陽の光。

うれしいね、だいじょうぶそうだ。

妻は降圧剤使用に。

/冥利冥加たのむたのむと花腐(くた)し

/子らの声遠ざかりつつ四月風

/園児らの帽にぎやかに手をつなぎ手をつなぎつつ橋を渡りぬ

/飲んでみたき季節変わり目ハイボール

/ニーチェ読むかはたそて云ふ四月馬鹿

/ビーフンに春の野菜をまぶし込む彩の善き元気印や

/新しき人生妻に降圧剤アジルサルタンまだ馴染まない

/挽歌にもなり得る風の冷たさよ幼き苗の萎れ掛けつつ

/雨上がり苗見て回るおやじどの陽の照らしゆく葉に安堵する

陽の光───

苗は昨晩来の雨で無事活着したようだ。

 

倉石智證