/炎帝や戛々(かつかつ)と地ひび割れ

/立秋や夏満ち満ちて暮れ残り

/デイの日や帰り来たれば雨ポツリ

ばばよかったね雨はポツリだ

/白粉花なぎ倒されし野分かな

/神明の花火後雨後豪雨

/畝洗う雨落花生豆を出し

/東京へ野菜を送る親心豪雨予報の後追いかける

/茄子棚を押し倒しける豪雨かな茄子は健気に実を付けしまゝ

/青林檎地に落とされてはたゝ神

 

倉石智證

黙祷。


/ああけふは原爆の日だスベリヒユ
/かぎろひの立ちぬドームに被爆の日
/橋落ちて戛々(かつかつ)と水柱空に
/イスラエルを呼ぶな長い演説よりも


8月6日、8時15分。

 

夏闌り───

/小龍を連れておいでと夏雲に

/蝉蛻(せんぜい)を踏むを厭わぬことながら

/チチチチチと鳴いて天外へ宙へ

/蟻の列を蚯蚓尺足草叢へ

/百合の花咲くを待つをの頸を出し

/地這えもの胡瓜はさりげなく夜に

/一夜さに地這え胡瓜のさりげなく

/南瓜くん採りて日にちを書き添えぬ

/トンボうの湧き出るほどやお盆前

/枝豆の嬉し畑へいそいそと

/傾り落つ凌霄花(のうぜんかずら)夏闌(たけ)り

/生協にお盆御座れと苧殻(おがら)買い

/花火売り場の前でむずかる子どもかな

/索麺な日々草木(そうもく)もげんなりと

/訪看さん涼を払ひて玄関へ

/この上に隠元の種夏盛

/葉灼けてみなうらめしく空を見る

/はたゝ神音だけをさせ気を持たせ

/黒葡萄に断種万の道標(みちしるべ)

 

倉石智證