台風が来るよ。

/まるで預言者か鴉 瓦にとまりその向かうから台風が来る

/朝からの線上降雨のニュースはも三度四度もとほく離れて

/うらめしや台風の次とまた次と

/コロコロと音を立てずや芋の露

/虫の音や四角い窓を切もなや

/茎ワカメちゃうだい朝のお通じに

/プチトマトみんなルビーにそれぞれに

/新生姜あんなにも水を遣りました~

/健気にも花を咲かせて間に合はぬ

/嬰児(みどりご)のカボチャは剪らるどうしませう

/ゴルビーは甘いねとばばのお指かな

(写真はベリーAの初物)

/土手南瓜もう間に合はない剪られをり

/素揚げへと続く南瓜の冥利かな

/クマ注意、道横切りて振り返り

/萩の風人影の無きお社に

/桔梗やむかし煙草のおやいさま

/マルバルコウ石垣に蔓伸ばしけり

/オクラ坊翡翠な星に散らされて

毎日の味噌汁、納豆に。

/落ち水のほろろほろろと掘抜きに

/プチトマトひと雨の来て罅割れぬ

/おはやう、台風の予報、小雨だね

 

倉石智證

年寄りだから治りが遅いのかなぁ(笑)

実は7/23(頻尿)山小屋で夜中廊下の段差にケッつまずいて事故。

そのままその日、薬師岳登頂。

「或る医院のこと」───

整形外科はイタイイタイ人ばかりで溢れてゐる。

 

拝啓背骨さま/つつがなく、お変わりなく/それがしくしくと泣き出す/イタイイタイよーって/田圃の中の医院は桃色の建物で/大勢が集まって/伸ばしたり縮めたり引っ張ったり捩じったり/宥めたり、慰めたりしている/座ったら立てません/て云ふやうな人ばかりだ

 

/背中のことはみんな知らないものだから/或人は小さな恐竜のやうな背骨になって/むっくりと背に褶曲して/骨折り損とか、骨身に沁みてとか/あげく骨と血脂/いや骨肉の争いだなんて/しみじみとして/それぞれの想ひに耽ってゐる

 

/想像の王国のありかを教えてくれたまへ/星明りよりも頼りなく前へ三歩あるく/背骨だなんて自分で見たこともないものだから/やさし気な白衣の人らの指示に従うばかりだ

 

/田圃の中に桃色の医院があって/ぼくももう一カ月ほども通っているが/山から下りてきて/そんな僕でさへ/拝啓背骨さまと/たった前と後ろの間柄ではあるが/おへそはそんな背骨を少しあはれと思ってゐる

7/23事故

8/28ようやく良くなってきたかな。

 

倉石智證

みな生をいそいで…

/みな生をいそいでオンブバッタかな

/青々とオンブバッタの葉の色に

/台風の予報雨を見たかいって

/ナポリタン胡瓜の即席漬け美味し

/下心ネギに伸びろと水を遣り

/朝顔の天まで伸びろその先は

/百合の花一輪落ちてその隣り

/長々とホースの先の茄子トマト

/柿の実の落ちて墓標と穴掘りぬ

/剽げたり仕舞南瓜の扁平に

/季節限定妻の手作り茗荷寿司

/百日紅瓦に懸かる晩夏光

/墓参り母息子(ははこ)は柘榴の木の下で

/セザンヌでもあるまいしトマトを籠に置いてみし

/妻自慢トマトに卵料理かな

/落花生の根を土に張る仕草かな

/百日紅瓦に懸かる晩夏光

/デイにゆくばばには朝の句読点百日紅の花穂雨に濡れをり

(8/28今朝。雨が小止みになってよかった。)