雨の日はやだね。

訪問入浴。

雨の日はいやだな/雨の日はしょうがない/新聞配達やさんもやだなぁ/通勤の人も/農人も/みんな空を見上げニュースを見るな/それにけふは訪問入浴/今かまだかと庭に待ってゐる/

暑い日もヤダケレド/雨の日も調子が狂う/傘を差しかけても/すぐにシャツの背中が雨だれに濡れてゆく/ホースをいくつも繋げて/ボイラーの温度は39度/髪を洗いますよって/まあ、ば様はいい気持ち/シャワシャワシャワとお湯の音も外まで聞こえてくる/雨の日はヤダね/ば様はお陰で気持ちいいけれど/せっかくの作業の人の麦藁帽も台無しに/タオルもずいぶん濡れっぱなしに/やれやれシャツに雨が沁み込んで/傘を差しかけても役に立たない/雨の日はヤダね/小一時間も、ああば様は気持ちいい/こまめに動き回って最高のチームワーク。さあようやく了となる

/外ではつないだホースも片付けて/庭の紅色の百日紅の花穂の下/ヒューマンサービス───運転席に乗り込んで/さて帰ります/お疲れさまでした。

 

倉石智證

ば様が歌う。

二週遅れの盆の客。

/ばーさんの歌えば愛(かな)しまたうれし

昔を今に為すよしもがな

/ピザかなぁと朝から盆の客

/蝉退くや野分の朝露しとど

/熟れるならば柘榴は口をあたりまへ

/つぷつぷとムラサキシキブに露の朝

/風吹くや秋明菊のほつほつと

/野分まへ紫苑の声を聞きにけり

/残りたる百日草の剪られけり

/氷見うどんさはさりながら能登のもの

 

倉石智證

 

台風が来るよ。

/まるで預言者か鴉 瓦にとまりその向かうから台風が来る

/朝からの線上降雨のニュースはも三度四度もとほく離れて

/うらめしや台風の次とまた次と

/コロコロと音を立てずや芋の露

/虫の音や四角い窓を切もなや

/茎ワカメちゃうだい朝のお通じに

/プチトマトみんなルビーにそれぞれに

/新生姜あんなにも水を遣りました~

/健気にも花を咲かせて間に合はぬ

/嬰児(みどりご)のカボチャは剪らるどうしませう

/ゴルビーは甘いねとばばのお指かな

(写真はベリーAの初物)

/土手南瓜もう間に合はない剪られをり

/素揚げへと続く南瓜の冥利かな

/クマ注意、道横切りて振り返り

/萩の風人影の無きお社に

/桔梗やむかし煙草のおやいさま

/マルバルコウ石垣に蔓伸ばしけり

/オクラ坊翡翠な星に散らされて

毎日の味噌汁、納豆に。

/落ち水のほろろほろろと掘抜きに

/プチトマトひと雨の来て罅割れぬ

/おはやう、台風の予報、小雨だね

 

倉石智證