八十路の乾杯。

川畑はやっとお店に辿り着いた。

電話したらもう待ち合わせを忘れていた。

市ヶ谷の駅で降りてしまった。

どうもたいへんだなぁ。

認知症が少しずつ進んでいるような気がする。

だれでもなると云う。

厄介だね。

八十歳を祝おうとして曙橋どんでんで待ち合わせた。

なんども「都営新宿線曙橋」と云ったのになぁ。

だんだんどっかが壊れてゆくの。

おーいそっちじゃないと云ふのに。

ぼくは一歳後れで七十九歳だから

一年後の自分をそこに見る思いもする。

アヤウキかな人生。

でもとにかく乾杯だぁ。

 

倉石智證

忘年会。

どんでんお店創成期のころのメンバーとその子供たち。

たとへば二十年ほどのブランクがあった。たとへばその二十年ほどの時間はそれぞれの時間で、それはいったいどこへいっちまったんだらう。二十歳代だった女の子ちゃんも今は子育てに追われている彼女もゐれば、笑いながらもう別れるかもしれないという彼女もゐる。堅実に大繁盛のお城を築いたものもいれば、もはや病気がちでまさに崩れ去らんばかりのものもゐる。日本酒と甘いものをぶら下げて来るさあ。もう私からの大借金は上の空、どっかへいっちまった。両手で握手してハグする。ただ元気でいてくれればいいさあ。子供たちが目の前で跳びはねる。これだねおしぼりでウサギを作って遊ぶ。純粋に清やかに未来の時間に向かって遊ぶ。空白の二十数年はここに在った。うれしいねぇ。また他愛もなく笑顔が爆発する。

 

倉石智證

 

風邪引きさん。

秩父より恒例の句冊子が届く。

詩魂は続く。

/風邪引きさんバイク姿の寒々し

/片陰の角を曲がりて小春かな

/陽の当たる坂道の上冬樹かな

/小冊子俳句であれば十二月

/俳句詩や秩父仙人息白し

/けふもまたオリオンを見て暗き哉

/十二月いたるところでとうせんぼ棒振る人の棒になりゆく

/肉じゃがの玉子うれしきにらめっこ

/北風や NORTH FACE の襟立てる

/クリスマスカラー老人に辛きかな

/寒鴉探してオラの阿呆かな

/寒卵ナットウキナーゼ絲を曳く

風邪菌の飛んでケ~。

 

倉石智證