さくら、さくら、桜…

スマホかざせし色の春。

/命日や一炷(いっしゅ)さておき花満開

/坂上がる寺院を廻る桜花

/水流や桜花の幹の兀兀(ゴツゴツ)し

/マスクして手袋をして桜かな

/チューリップ供花仏に花披く

/“寒玉”にお好み焼き屋手を合はす

/無垢なる兒子は天心に眠るかな拳広げて母なるものに

/紀伊国屋に行くと云ふ明日は花の雨

/裏通りまだ見ぬ街を花盗人

/行く道にスマホかざせし色の春

/こんなにもさくらさくらの弥生尽

/行く春や木五倍子(キブシ)の色の桃色に

不断通らない裏通りを散策する。

さくら、さくら、桜。

また丹精された花壇。

約6000歩。

 

倉石智證

乾杯に献杯。

/乾杯に献杯をして春の宵

/黄な粉かけよもぎ団子を召し上がれ

/よもぎ餅もちもち口の間に合はず

/老人よ大志を抱け土筆ン子

/献杯や故人も酔ひぬ春の宵

当たり前だけれど少しも齢をとらない。

/春愁やいろはにほへと散りぢりに

(オマル・ハイヤーム)

知は酒盃をほめたたえてやまず、

愛は百度もその額に口づける。

だのに無情の陶器師(すえし)は自らの手で焼いた

妙なる器を再び地上に投げつける。

 

地の表にある一塊の土だっても、

かつては輝く日の面、星の額であったろう。

袖の上の埃を払うにも静かにしよう、

それとても花の乙女の変え姿よ。

 

倉石智證

朝は畑に。

SSの盛んなる音を聞いて、

上京です。

/はびこって我が世の春と仏の座

/葡萄樹の芽吹きSSの盛ん

/道々はスマホで遊ぶ桜かな

/八王子まで来て欅の緑かな

/中央道ビール工場花見ごろ

/黄な粉かけよもぎ団子を召し上がれ

/よもぎ餅もちもち口の間に合はず

/八雲立つ自證院には桜かな

小泉八雲のお散歩コース。

瘤寺こと自證院。

/自證院むかし瘤寺桜花

/地蔵尊花びらしかと受け止めぬ

/花桃の八重に咲きける日和かな

/チューリップの白と赤とに咲きにけり

/賑ひや子供らの声チューリップ

/罪障にあらずやつんツン落ち椿

/乾杯に献杯をして春の宵

/新宿や西口欅翠初む

/翠初む欅西口胸騒ぎ

/玻璃に映る乗り合いバスや春の雲

/釈迦堂に春が来たとよ桃の花

/勝沼や遠山白し雪の山

/連翹の咲きぬお寺の柵辺り

/献杯や故人も酔ひぬ春の宵

当たり前だけれど少しも齢をとらない。