/傾(なだ)り落つ秋明菊に両手かな

/葡萄樹にもみち落ちくる今朝の秋

/釈迦堂に草黄葉来てかろやかな

/見上げぬる皇帝ダリア見下ろしぬ

/針を抜くばばに認知の秋深む

気が付いたら500ミリリットルの点滴の針を抜いてしまってゐた。

/蟷螂の鎌を畳んで待つ身かな

/百日草健気て云ふか日だまりに

/おまへは赤ママの詩を唄うなと云いし人あり転向もせり

■中野重治1934検挙され、共産党から転向。

おまへは歌ふな 

おまへは赤ままの花やとんぼの羽根を歌ふな

風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな

すべてのひよわなもの

すべてのうそうそとしたもの

すべての物憂げなものを撥(はじ)き去れ

すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ

 

/望むらくヤコブの梯子の切れ間から金木犀の匂ひ方々

/小仏や閑もて余す秋思かな

小仏トンネル手前から渋滞。

閑もて余す「秋思」かな。

 

昨日は10/23上京から帰郷。

ば様嘔吐から水様便、病院へ。

尿、血液、肺レントゲン。

腎盂炎一歩手前の尿路感染による発熱(39度まで)。

点滴。抗生剤注射。

自宅へ搬送。

今朝は朝食は完食。

昨日のことは一切忘れている。

軽くいつものやうにリハビリ。

体力はまた落ちた。

 

倉石智證

期日前投票

/監視塔ぼくの伴侶と秋の風

/印紙買ひに隣の花やカランコエ

/秋刀魚食ぶ妻のやりくり吾知らず

/単身や膳に柿色並べ見る

/焼きオニの崩れて焦げの香ばしき

娘が夕食を作りに来てくれた。

/ホイル焼き鮭も隠れる秋野菜

/根菜や秋賑わへりホイル焼き

/お湯割りや娘持て来るカボスかな

/イエレンさん魔法使いのおばあさんユダヤ人なの財務長官

24,10,25世銀・IMF年次総会ワシントン

■Treasury Secretary Yellen Meets With Ukrainian Finance Minister Marchenko

 

「今や我は死なり、世界を破壊する者なり」

 'Now I am become Death, the destroyer of worlds.'

『オッペンハイマー』観たよ。

E=MC2だよ。

死神だよ。

両手は血にまみれる。

モーゼは謂ったよ。

「汝殺す勿れ」「汝姦淫する勿れ」。

人間そのものは矛盾に満ちた実在なのだよ。

女が股間で腰を揺するたびに

「バガヴァッド・ギーター」(古代インドの聖典)がかすれた声を忍ばせる。

雨上がりのロスアラモス。

原爆の火が奔る。

大気が一瞬で焔ゑ熾かる。

 

オッペンハイマーもユダヤ系。

 

倉石智證

『Unto this last』此の後の者に───

この後の者に何を手渡すことが出来るか考えてみよう

300~Zapotec Woman ca. 300-600AD (メキシコ)

 

たとへば白樺の葉叢を風が渡って来る

ずいぶんとかご無沙汰とか

それをかって見たことがある人はゐなかった

風の形にと云ふが

気ままなもんだ

 

自由規律があって

磐の手触りに

幹の高さに

人の呼気にさへ

うれしいことにはすぐ翻る

万全だったなんて試しはなかったが

蝶々がほぐれるやうに真っ白な河原を飛び翔ってゆくのだよ

「鷲の戦士像」アステカ

 

このものの跡に何を手渡すことが出来るか

詳らかに

審判はなし

風はつらまへやうとしてもあんまりにもとりとめもなく自由だった

 

倉石智證