柿通信。

玉造り。

/久闊を叙す一年(ひととせ)を柿通信

/高梯子われ宙(そら)人と鰯雲

/鵙言葉はや贄を置き忘れけり

/空蝉は夏の名残と剪定師

/気が付けば山茶花のもうモノ目付き

/柿色に村いっぱいに柿大尽

/柿好きの人に贈れり百目かな

/秋茄子の身を持て余し破れけり

/野面では蓼喰ふ虫の好き好きに

/ユキムシの飛んで今年のダリア咲く

/蘖(ひこばえ)の紅葉となりて健気かな

/喉ごしはばばの安堵やとろろ汁

/突然に胡瓜の値段知らされる

/花ヤツデどこかそこらに宇宙船

/犬栂は玉造りしてUFO

/庭前で玉造りするばーさんは命の糧とただに合掌

/おいしいよ。おいしいから匙がよく動く。

温かい納豆梅風味のお粥が大好きだ。

自分で頂ける。

「舌に蕩けるよう」と匙がすすむ。

/神様にみな返しつつありがてふ手は胸の前ただに合掌

ば様のふらじゃゐるは変わらない。

一本の線の上を歩くがごとく

おっかなびっくり。

 

倉石智證

Manger la vie 「時は命を啖う」(ランボー)

悲しいとかうれしいとかでなく/ほぼ忘れるためにだ/梯子に上ってゐれば高処(たかどころ)になる/微妙な足裏の感覚に神経が張り詰める/チビ松ちゃんを扱(しご)く/五月の翠摘(みどりつ)みからだいぶ経って/ぎゅうぎゅうに育って拳にカタマッタものを剪りほぐす/枯れ色の下葉を指で扱く

/梅木はさらに高く/黒い枝は堅固な城砦のやうだ/幾度が枝枝を跨いで/高きは縮める/徒長枝ばかりか今回は強剪定に/太枝をバッサリ降ろした/糸ヒバはなよなよと誘う/しかし、それがなまめいてなかなか手強いのだ/抛っておいたわけではないが/時には気付いていたのだよ/ずいぶんと葉末が枝垂れてきたなと/梯子に上れば/茶色や黄色になった下葉がイヤでも目に付く/右手に剪定鋏を/両指で扱く、そしてしごく/ほうら気持ちよく梳いて来たではないか

/枝枝から青空が気持ちよく見える

/気持ちよく見える

/気持ちよく見える

 

/悲しいとかうれしいとかでなく/このくらいの齢になるとどちらかと云うと悲しいが多くて/突然ですが同じ年のトランプが大統領になったこととか/生と死が混在した生身魂が眠りこけているとか/「おいしいよ」って云ってたかと思うと突然ゲロッパ/陰部が痒いとただれてしまった/するとたちまちあんよがマリオネットに/汽車汽車しゅっぽしゅっぽ/ぼくたちムカデの行列リハビリが怪しくなる/ポポー、老衰なのか/新たに何か始まったのか

/世間は至る所病葉だよ/秋雲起こりて/たちまち草木は黄落する/庭前の落ち葉は掃けども掃けども散り敷くばかりだ/で、わたしはまたけふも高梯子を上る/蹠(あうら)に神経を集中させて/目前の枝枝と葉っぱちゃんたちと繰り返しお話を続ける

/かなしいとかうれしいとかでなく/そうすると大方のことは忘我の向かうに行っちまっていることに気付かされる/おおいに、と思う/時間よ止まれ/「Manger la vie 」モンジェラビ/けふ皇帝ダリアがついに三輪咲いたのだよ

 

倉石智證

ウクライナの頭上を越えて話が進められようとしているかのやうだ。しばらくして世界地図が気が付いたらロシアが主張する4州併合プラスクリミア、ないしは現時点での戦闘ラインのままで、世界の高校生の教科書に書き換えられるかもしれない。ぼくらは共通の理性を持つ人類として、そのやうなことに耐えきれるのだらうか。

ではかうしませうか。ゼレンスキー氏とウクライナ国民にノーベル平和賞です。歴史上曾てなゐ規模の領土分割です。領土はむろんロシアのためのものではありません。ぼくが考えているのはジェノサイドに遭ってゐる、全民懲罰的な犠牲者のパレスチナ人に対する新たなる領土です。また彷徨へる国家を持たぬ悲劇の民、クルド人などにです。もはやここまで憎悪が昂じたウクライナの人たちにとって肉親や友人を殺したプーチンはミンチにしても飽き足らないくらいで仮に停戦になったとしても和平交渉の結果、お互いの領土が接しあうと云うことは感情がとても正常に追いつかない。そしてロシアは云うのです。ウクライナは中立であるべきで、NATOに入ることは許さないと。

 

ゼレンスキーさんは国民投票をすべきです。ドンバス地域(ロシア語使用の人口が多いそもそもの因縁のドンパス地域の紛争から)だけをロシアの領土とする。他の現在の戦闘地域は中立地域として、パレスチナ、クルド人等の国家建設のための新たな自国の領土とする。「撃ち方止め」、お互いの軍隊等が撤退、撤収した後、和平交渉に入り、和平交渉が成立した段階でウクライナによる領土分割です。ロシアに対する言語はこれからもずっと武力による軍事だけなのか。しかし、今のところウクライナもロシアも相手に対して決定的に勝ててない。通常は過去の戦争では勝ててる方が降伏した相手にさまざまな条件をのませることでいわゆる和平が成立する。ここでゼレンスキー大統領が口にする「ロシアに対しては和平を強制する必要がある」と云ふ論理である。

 

この論理は一つは圧倒的にウクライナが“勝てて”ロシアを軍事的にも経済、政治的にも追い詰めた場合と、もう一つは世界理性と世界世論のウクライナへの支持、支援です。論理的にはいかなる国でも、BRICSやグローバルサウスでも「主権と領土の一体性」の不可侵性に対しては疑う余地はないと云うことです。正当な理由なく自分の家の庭先が乗っ取られてそのまま黙ってゐる家は無いと云ふことです。和平を強制するのは二つのパターン、一つは“勝ててる”と“降伏”。もう一つはロシアの条件と都合を満たす。つまり「中立国」「NATOには属さない」少なくとも「ドンバスの併合」、それに加えて世界経済への復帰です。ロシアは世界経済の一部に戻る。ロシアは中立国を得ることが出来、かつ世界から名誉の選択をしたと称賛される。そこいら辺を落としどころのきっかけとしたいですね。

 

続く───