雪やこう

雪やこう

暦の上では小雪(しょうせつ)なんだって

雪やちらちら

お山の方では雪やたんと降る

みなん急いで塒に帰るよ

11/22の朝、湯沢地区。午後からは天気は崩れ、やがて雪になる予報。

遠くに見えるのは神楽ゲレンデ。

 

雪やちらちら

「1122」いい夫婦の日なんだって

そんな日に結婚記念日の夫婦がありて

雪や請う

雪や請う

暖かく塒に帰って

手を取り合えば

あんなことこんなことあったよね

まじまじと顔を覗き合へば

いつしか皺も深々と

撫でやらんか

さすり合へば

またひと時いにしへの

楽しき日々がよみがえる

 

北国では雪やこんこん

雪や乞う乞う

記念日の小さき番が

ぽっと暖かく手を取り合へば

雪やこんこん

 

倉石智證

2024,11,13死去92歳『感謝』

(24,11,17朝日新聞)

 

そうですね

こんな日には静かに過ごすのがいいですね

柿紅葉が空にきれいです

でも病葉はみなにさやうならをして

ひとりはらはらと旅に出るやうです

 

星が出てない夜もあるのです

銀河の端に腰を掛けて

おおきな嚏をする

魔法使いのおじさんは何億光年の向かうに飛んで行って

にこにこ笑ってゐる

そしてけふは昨日の続きでいいと云ふ

 

詩人が死んだ日

みんなそんなこともあるのかなって空を見上げて

不確かな確かさで納得する

ここ九十二年も

きっとこの人の屋根の下にみんな暮らしを過ごしていたんだなって

だから妙に懐かしさばかりが先だって

ああ、うまく云へないが

こんな日はなんにもせずに静かに過ごしたい

 

平和ってなんだらうかって

生と死とは兵隊さんはとか

とりわけ性と愛はとか

とりあえず真面目なんだか不真面目なんだか

言葉遊びが大好きで

どうしても宇宙の中に入っていこうとしたんだね

女性のやはらかさのなかにも無性に入っていこうとしたんだ

とことん好奇心旺盛な

なんとも少年のやうなオジサンだった

 

倉石智證

 

皇帝ダリア・山茶花。

庭紅葉。

訪問入浴。

/木耳(きくらげ)や聞く耳持たぬ人もゐて

/きつね夜や被(かず)くは女子の衣被

/鵯の花喰い鳥となりにけり

無残に喰い散らかしてゆく。

/花守になれず皇帝ダリアかな

/間引き菜や三千世界摘ままれて

/剪定の音の間近に宙飛んで

/あなうれし介護入浴ばーさんの声が聞こえる硝子戸の中

/庭紅葉あといくつ寝ると散る紅葉

/灯籠の石に寄り来る紅葉かな

/灯籠の石の寒さに紅葉かな

/小春日や世に忘れられ石蕗の花

/黄落が続く箒の亭主かな

/山茶花や生きとし生ける空があり

/咲き継ぐや山茶花次と空真っ青

花は真っ青なお空に合います。

 

倉石智證