訪問理髪。

「ばーさん、ベッピンになった。」

「もう一回お嫁にゆくかね」

「もういい。もらい手ないよ」

髪の毛と爪は旺盛に伸びてゆく。

/ばーさんのおぼこになって口すぼむ訪問理髪小春日和や

冗談も出る出る。

ばーさんの頭もきれいになった。

庭の樹々も剪定、枝を落としたりして大分空に披けた。

冬麗に静まり返り、しばし来年に備えるんだね。

ばーさんは

♪よ~かった、よ~かった ♫

と節を付けて歌ってゐる。

 

倉石智證

上京です。

/畑の芥燃やして今朝は上京する烟臭きをそのまゝにして

/ばーさんに行って来るよと声掛くる昨日は夜中に嚏三回

/釈迦堂にジングルベルの声を聞く

/遠ざかっては白根三山雪のせて

/重力や引力もさてなにせむに林檎可愛いや唇寄せて

/騒音計デシベルで見るシャベルカー腕振り上げて壁壊しゆく

マンションの目の前の成女学園の校舎。

建て替えである。

何十年と馴染んでいた風景が壊されてゆくのは

なんとも心痛むものがある。

/神の手の身震いをして卵かな

アダム・スミスの「神の見えざる手」…

キャベツは爆謄。

/お好み焼き屋両手を上げてキャベツかな

/更新の長き旅路や東陽町江東試験場日だまりの中

7/16江東試験場で認知症検査

11/3世田谷自動車学校で運転講習

12/3江東試験場で適性検査後、免許証更新。

確かに僕の中でも剪定よりも登山よりもスキーよりも

運転の方が危険度を増してゐるのを実感してゐる。

日々、気を付けねば。

/更新日小春日和や眠くなる

自宅に戻ってくると工事のシャベルカーが

ますます猛り狂ってゐる(笑)。

イヤな音だ。

 

倉石智證

柿すだれゆく。

/霜落ちて手荒きまでの仕打ちかな

/霜練れる菠薐草の翠かな

/梯子上ればにわかにわたし柿大尽

/風物や妻手を伸ばす柿すだれ

/吊るし柿焼酎吹いて手で揉んで

/残り菊馥郁として潔し

/霜枯れの蔓ほかし掘る紅はるか

 

倉石智證