雲が集まってゆく

花々が咲き乱れる

一瞬たりとも

われわれは生きてゐる

長い行程では岩にも聞いてみる

日向の石ころには蹲る

1955丸木スマ「簪(かんざし)」

80歳の老女が描いたこの生命力に満ち溢れた作品にはむろん死の予兆すらない。

 

神寄せて草刈る仕草

土を撒く花の種播く

腰巻におとどの種の

あるなまめかしさ

朝陽射す畑土の面に

しずしずと汝が足降ろす

足の白さよ

不埒な、スワ ! 

雲が集まってゆく

滝雲が劍峻に流れて

麓ではおとどの民が

女(め)を抱き種をさ播きて

神寄せる草刈る仕草

長々し祝詞の声の

幣(ぬさ)振るわせる

 

山に登ればあとは降りてゆくばかりだ

雲は雨となり

川に足を踏み入れれば魚群の民よ

群れ下る海へと流る

雲が集まってゆく

おーい、なんと云ふ早さなんだらう

あるか無きかの声の

人の民にも聞いてみようか

 

倉石智證

 

 

「焚くほどは風がもてくる落ち葉かな」良寛

/紅葉見て落ち葉のゆくへ溝浚い

/さんざめく万の落ち葉の物語

/溝浚い寒のさむさや水鏡

/寒の朝タオル干したる棒のやう

/溝掃除お正月まであと一歩

溝浚いが了はると何となく

年の瀬までの距離が縮まったやうな気分になる。

雑排水、生活排水の通り径、きれいになりました。

 

倉石智證

           畑芥を燃やす。

           きれいさっぱりと灰燼す。

           四囲になむなむする。

           翌朝霜を掻きわけると、

           埋火が赫々と蘇った。

 

とまれ取り急ぎ焚火です。

畑芥が畑にテンコ盛りに、だいたいが片付きました。

あの人も、彼奴(あいつ)も逝ってしまったなぁ。

なんて云ふことでせう。

予期することもお知らせもなくまったく取り急ぎです。

急ぐんですね。

案外こんなことって秘密めかしてひっそりと、

そしてびっくりさせる。

畑でそこいらのものを椅子にして、焼き芋を喰ふ。

妻は焼け焦げたところが美味しいのよって口唇を真黒にしてお道化る。

おいしいけれどさみしいんだ。

風が出て来て夕暮れになった。

 

倉石智證