雲が集まってゆく
花々が咲き乱れる
一瞬たりとも
われわれは生きてゐる
長い行程では岩にも聞いてみる
日向の石ころには蹲る
1955丸木スマ「簪(かんざし)」
80歳の老女が描いたこの生命力に満ち溢れた作品にはむろん死の予兆すらない。
神寄せて草刈る仕草
土を撒く花の種播く
腰巻におとどの種の
あるなまめかしさ
朝陽射す畑土の面に
しずしずと汝が足降ろす
足の白さよ
不埒な、スワ !
雲が集まってゆく
滝雲が劍峻に流れて
麓ではおとどの民が
女(め)を抱き種をさ播きて
神寄せる草刈る仕草
長々し祝詞の声の
幣(ぬさ)振るわせる
山に登ればあとは降りてゆくばかりだ
雲は雨となり
川に足を踏み入れれば魚群の民よ
群れ下る海へと流る
雲が集まってゆく
おーい、なんと云ふ早さなんだらう
あるか無きかの声の
人の民にも聞いてみようか
倉石智證


















