久里のおじさん

パイプのおじさんは烟のやうに逝ってしまった

まるで昇天する

とってもカラフルありがとうの世界なのだ

心の中に童心と膨らみ続ける夢を持っている方は幸せだ

なんと世の中を明るく楽しいものに替えてくれたものか

 

なついてくれた雀たちがたくさん窓辺に寄って来て

おじさんの永遠の留守の間にも飛び込んでくるのかな

 

少しHなおじさんだった

女性の脚がことのほか好きでいらして

フェチこそ天国だ

 

いまでもどうかすると麹町界隈で

通りの縁石に腰を下ろし

お似合いになるんだなこれが

パイプの烟

合掌

 

倉石智證

 

忘年会(Ⅳ)。

/ほーやれほー 人は歳とる師走影

/過不足も可も不可もなく年の暮れ

/歳の辺に息せき切って集まりぬ

/幼らに歳越すことのうれしさよ

/着ぶくれて駅の辺(ほとり)に佇みぬ

/年賀状作ってみてはをちこちす

/日の箭柄(やがら)部屋に入り来る希望めく

/蔦紅葉さて一年を振り返る

/駐車場に車は歳の泊まりかな

/残月やゴミ出す人の一輪車(コールドムーン)

/悴んで手をひっつかむ年用意

/スクルージ回心のこと聖夜近し

 

倉石智證

「裏を見せをもてを見せて散る紅葉」良寛

訪問入浴、庭の落ち葉掻き。

富有柿の剪定。鵯との仕舞の木守闘争(笑)。

上京、忘年会。

/セロニアスモンクふにふに散る紅葉

/来客がある土曜日に落ち葉掻き

/高鳴きや亭主梯子に木守かな

/剪定や空に披けて油断せず

/FBの去年を知らす焦らせる時の流れに間に合はずなり

去年はリンゴの剪定を早や。

/干し葡萄巨峰の粒を贅沢に

シフォンに仕立てパーティーにゆく

/忘年会寄る影法師年長けて

/久闊(きゅうかつ)を叙す手袋を外して

/寒むからう沈々椿椿(ちん)椿

/監視塔師走の街を眼下にて

/日を焚べる落暉は玻璃に赫赫や

/喰って寝て放(ヒ)ってばばにはけふ一ト日

歌うがやうに手を前にする

まさに何が何でも生身魂なんだ。

 

倉石智證