春一斉に駆け足で。

春一斉に大股で。

/紫木蓮鳥発ち花の破(ヤ)れしかな

/幾たびも芍薬の芽立ち見に行けり

/チューリップの黄色水仙の黄色かな

/葱坊主畑に散らしそのまゝに

/雑草を取って生きろと声を掛け

/翠摘みそろそろ松に声を掛け

/藁苞に元肥を撒いて土を掛け畝を作りて穀雨を待てり

/魘(うな)されり放棄地の艸どのくらい

/片陰に冷えて花咲く射干(しゃが)の花

/志の硬し雪折れ桜哉

/おっちゃんはつげ義春や春の風

2026,3/3死去。88歳。

1968『ねじ式』

1991(映画)『無能の人』

/信玄公祭花火のドンと上ぐ

 

倉石智證

皇帝ダリア芽吹きけり。

/チューリップの午後 午睡にぞ入りにき

/ムスカリの子ども大きく大家族

/絹さやは初物皿に飾りけり

/菜畠や玉子炒めのスクランブル

/アスパラの地を破りけりうれしがり

/田舎家の馳走夕餉の通草(あけび)の芽

/一品に仕立てて野蒜の馳走かな

/春韮の俎板で待つ思案かな

/ノラボウナ花になりつつ芽を刈られ

/大瓶に雪折れ桜咲きにけり

湯沢地区から持って来た雪折れ桜が、咲き始めた。

/皇帝ダリア芽吹きの遅れ叱りつゝ

/富士の峰に新しき雪芋育つ

/首チョンと葱の植え替えネギ坊主

/里芋を植ゑてマルチに風孕み

/蕗っ葉を妻は畑で指よごし

/溝掃除水仙の咲くところまで

/アルデンテ、スパはにわかに緑初む

/スパゲティは春の装いアルデンテ

野蒜も、

ノラボウナの菜花、

採れたてのアスパラも。

 

倉石智證

釈迦堂に花見山を訪ねる。

/花守の背中(せな)まがりけり花見山

/花守の指さしにけり花の丘

/連翹の門を潜りて花の苑

/夫婦して老ひける花の茶店かな

/茶店には山のこごみも売られけり

/花桃の花のしぼりや着せかかり

/トランプの演説花見山降りて

/菜の花の畑朧になりゆけり

/釈迦堂や土偶の口に花の散る

/笹子からエンジンブレーキ桃の里

/桃色にパッチワークや桃の丘

/釈迦堂や桃の花咲く桃の丘

/花大根むらさき匂ふ茶屋の裏

/放棄地に通草(あけび)の蔓を摘みにけり

/去年今年丘に上りて花見山

 

倉石智證