出口治明先生に学ぶ、母親の私たちにできる「日本を世界一子どもを育てやすい国」にする方法 | 子どもが伸びる がんばらない子育て

子どもが伸びる がんばらない子育て

心理学博士 山本ユキコ 
既刊
『子どもが伸びる がんばらない子育て』(フォレスト出版)
『出産・育児ママのトリセツ』(忘羊社)

2019年4月より キッズ・キッズ折尾保育園 園長就任予定

子育てはチームで行うもの。子育てフィロソフィ代表 心理学博士山本ユキコです。

面白い本を読みました。

 

 

子育ては共同養育が普通である

子育ては「歴史的に見ると共同養育がデフォルト」と、母親が一人で子育てする状況は不自然であると、ライフネット生命の会長であり60代の経営者出口さんが、はっきりとおっしゃっているのを見て、すごく感激しました。

 

私は「出産・育児ママのトリセツ」という「子育てはチームで行うものである」と、父親の子育て、家事の参加、母親への気持ちの理解を促し、解説する本を出しました。

 

 

この本は、想像以上にパパたちのたくさんの共感をいただいて、たくさんの方に広めていただきました。出版後5か月で、先日3刷にまでなり、本当にうれしくて、ありがたいことです。

 

しかし、一部否定的な意見も届いてきます。「母親一人で子育てするのが当たり前だろう」「甘えている」「ここまで夫にさせることはどうかと思う」。否定的な意見は男女問わず年代問わずあるのだな、ということも分かりました。

 

そんな中に60代の経営者という、一番「『子育ては母親が一人で立派にするもの』と思ってるんじゃないのかな」という属性を持ってらっしゃる、出口さんからの思わぬ同じ方向性に感激したのです。

フランスのシラク3原則

そして、出口さんの対談の本には、日本の子育て支援政策は遅れていることや、フランスや北欧の子育て支援策がかなり進んでいることが示されていました。私も、なんとなくは知っていましたが、詳しくは知りませんでしたので衝撃でした。

 

フランスは1994年にシラク3原則という政策が打ち出されているそうです。

1つ目が子どもを持っても新たな経済的負担が生じない。

2つ目は、無料の保育所を完備。

3つ目は育児休暇から女性が職場復帰する際、ずっと勤務していたものとみなして企業は受け入れる。

 

そしてプラス、婚外子を差別しないという政策もパッケージで導入されたそうです。すると、1.66までに減った出生率が10年で2パーセントまで回復したそうです。

 

これは、人口の減少を移民で補っても、フランス語を第一言語で話す人がいなくなることで、フランス文化が消滅する。フランス語を話す人間を増やすことで、文化を守るんだ。ということが背景として議論された結果だそうです。

日本でも、国が子育てを本気で支援することはできる

子どもが生まれても、教育費について気にする必要がない。保育所が無料である。仕事に復帰できる。なんて、フランスはうらやましいことでしょう。

 

私は、学生のころから「アメリカではこうなんだよ」「フランスではこうなんだよ」「日本は遅れているんだよ」という、社会学の先生の授業が虫唾が走るほど嫌いでした。「だったら、アメリカに行って帰ってくるな」と、本気でイライラしていました。でも、この子育ての国の政策についてだけは、言わせてください。「フランスでは子育てはお金がかからないものなんだよ。日本は遅れているんだよ」

 

日本でも、やる気になればこれだけの子育て支援は可能なのだそうです。私は、日本が大好きです。もっと暮らしやすい国にするために、フランスの子育て支援を日本に取り入れることは大賛成です。

 

子育て世代が自分のできる範囲で声をあげることが必要

でも日本では、経済の急成長があって出生率が高かった、何十年も前の、福祉にお金をほとんど使わない政策がいまだに行われています。現在の経済の成長率が止まり、高齢者があまりに多くなった今の時代では、このままの政策で行くと破たんすることは分かっているのに。

 

でも、いまだにその政策が変わらないのは、子育て世代が声をあげずに「この状況は当たり前なんだ」とがまんしてしまっているからだそうです。

 

子どもの教育に家庭からお金がかからなくなり、子育てしやすい国にしてもらうために、政治家でもない私たちにできることは何でしょう?

 

まずは、子育ての負担を家庭が持つことが世界的には当たり前の常識ではないこと。

子育てを国の負担にすることに成功した国があること。日本でも、本気になればできること。

 

これを知ることが第一だと思います。シラク3原則について、私は出口さんの本を見るまで、恥ずかしながら知りませんでした。知って、衝撃を受けました。

 

こんなにしっかりと考え抜かれて、整えた方法で、フランスでは子育て支援がされているのか。日本とは、全く違う。なんで日本ではされていないのだろう。

 

知ってびっくりしたり、心が動いたら、ブログやSNSにちょっとでも書いていてください。私のブログの引用なんてしなくても大丈夫です。

 

引用したかったら、出口さんのウェッジの記事もおススメです。

少子化は文化を滅ぼす 仏の「シラク3原則」に学べ
ライフネット生命 出口治明会長インタビュー


そんなことから、日本は変わっていくんじゃないかと思っています

本音を言うと、政治の話をするのは、私にとって、ちょっと恥ずかしいことだったりします。「あまり知りもしない政治の話を偉そうにする」のは、正直、顔から火が出そうなほど恥ずかしいです。

 

でも、知ったことを声をあげていくことを、一人一人がすることで、本気で子育てに取り組む日本に私たちが変えられるのではないのか。それができるのは、子育て世代の私たちだけなんじゃないでしょうか。そう思ったのです。