退院
典型的な病院メシを済ませて爪楊枝でシーハーしながらお茶を飲んでいる、TVのモーニングショーでは海賊ルフィーの正体は此奴だと騒ぎ立てている、すっかり入院患者のルーティーンに馴染んで来た頃に朝の回診がある。
医師が「血液検査の結果特に問題ありません、肝機能が低下してますが退院して下さ!」 「お薬出して置きますから」 術後痛いと唸るポンコツに痛み止めの点滴を大判振舞いて頂いたので、肝臓に負担が掛かったのでしょう。
「あっ、当分アルコールはダメだからね」 退院祝いに飲もうと残して置いたエビスビールは、之で春まで冷蔵庫で熟成される事となった。
「帰れる良かった」そうと決まれば飛ぶ鳥後を濁さずだ、演歌の歌い文句の後ろ髪惹かれるとか未練心はゴミ箱に捨てていく。
お世話になりました、有難うございました。
お伝えしたい事
肝臓や腎臓は沈黙の臓器と言われてます、症状が現れた頃にはかなり進行しているかもしれません。近年健康診断や違う病気の序に発見される傾向が強いと聞き及びました、現代は国民の二人に一人がガンにかかる時代です。検診や人間ドック等は確かに気が重い、もし病気が発見されたらと思うと誰しも嫌だと思います、自分の場合も3年後5年後に発見されたら余命宣告か、長期の治療と大きな手術が待ち受けていた事でしょう。
やはり早期発見で適切な治療に付きます、現在は一昔と比較にならない程に手術方法も投薬も進歩してますので、ガンは治療できる時代だと感じてます。
病んで改めて知る寄り添う人の優しさと暖かさ、拾い物の残りの人生ですから、之からは周りの人たちに恩返しをして行きたいと心に刻みました。
第三病院正面玄関のタクシーに乗り込み「駅までお願いします」と告げる。
ポンコツ親父の闘病記録は最後のページを書き終えた。
END