〔真言密教理論〕空海『即身成仏』論の基本。 | 神聖寺 隆健 090-3085-9732

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神聖寺 隆健 (しんしょうじ りゅうけん)
真言宗、法事と供養、仏教世話ばなし



上の梵字は私、隆健の筆による、サンスクリット語・般若心経からの一文字です。
ブログを途中からお読み頂いた方々の為に、過去のブログを、改めてご案内させて頂いております。なお、私のつぶやきは実生活には何の役にも立ちません。謝謝。
つぶやきを進めましょう。

一年間ブログを通して、真言宗・阿闍梨になる勉強、卒業に間近いです。
『大乗仏教』(=『密教』以外のあらゆる仏教)は、因縁で『仏(ほとけ)』になる教え、つまり『仏(ほとけ)』になるための『創作』の努力が必要です。
  一生懸命に努力した結果から『仏(ブッダ)』が誕生する教えです。
しかし、自らの『創作』ならば『技術』不足で『仏(ブッダ)』になれない人もでて来る場合もあります。


〔現実に、私なんか『菩薩』にも、ほど遠い人生を歩んでます!何とも謝:謝〕
大乗仏教の否定の『空』論は、この世に生み出されたものを否定・否定することにより『空』の世界=『涅槃』=『仏(ほとけ)』にたどり着く教えです。


その順観は『地―水―火―風―空』です。
『地』から『空』まで否定・否定の流れで『空』=『涅槃』=『仏(ほとけ)』に至ります。
『密教』の教えは違います。
大乗仏教の否定の『空』論から生まれた『空』はそれが最終地点ではないよ~、『空』の行き着く先に、改めて、この世を生み出す『地』の世界があるんですよ~、と説きます。
たどり着いた『空』から『密教』はさらに奥へ奥にと『瞑想』を進めます。


その流れが『地―水―火―風―空』の逆順序である『空―風―火―水―地』です。
この『空―風―火―水―地』の流れこそが『密教』本来の順序なのです。
急に一足飛びに『空』から『地』に成るわけではありません。
空中より風が起こり、風の上に火が起こり、火の上に水が起こり、やがて水の上に地が起こる(五輪の塔の逆順・発想)。
このようにして『空』から『地』にたどり着きます。
これを見れば、『地』は『空』=『涅槃』=『仏(ブッダ)』からスタートしたということになります。
母から子供が誕生します。
母なる大地から生命が生まれ出ます。
母(=地)の原点、母なる大地(=地)の原点は『仏(ほとけ)』からなのです。
ここに密教が説く「生まれ出るものも生み出すものも同一である」
この世のあらゆる存在物は生まれた時から、すでに『仏(ほとけ)』が内在する理論となるのです。
〔真言密教理論〕
『真言一乗』の教えは、誰もが自分の心に『仏(ブッダ)』がいると知っただけで『仏(ブッダ)』になることができる教えです。

これを『本来成仏(=もとから成仏)』と申します。
ここが空海『即身成仏』論の基本です。
さて、最初に戻りましょう。
では、そのことを知れば、ほんとにその場で簡単に『仏(ブッダ)』になれるのか?と問えば、それは成り得ないと思います。
例えば『柔道』でも、それは同じです。

『一本背負い技』をきれいに掛決める絵図入りのシステム教科書があり、方法論を理解しても、それだけでは、実際に柔道するのが初めてのシロウトさんが畳の上で人間一人『一本背負い技』で相手を投げ飛ばすことができるなんてことは有りえませんでしょう。